データセンターにおける電力接続性

データセンターの接続性におけるイノベーション

IEC 規格への移行

データセンターをパワーアップするには、エネルギ効率の向上と電力システムの保護を実現する新しいアプローチが必要です。当社のエンジニアには、これらの課題を解決してお客様のデータセンターの性能を最適化する力があります。

データセンターを構築する際に同じ規格を使用すると、エンジニアにとっては設備の設置や修理がより簡単になり、オーナーにとっては (長期的に見て) 効率や費用対効果が向上します。 どうしてそうなるのでしょうか? それは、標準化とは世界全体に統一性をもたらすものであり、これによってサイトごとの違いが排除されるからです。たとえば、あるサイトでは 1,000 kcmil のケーブルを使用し、別のサイトでは製品コスト削減のために 750 kcmil のケーブルが使用されているケースがあります。これら 2 か所のサイトの運用が異なっている場合、たとえばサイト 1 では 60 MW、サイト 2 では 30 MW の電力で運用している場合は、全体的なエネルギ コストを削減する機会が失われます。

 

共通の標準化団体に準拠することには、パフォーマンス問題の解決策を探しているオーナーが別のオーナーに相談しやすくなるというメリットもあります。データセンターの電力システムに使用される規格は、IEEE (米国電気電子工学会) と IEC (国際電気標準会議) です。

 

ヨーロッパでは、ここしばらくの間に IEC が主流になりましたが、米国では伝統的に IEEE が好まれており、IEC 規格に準拠しているデータセンターの数は多くありません。世界中のデータセンターの効率を向上させるため、米国の事業者は、IEC 規格を採用して世界各地にある複数のデータセンターを一律に運用する方策をとり始めました。

 

IEC は IEEE よりも省スペース性の高い規格であり、これに不慣れなオーナーは IEC に準拠したコンポーネントを採用する利点を理解する必要があります。たとえば、IEC のギアやエルボは従来の開閉装置やゴム製品の結線よりもサイズが約 30% 小さいため、高密度・低背型のコンポーネントを使用することでスペースを節約できます。

 

設備がデータセンターの外部に移動するにつれて、業界全体でより小型の設備に対する関心が高まっています。設備が小さくなれば、必要な土地や水などの資源が少なくて済みます。また、IEC 規格では開閉装置で満たさなければならない仕様が IEEE 規格ほど多くないため、IEC への切り替えはエンジニアリング コストの削減にもつながります。

IEC 定格内のサージ アレスタを選ぶ際には、MOV および KV 定格を調べるだけでなく、使用されているアース システムのタイプも考慮する必要があります。

エンジニアがよく遭遇する問題として、IEC 規格を満たすギアの仕様は入手できるものの、その要求される標準仕様がオーナーやギア メーカから得られないことが挙げられます。 そのため、エンジニアは自分でレポートをまとめ、IEC 仕様が IEEE と同等またはそれ以上であることを示す文書を作成する必要があります。 

 

エンジニアが理解しなければならない分野のひとつがサージ アレスタの定格です。IEC におけるサージ アレスタの定格は、IEEE とは異なります。 

 

IEEE と比較して、IEC では使用可能なオプションが少なく、考慮しなければならない変数は多くなっています。標準的な電圧クラスは使用できません。IEC 定格内のサージ アレスタを選ぶ際には、MOV および KV 定格を調べるだけでなく、使用されているアース システムのタイプも考慮する必要があります。 

 

変電所の電力システムを計画する際は、施設のニーズに最も適した結線 (空気絶縁結線、メタルクラッド ガス絶縁結線、またはその両方など) を選ぶ必要があります。空気絶縁結線は取り付けやすくて人気がありますが、外部環境の影響を受けやすいという側面もあります。その他のデータセンターのオーナーやエンジニアは、T 型ボディとゴム製エルボの結線を好みます。

 

これら 2 種類の結線タイプを組み合わせる場合、その比率は 50:50 から 80:20 までの範囲にすることができます。結線は通常、オーナーやエンジニアが望むデータセンターの理想の姿に基づいて選ばれます。結線方法が決まったら、その結線に対して最適に機能するギアが選択されます。

データセンターにおける電力接続性

データセンターにおける電力接続性。

データセンターの電力技術はまだ探索段階にあり、商品ベースのアース システムが最も一般的です。 これらは設計段階では見られません。現在はデータセンターの外部の電力システムに焦点が当てられていますが、近いうちに電力技術がデータセンターの内部に移動することが望まれています。米国市場ではなじみのないスマート素子は、ヨーロッパではかなり以前から、主にギア メーカのプロモーション活動によって普及しています。その一例は、システム モニタリングに使用されるスマート技術です。データセンターへのスマート コンポーネントの導入はここ数年のうちに増加すると見込まれています。

 

より環境に優しいコンポーネントを開発しようという動きが起こり始めています。データセンターには広大な土地が必要であり、郊外に建設されるのが一般的です。データセンターの運用に再生可能エネルギ源を利用する方法が模索されています。太陽光とバッテリー エネルギが、環境に優しいエネルギ源として最もよく使用されています。エネルギ蓄積の人気も高まっています。

 

データセンターの増築に関する現在の業界トレンドは、外側に広げるのではなく上層に増築するのが主流です。その方が、必要な土地が少なくて済みます。歴史的に見て、データセンターは 2 ~ 4 階建てで建設された後、必要に応じてスペースが外側に拡張されてきました。これにより、電力の増加量は建物あたり 30 ~ 40 メガワットになります。データセンターを建設した場合、電力使用量は建物あたり最大 60 メガワット増加します。このトレンドは今後数年間でさらに加速すると予想されます。

停電を減少させる取り組みは、停電リスクを排除することから始まります。 今日の顧客は 24 時間 365 日中断することなくデータにアクセスできることを求めているため、データセンター事業者は、不測の停電を防ぐ絶縁および保護ソリューションを必要としています。不測の停電が発生すると、多大な修理費用がかかり、評判が悪化して減収につながる可能性があります。停電を効果的に防止するには、裸導体を確実に絶縁し、相間クリアランスおよび相アース間クリアランスの要件に対応するコンポーネントを使用する必要があります。

 

この種の工場で取り付け可能または後付け可能な絶縁ソリューションには、熱収縮チューブ、テープ、絶縁バリアや、当社の野生動物および設備保護 (WAP) 製品ラインナップに含まれるリス ガードや鳥類カバーのようなカスタム カバーがあります。WAP コンポーネントは、特に野生動物による被害を受けやすい僻地にあるデータセンターにとって非常に重要です。WAP 製品を適切に設置すると、電力供給インフラストラクチャの架空送電線上や変電所内などにある露出した通電コンポーネントを保護できます。当社の WAP 材料は耐トラッキング性と UV 耐性を備え、熱的および機械的に安定しています。

 

当社の製品は IEC、ASTM、および IEEE 規格に準拠して製造されており、これらの製品を使用した当社のソリューションはお客様の設備を 40 年以上保護できます。WAP 製品や Raychem 絶縁保護材料に加えて、当社では停電が減少するよう設計された幅広い電力接続コンポーネントも製造しています。これには、碍子、避雷器、ケーブル アクセサリ (結線やジョイントなど)、コネクタやフィッティングが含まれます。

架空送電線における野生動物および設備の保護の理解
英語のウェビナー。

小動物や天候による停電を防ぐ、簡単に取り付け可能な費用対効果の高いソリューションをご覧ください。

架空送電線における野生動物および設備の保護の理解
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小動物や天候による停電を防ぐ、簡単に取り付け可能な費用対効果の高いソリューションをご覧ください。

米国の事業者にとって、IEC への移行は明白かつ重要な問題を生み出しました。それは、結線を変更するスキルを持ったインストーラの不足です。 IEC の結線は、(EPDM ではなく) シリコンでできたさまざまなサイズのゴム製エルボを使用して設計されており、せん断ボルト プラグの代わりに圧縮ラグが必要です。この設計は、IEC 結線ではより繊細な作業が必要なのではないかという不安をもたらしましたが、この問題は、適切なトレーニングを受けたインストーラがコンポーネントの設置を行うようにすることで簡単に解決できます。

 

データセンターのオーナーは、適切なスキルを持った設備インストーラの不足に不満を募らせており、代替ソリューションを探し求めています。30 年前のケーブル工事作業員は一般に、中電圧結線を現場で 15 ~ 20 年施工してきた経験を持っていました。今日のインストーラは通常、2 年ほどの経験しかなく、地域によってはインストーラの不足がきわめて深刻なところもあります。成果や重大なシステムの寿命は施工が適切かどうかに左右されるため、インストーラの不足はこれらに大きな影響を及ぼします。現在、中電圧結線について認可を受けているメーカは 13 社もあります (そのうち一部は完全に正確な結線を提供していません)。これに対処するため、高電圧インストーラが中電圧結線に移行しています。

このニーズに応えるため、当社はインストーラ向けの一連のトレーニング プログラムを開発しました。 当社のトレーニング プログラムは、必要な電圧クラスに対応する試験を含む完全な試験ループを提供します。トレーナには平均 20 年の現場経験があります。インストーラがケースバイケースでプロセスや手順に関する最新の知識を身につけられるように、認定制度を設けています。

 

当社のトレーニング プログラム では、常温収縮および 熱収縮結線、ゴム製品 (ELB 結線など)、 IEC RSTI などの TE の中核製品の施工を詳しく指導します。当社の製品ラインナップには、常温収縮スプライサ CSJ、 アース システム用のアース棒およびクランプ、 中電圧および低電圧コネクタ、低電圧スプライス、 野生動物および設備保護などの中核製品が含まれています。

 

当社は、データセンターの設計、施工方法、および高品質な自社製品に関する専門知識を持っており、お客様の成功を支える信頼できるパートナーです。お客様は、当社の経験を基に、計画・設計から納品・施工までの段階でよく直面するさまざまな問題を解決できます。

 

スケジュールの遅延は何万ドルもの収益逸失につながる可能性があるため、経験豊富なパートナーの力を借りることは長期的な成功にとって不可欠です。TE と協力すれば、仕様や設計に精通した心強いパートナーが得られます。私たちはお客様とひとつになって、結線作業間のダウンタイムを短縮し、計画工程や必要な知識の習得を加速させます。

著者

Joe Richard、データセンター事業開発マネージャ、エネルギ部門