Vehicle-to-Everything (V2X) エコシステムが自律走行車への道を開く

TE の視点

V2X エコシステムが自律走行車への道を開く

著者: Sudhakar Sabada、Data and Devices 部門 SVP 兼 GM

ほぼ10年かけて普及拡大してきた 5G の採用により、数十年あるいは数世紀続いてきた各産業に新たな成長の機会が解き放たれようとしています。 とりわけ自動車業界は、根本的な変化の到来を待ち構えています。自動車業界は最近電動化に焦点を当てていますが、ユビキタスな 5G は、これまでのドライビングの常識を覆し、よりスマートで安全なコネクテッド カーを生み出す可能性を秘めています。

 

高度なナビゲーションやインフォテインメント システムから自動運転技術に至るまで、乗用車は単なる交通手段を越えて真の車輪付きのデータセンタへと急速に変化しつつあります。たとえば、無人車両が生成するデータの量は 1 日あたり 4 テラバイトを超えると試算されています。

 

信頼性の高い高速かつ低遅延のデータ伝送の登場により、自動車業界は新しい Vehicle-to-Everything (V2X) 環境の実現に狙いを定めました。V2X は、クルマとクルマの通信、スマートフォンを所持している歩行者の動きの予測、交通信号との通信による交通の流れの最適化、GPS システムと連携した駐車スペースの空きの検索などを可能にします。このエコシステムを支えるものは、かつてないほど大量の高速データ伝送を容易にする堅牢な接続フレームワークです。

 

V2X が日常生活に浸透するためには解決すべき課題が山積していますが、そこには大きな成長の機会があります。コネクテッド カー市場は 2020 年から 2025 年まで 24% の CAGR (年平均成長率) が見込まれており、Gartner は 2023 年までに「自動車業界は 5G IoT ソリューションの最大の市場機会になる」と予測しています。

 

私は、このような発展ほど心躍るものはないと思います。当社には、世界有数のクラウド プロバイダのために高速なデータ伝送やデータ処理を実現する業界をリードする能力があります。さらに、自動車分野における長年の経験も持ち合わせた当社は、この接続されたエコノミーの新たな機会を捉えることができます。

TE Connectivity (以下「TE」)は、次世代のクラウド・データセンタの実現を支援することで、インテリジェント エッジを現実化し、5G の普及を促進していきます。
スマート カーがデータ接続を共有している都市の交差点。
スマートカーとクラウド技術の継続的なイノベーションについては「正当な楽観主義(justified optimism)」が存在しますが、両者をシームレスに統合して実用可能な V2X エコシステムを現実のものとするというニーズがとても重要となります。

5G とクラウドによるコネクテッド カーの実現

5G の持続的発展、エッジの進化、クラウドの普及は既に「つながる未来」への道を開いており、 堅牢な V2X インフラストラクチャにとって不可欠なものとなっています。2019 年、EU は 5G 技術を基盤にした V2X エコシステムの確立に向けて大きな一歩を踏み出しました。2020 年 8 月には、General Motors が 2022 年までに中国の消費者向けに 5G 対応の車両を発売する計画を発表しました。さらに米国でも、独自の 5G インフラストラクチャが徐々に形成されています。

 

ユビキタスな V2X エコシステムの実現にはまだ数年はかかりますが、この今日の 4G LTE 対応車両からのアップグレードは、リモートからの迅速なアップデート、車両とインフラストラクチャ間の通信、高度な運転者支援システムを可能とし、最終的には車両の完全な自律につながります。これらのいずれにも、高度なセンシングとコネクティビティが必要です。

 

スマートカーとクラウド技術の継続的なイノベーションについては「正当な楽観主義(justified optimism)」が存在しますが、両者をシームレスに統合して実用可能な V2X エコシステムを現実のものとするというニーズがとても重要となります。どちらの分野においても専門知識と高度な能力を持つ TEは、自動車業界に必要とされるパートナーです。

コネクティビティ: 堅牢な V2X ランドスケープの基盤

TE の自動車部門のリーダーたちは、このような時代の到来を見越してこれまで多大な投資を行ってきました。  すべてがつながっている未来は、V2X インフラストラクチャによる新たなワークロードの波が押し寄せることを示しており、これに対処するためには新しい時代の支援技術に投資する必要があります。このようなソリューションは、過酷な環境に耐えて、大量の高速データを計算し、変換、伝送、受信できる必要があり、さらに車両のアクションをタイムリーかつ効果的に行うためにこれらすべてを低遅延で行える必要があります。

 

TEは、次世代のクラウド・データセンタの実現を支援することで、インテリジェント・エッジを現実化し、5G の普及を促進しています。たとえば、現在ある大手クラウド・プロバイダの次世代サーバ用途に提供している部品の総数は、前世代よりも 6 倍増えています。

 

当社はこの専門知識を業界全体 (クラウド プロバイダやデータ センタ事業者から自動車 OEM まで) に広め、この未来の実現に必要な真に接続されたエコシステムのための基盤フレームワークを確立しようとしています。そのために、お客様と協力して技術の限界を押し広げ、データ速度の最大化と消費電力の最小化を図りながら、高速・低遅延の通信を可能にする標準ベースの用途別に最適化されたソリューションを幅広く共同開発しています。もちろん、これらを実現するうえで大量生産におけるシグナル インテグリティを低下させないようにしています。

 

自動車分野に関わる専門知識と高速接続における最先端の能力を組み合わせることで、当社は将来の V2X エコシステムの構築・実行の基盤となる連結インフラストラクチャを確立および強化する機会を捉えます。

 

5G とクラウド コンピューティングの進歩は、自動車輸送の革命 (従来の交通手段からモバイルコンピュータへの移行) に拍車をかけます。しかし、この変革はまだ始まったばかりです。V2X エコシステムがより高度化し、本格的な先進運転支援システム (ADAS) が可能になるまで、当社はこの未来を支え、その実現を後押しします。

 

数世代にわたって磨き上げられた高速データ接続の専門知識を持ち、自動車業界に長年専心的に取り組んできた当社には、車両とその周辺インフラストラクチャにまたがる完全に接続された輸送のエコシステムを実現するための実績と能力があり、革新的な考え方が組織全体に浸透しています。

 

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著者について

Sudhakar Sabada、Data and Devices 部門上級副社長兼ゼネラル マネージャ

Sudhakar Sabada

Sudhakar Sabada は、TE Connectivity の データ アンド デバイス 事業部でシニア・バイス・プレジデント兼ゼネラル マネージャを務めています。彼は、ハイパースケール、エンタープライズ、テレコム、リテールマーケットセグメントを含むエレクトロニクス業界を広範に扱う同事業部の全体的な P&L に関する責任を負っています。さらに、ビジネス戦略と製品戦略、市場投入活動、製品開発部門と製造部門のディレクションも行っています。