電動化支えるタイコ エレクトロニクス ジャパン

電動化支えるタイコ エレクトロニクス ジャパン
「水に浮くEV」のタイ市場展開にも貢献


 TE Japanはこれまで、マーケットのニーズに合わせた製品開発と製品ラインナップの補完や既存製品との相互シナジーを目的としたグループ企業拡大により、そのビジネス領域をConnectorから接続ソリューション(Connector, Sensor, High-voltage, High-speed)に成長させてきました。経済や社会の情勢が大きく変動している中、テクノロジートレンドや顧客動向を見据え、さらなるビジネスの飛躍を目指しています。

  

 

TEの高電圧製品について

タイコ エレクトロニクス ジャパン(TE)では、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド)の需要増に対応するため、大電流に対応したコネクターの品ぞろえを拡充している。2018年10月16日から開幕する「CEATEC JAPAN」では、充電コネクターを始め、電圧750V/電流300Aに対応した車載コネクターシステム「AMP+HVP1100」などの高電圧製品を中心に展示する。

超小型EV「FOMM ONE」

TEの高電圧製品を採用しているのは従来の自動車メーカーだけではない。Tesla(テスラ)や中国のBYDに次ぐ量産EVベンチャーを目指しているFOMMも、TEの取引先の1つだ。FOMMは「FOMM ONE」という超小型EVに「水に浮き、水面を移動できる」「軽自動車より小さい車体で4人乗り」といった独自性を持たせ、まずは2019年初めからタイに参入する予定だ。350台以上の先行予約や1000件を超える試乗申し込みを獲得するなど前評判は高い。FOMM 代表取締役 CEOの鶴巻日出夫氏は「多くの人の協力がなければここまで来られなかった」と話す。特に、量産にあたってはサプライヤーからの部品の安定供給も欠かせない。

  

 

今回両社のトップである、TE 代表取締役社長の上野 康之氏とFOMM代表取締役CEOの鶴巻 日出夫氏に、電動化に対する取り組みを聞いた。

充電インレット

TEの電動化への取り組み

TEは、ベンチャー企業から、自動車メーカーや大手サプライヤまで取引先が幅広い

  上野 康之氏 TEの製品はグローバルの自動車規格に準拠しており、国内外のEVやハイブリッド車で数多くの採用実績を積み上げてきた。自動車 に求められる電流の要求値 はますます大きくなっているため、出力の大きい駆動用モーターや、 大電流のバッテリーに対応したコネクターのラインアップも強化し ている。35~95mm2の幅広いワイヤにも対応できる。  電動化によって大電流、高電圧に対応しながら小型化も両立し たコネクター製品も需要が増えている。ワイヤハーネスとは違うア プローチで、電動パワートレインをモジュール化して組み付けられ るようにし、内部構造のシンプル化に貢献する。組み立て工程にお いて、ワイヤハーネスを這わせずに直接つなげられることや、メン テナンスしやすいことが重視されていくだろう。  TEでは、エレクトロニクスの全産業領域をカバーしていることを 生かし、他 の産業で培った技術を応用した車載製品にも取り組んで いる。その例として、車載イーサネットで伝送速度10Gbpsを実 現するデータリンクシステムの開発がある。お客さまの抱える課題 を解決し、高付加価値の製品を提供していきたい。

 

タイでの取り組み

TEとFOMMにとって、タイという国は共通点の1つ

  上野氏 東南アジアは日系自動車メーカーの生産拠点として成長している。タイがその中心であるのは間違いない。2013年、タイのチャチェンサオ県のGateway City Industrial Estateに工場を設立した。タイと日本のTEが協力し合うことによって、東南アジアに進出している日系自動車メーカーのニーズに対応した製品を開発していく。

 

鶴巻氏 タイを東南アジアにおける「EVのハブ」にしようという方針が出ている。今現在、タイで生産しているEVはないし、輸入車が少し走っている程度だが、これからは少しずつ街中を走るEVが増えていくのではないか。FOMM ONEは、企業向けだけでなく、一般ユーザー両方から予約をいただいている。EVは高いという認識が持たれているが、予約は多く、試乗会にも関心を寄せてもらっている。

TE Connectivity タイ工場

タイのチャチェンサオ県のGateway City Industrial Estateにある工場

次世代イノベーション

次世代のイノベーションを育てる取り組みとしてどのようなことを行っているか

  上野氏 まずは会社や人のマインドが、多様性を受け入れられるかどうかだ。ビジネスは、コミュニケーションで生まれてくる。同じ業界の中だけにいると、突拍子もないことは生まれない。産業やテクノロジーに壁はない。

 

 具体的な取り組みとして、トヨタ自動車がバンコクで実施している超小型EVシェアリング「CU TOYOTA Ha:mo」の共同開発チームにわれわれも積極的に参画している。また、タイEV協会(Electric Vehicle Association of Thailand)との連携や、EVクラスも設定している自動車技術会の「学生フォーミュラ」の支援などを行っている。

 

鶴巻氏 日本は少子高齢化で、人がどんどん減っていく。自動車についても、長い目で見れば生産は減るだろう。そうなる前に、小さい企業を生み出しながら新しい産業を興していくことが必要だ。新しい産業が育つきっかけになれば……という思いでFOMM ONEの開発に取り組んでいる。

 

上野氏 今後、超小型EVを含めて、EVを開発するベンチャー企業は増えていくだろう。そのために、取引先が幅広いことを生かしてベースとなる部分を大手メーカーと作りながら、細かな部分をカスタマイズする方針をとる。

 

鶴巻氏 まとまった量がないとサプライヤーには厳しいと理解している。普及させるには価格をさらに抑えたいという思いもあり、鶏が先か卵が先か、悩ましいところだ。小規模なベンチャー企業に対して柔軟な考え方ができるのはグローバルに事業を展開する企業ならではだ。

企業協力

TE Japan と FOMM、今後必要な企業協力とは

 鶴巻氏 技術面では、高電圧製品の動向が気になるところだ。TEから、そうした分野の最新情報を聞きながら引き続き協力していただきたい。

FOMM-TEJapan 対談

TE 代表取締役社長 上野 康之(左)、FOMM 代表取締役 CEO 鶴巻日出夫 氏 (右)

FOMM ONE

電気自動車 FOMM ONE