用途
サーモカップルの比較
温度範囲および公差範囲、材料、性能、用途など、広く使われているサーモカップル タイプの特性と主な用途について詳細をご覧ください。
すべてのサーモカップルは同じ科学的原理に基づいて動作しますが、材料、構造、そして究極的には使用温度範囲の違いによってサーモカップルのタイプが違いが生まれます。 これらの各種サーモカップル タイプは文字で識別されます (「タイプ K サーモカップル」など)。以下では、サーモカップル タイプごとの違いについて説明しています。
サーモカップル キャリブレーション タイプ
サーモカップルはアナログ温度センサです。すなわち、出力データの換算と変換が必要になります。サーモカップルの場合、電圧出力は起電力 (EMF) および各サーモカップル構造の温度曲線を考慮するようにキャリブレーションされます。たとえば、一部のサーモカップルは低温で大きな電圧を生成しますが、はるかに高い温度に達するまで電圧を生成しないサーモカップルもあります。
キャリブレーション タイプは、指定された温度範囲の電圧曲線として最も直線に近い線を作成することによって器具や温度コントローラが対応する温度の値に電圧を正しく整合させやすくすることを目的としています。サーモカップルは用途中の雰囲気に基づいてもキャリブレーションされます。したがって、動作中の雰囲気とサーモカップル タイプの間の化学反応を避けることができます。サーモカップル キャリブレーション タイプを正しく選ぶことによってセンサの寿命と精度の要件を保証することができ、冶金的劣化を避けることができます。
サーモカップル タイプ
K タイプ サーモカップル
広い温度範囲
最もよく使用されているタイプのサーモカップルで、使用温度範囲が最も広いという特長があります。K タイプ サーモカップルは、ニッケルを主とした合金製で耐腐食性があるため、ほぼすべの用途に適合します。
- + ワイヤは非磁性 (黄)、- ワイヤは磁性です (赤)。
- 高温動作に対応する従来のベース金属から選択できます
- 1,260°C (2,300°F) までの温度の酸化性雰囲気または不活性雰囲気における使用に 適合します
- 清浄な空気の酸化性雰囲気において最大限の性能を発揮します
- 硫黄に対して脆弱です (硫黄含有雰囲気への曝露は避けてください)
- 真空における部分酸化状態、または酸化と還元が交互に繰り返される状況下の使用には推奨されません
J タイプ サーモカップル
汎用用途 (水分のない場合)
K タイプに次いでよく使用されるサーモカップルです。湿気がない用途において、汎用的に使用できます。
- + (鉄) 脚は磁性 (白)、- 脚は非磁性 (赤) です
- より太いワイヤ ゲージ サイズによる 760°C (1,400°F) までの真空・大気・還元性・酸化性雰囲気での使用に適合します
- 鉄線は温度が540°C (1,000°F) を超えると急速に酸化するため、細いワイヤ サイズの耐用年数は制限されます
- 540°C (1,000°F) を超える硫黄雰囲気での使用は避けてください
- 0°C 以下で使用すると鉄線にさびが出て脆化するため、0°C 以下での使用は避けてください
E タイプ サーモカップル
高出力 EMF
- どちらのワイヤも非電磁型です。+ ワイヤは紫、- ワイヤは赤です。
- 標準タイプの中で最も高い EMF (起電力) を出力します
- 酸化性雰囲気または不活性雰囲気における 900°C (1,600°F) までの温度での使用が推奨されます
- 清浄な空気の酸化性雰囲気において最大限の性能を発揮します
- -230°C (-380°F) までの低温に適合します
- 次の条件には推奨されていません (短期の使用を除く):
- 部分酸化状態
- 酸化と還元が交互に繰り返される状況
- 真空状態
T タイプ サーモカップル
-200°C (-370°F) までの低温に適合
- どちらのワイヤも非電磁型です。+ ワイヤは青、- ワイヤは赤です
- 大気中での使用時、370°C (700°F) まで耐湿性があり、非常に安定していて有用です
- 真空での使用時、または還元性・不活性雰囲気において、他のタイプより高温域で使用できます
- -200°C (-370°F) までの低温に適合します。特殊な材料の選択を必要とする場合があります。
設計仕様
温度範囲
タイプ | 用途範囲 | 商標名 | カラー コード |
---|---|---|---|
K | 95°C ~ 1,260°C (200°F ~ 2,300°F) | クロメル/アルメル | 赤 (-)/黄 (+) |
J | 95°C ~ 760°C (200°F ~ 1,400°F) | 鉄/コンスタンタン | 赤 (-)/白 (+) |
E | 95°C ~ 900°C (200°F ~ 1,650°F) | クロメル/コンスタンタン | 赤 (-)/紫 (+) |
T | 0°C ~ 350°C (32°F ~ 660°F) | 銅/コンスタンタン | 赤 (-)/青 (+) |
公差範囲
初期キャリブレーション公差
タイプ | 温度範囲 | 標準限界 | 特殊限界 |
---|---|---|---|
K | -200°C ~ 0°C* 0°C ~ 1250°C |
±2.2°C または ±2%* ±2.2°C または ±0.75% |
該当なし ±1.1°C または ±0.4% |
J | 0°C ~ 750°C |
±2.2°C または ±0.75% | ±1.1°C または ±0.4% |
E | -200°C ~ 0°C* 0°C ~ 900°C |
±1.7°C または ±1%* ±1.7°C または ±0.5% |
±1°C または 0.5%* ±1°C または ±0.4% |
T | -200°C ~ 0°C* 0°C ~ 350°C |
±1°C または 1.5%* ±1°C または ±0.75% |
±0.5°C または ±0.8%* ±0.5°C または ±0.4% |
*サーモカップル ワイヤは、0°C を超える温度に対応する許容差を満たす目的で供給されています。 既定のサブゼロ許容差の範囲に収まるようにするため、これらの同じ材料に対する特殊な選択と試験が必要となる場合があります。
ワイヤ サイズの温度上限
次の表は、推奨温度上限をサーモカップルのタイプとワイヤ サイズ別に示したものです。これらの温度上限は、従来の保護用閉端チューブ (シース) 内の保護されたサーモカップルにあてはまります。
ゲージ | K | J | E | T |
20 | 980°C (1,800°F) | 480°C (900°F) | 540°C (1,000°F) | 260°C (500°F) |
24 | 870°C (1,600°F) | 370°C (700°F) | 430°C (800°F) | 200°C (400°F) |
28 | 870°C (1,600°F) | 370°C (700°F) | 430°C (800°F) | 200°C (400°F) |
30 | 760°C (1,400°F) | 320°C (600°F) | 370°C (700°F) | 150°C (300°F) |