農地を走行するトラクタ

モビリティの電動化

トラック/バス、オフロード車両の充電時間への対応

電動化のトレンドと総所有コスト 相手先商標製品製造会社や自動車メーカが業界のイノベーションを推進する中で、自動車の電動化が進みつつあります。電動化には非常に多くの重要な利点があります。特に、再生不能エナジーの使用量や炭素排出量の低減という利点のある持続可能なトランスポーテーション形態が生み出されています。もちろん、克服できていない課題もあります。たとえば、利用しやすい充電インフラストラクチャの構築、次世代の車両アーキテクチャやソリューションの開発、この幅広い業界イノベーションへの資金調達がそうです。とはいえ、ビジネスの分野における電気自動車の課題は消費者向け製品の課題とは大きく異なります。

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 事業活動において、お客様のニーズを満たすのは当然のことです。トランスポーテーション分野の業務でそのニーズを端的にいえば、通常、お客様に最小限のコストで期限どおりに貨物を届けることになります。企業は、総所有コスト (TCO) を最小限に抑えながらお客様のニーズを満たし、収益性と運用効率を高めることを目指しています。

 

下図 1 に示されている各懸念事項は、トラック/バス、オフロード車両 (ICT) 業界が現在対処しようとしている課題と直接関連のあるものです。それぞれは何らかのかたちで TCO に影響を与えており、最終的には解決されると考えられます。業界が直面しているこれら重要な課題の 1 つは、バッテリー電気自動車 (BEV) の充電時間です。

 

充電時間が最大の懸念事項にならない商用用途は少ないわけではありません。たとえば、市営バスは完全な電気推進アーキテクチャを極めて迅速に採用できます。米国各地やヨーロッパ各地の都市では公共の用途に電気バスが導入されています。ただし、中国は大規模なバスフリート用途を重視しています。現在世界中の路上に存在する電気バス 425,000 台のうち、400,000 台以上は中国にあります。これらのバスは定められた路線を運行し、専用の充電ステーションが駐車場に用意されています。スクールバスも BEV を早期に採用できる候補の 1 つです。運行時間が短く、明確に定められた路線を運行します。郵便や、DHL、ヤマト運輸、UPS、Zhongtong、アマゾンなどの宅配便からの地域 (ラスト マイル) 配送も BEV を速やかに採用できる分野です。

 

それ以外の商用用途で BEV を推進する動きはあまりありません。製品・旅客・農産物などを輸送する長距離トランスポーテーション事業においては、トラックやバスの充電時間の長さは到底受け入れられるものではありません。商品は遅延なく迅速に目的地に届けられる必要があります。大型長距離バスを利用する旅行者にも数時間ごとに停車してさらに数時間かけてバスを充電するまで待ってもらうわけにはいきません。充電時間は、少なくともディーゼル燃料の補給時間と同等程度である必要があります。米国の政治家であり科学者でもあるベンジャミン フランクリンの言葉に「時は金なり」というものがあります。充電時間が長いと旅客や運送量が減少して収益も下がります。

自動車の電動化
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業界は急速充電インフラストラクチャの提供を重視 電気自動車充電ステーションは至る所で見かけられるようになっているようです。しかし、過酷な環境下での使用に耐える長距離トラックについては言うに及ばず、乗用車であっても、簡便さという点では充電は軽油やガソリンの補給よりも遙かに劣っているのが現実です。次ページの図 2 で示すように、トランスポーテーション産業や電力産業はこの重要な業界のニーズに対応すべく懸命に努力を行っています。

 通常、今日利用可能な急速充電器は、電力が 50 ~ 200 キロワットとして一般的な電気自動車に 1 時間で充電できるのは走行距離にして約 320 km に達しません。業界では、現在、これと同じ充電量 (走行距離約 320 km 分) を 10 分以内で供給するハイパワー急速充電 (HPC) の開発を進めています。これによって内燃エンジン (ICE) で走行する自動車のガソリン タンクへの給油と同様のエクスペリエンスを実現できます。商用車両分野では、それぞれの用途に適したバッテリー容量を前提として、長距離輸送が可能な大型バッテリーによる高電流充電能力が強く求められています。自動車技術者協会 (SAE)、CharIN E.V.、CHAdeMO 協議会などの複数のグループは、電気自動車の国際的充電規格の開発に取り組んでいます。

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 これらの業界全体に関わる団体によってこれまでいくつかのプロトコルと物理インタフェースが策定されてきました。超高速 DC 充電の確立と加速の作業は現在も進められています。厳格な規格を導入することについての議論は残っていますが、いずれそれほど遠くない将来に超高速 DC 充電機能が実用化することは間違いありません。図 2 で示すように、プラグイン充電ステーションであってもパンタグラフ経由であっても、超急速充電を車両が確実に活用できるようにすることを標準インタフェースが策定されるまで待つわけにはいきません。

急速充電コネクティビティに関する技術的課題に直面する車両 車両は 500 KW の充電を効果的に処理できるようになるでしょうか?1 MW 以上の充電はあり得るでしょうか?時間単位ではなく分単位で車両に充電できるようになるニーズがあることは明らかですが、安全かつ効果的にこのニーズを満たす方法はそれほど明確ではありません。

 

自動車業界ではこうした需要に後押しされるかたちで、かつてないレベルの難問を解決する幅広いソリューションに取り組んでいます。充電インレットは、現行世代の電気自動車の 10 倍 ~ 20 倍の電力に対応する性能が必要になるでしょう。1 メガワットあるいはそれ以上の電力を 50 kW 対応のインレットから充電するのは、消火用ホースの水を飲もうとする行為に等しいものです。こうした電力伝達、熱処理、アーク放電、安全に関する問題を、接続部・ケーブル・スイッチ/接点のすべてがインテリジェントに管理できることが大前提となります。充電時の高電圧/高電流を求めるニーズの影響を受けることになる、コンポーネントやサブシステムの設計最適化を可能にする、新しい熱モデリングおよびシミュレーション技術の開発が待たれています。

熱モデリング

図 4: 高電流コネクティビティ経路: 熱モデリング

 正確なセンシングは、接触型でも非接触型でも、リアルタイムの情報を提供してインテリジェントな電力管理を可能にしなければなりません。

 

図 3 は、各車両メーカが開発し、要件に応じてカスタマイズしたコネクティビティ アーキテクチャの概略を示しています。TE Connectivity はコネクティビティ サプライヤとしてお客様と緊密に連携し、それぞれの具体的な要件や自動車のアーキテクチャに合わせた堅牢なソリューションを提供することでお客様の成功をサポートしています。具体的には、急速充電について、TE Connectivity は、的を絞った細かな質問に回答することで充電インレットからバッテリーにまで至る用途要件を細分化してお客様をサポートしています。当社は、次のような審査についてお客様に協力しています。

 

  • 車両はさまざまな国際規格にどのように対応するのでしょうか?図 2 からわかるように、多くの充電プラグインタフェースの国際規格が競合しています。それぞれにメリットとデメリットが存在します。TE Connectivity はさまざまなトランスポーテーション分野にわたる世界中のお客様と協力し、市場ニーズに合うようにソリューションをカスタマイズしてきました。これにはモジュール型のプラットフォームの構成要素によるアプローチを使用しています。これによって、費用効率の高いかたちで適切なタイミングで適切なソリューションを実現することができています。
  • より多くの電力を使用することで発熱量も大きくなるのでしょうか?充電に関する温度管理はインレット、プラグ、ケーブルにとって最大の課題です。物理学的に簡単に表現すれば、P=V*I、Heat = I2R になります (P = 電力、V = 電圧、I = 電流、R = 抵抗)。通常のバッテリー パックは、現在、480 V です。50 kW (480Vx100A) から 240kW (480Vx500A) になると、最大 5 倍の電力増加から 25 倍の温度上昇が生じます。TE Connectivity には社内に電熱モデリングおよびシミュレーション能力があり、充電時の高電圧/高電流を求めるニーズによって影響を受けるコンポーネントやサブシステムの最適な設計を可能にしています。
  • 急速充電に必要となる高電力は車両充電インレットの技術進歩に貢献するのでしょうか?TE Connectivity は充電インレットを開発しています。一体型のセンシングおよび作動機能によって、インテリジェントな充電制御とともにタッチセーフ動作と充電状態のフィードバックが安全かつ確実に実現されます。これらのインレットは、離散点間操作から、または分散インテリジェント制御を通して、さまざまなお客様の車両内電気/電子アーキテクチャに適合するように拡張できます。TE のアーキテクチャ チームとエレクトロニクス チームはさまざまな充電ステーション アプローチとプロトコルに対応するソリューションを提供します。
  • 高電力になるとワイヤや接続部は大型になるのでしょうか?電流が 200 A を超える場合は冷却が必要です。充電ステーションから車両まで渡せるケーブル サイズとコネクタ サイズを維持するためです。接続部品を大きくするだけでは使用できなくなったりコストが非常に高くなったりします。同様の課題は車両内部にも存在します。インレットからの接続は充電ケーブルのような物理的な取り扱いは必要ありませんが、それでも可能なかぎり小型軽量で経済的にする必要はあります。TE Connectivity はお客様と連携して積極的にこれらの複雑な問題に対応しており、革新的な新しいソリューションを作成する際に能動的冷却や拡張電力の管理技術を採用し、材料科学や接点物理学の専門知識も活用しています。図 4 に、高電流コネクティビティ経路上の冷却箇所の例を示します。
  • 急速充電に関する高電流要件の安全性の影響は何があるでしょうか?電力と電圧が高いほど安全性のリスクは高くなります。充電インタフェースは電圧の安全性を考慮して 1000 V ~ 1500 V に制限されています。充電ハンドルに触れても火傷しないようにするため、温度管理が極めて重要になります。TE Connectivity はお客様と協力しながら、これらの課題に対応するコネクティビティ ソリューションを提供しています。制御可能な素子 (コンタクタ、リレー、スマート インレット、スマート アクチュエータ) を提供するとともに、現在の経路全体にわたってセンシング (温度、電圧、電流) を組み込むことによって、TE のお客様は複数のレバーを使用して電力経路を最初から最後までインテリジェントに管理して安全に制御できます。
  • 車載バッテリー接続は電力の増加に対応できるのでしょうか?バッテリー技術開発は産業投資の重要な分野です。1 回の充電で走行可能な距離を増やすためには、バッテリーの出力密度を増やす必要があります。問題は、パッケージ サイズを最小限に抑えてコストを抑制したままで cm3 あたりの電力を最大化する方法です。TE Connectivity は、お客様のために高電圧で物理的柔軟性に優れたバッテリー モジュール端子やバッテリー パックにスケーラビリティをもたらす接続インタフェースを開発しています。これらは過酷な環境に耐え得る堅牢なインターコネクションで電流・電圧・温度センシングを内蔵し、バッテリー管理 (充電率と劣化度) をスマートに制御することができます。これによって、お客様は活性化学物質とバッテリー システムの機械的オーバーヘッドのバランスを取ることができます。
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トラックのアーキテクチャ

選ばれたサプライヤとしての TE Connectivity 整理すると、業界は、バッテリーに供給する電力を増加させて長距離商用用途の車両の燃料補給時間を時間単位から分単位に短縮することを強く求めているということです。電力が増えるということは、充電インレットからバッテリーまでの車両内部の熱と部品ストレスが高まるということです。この現象はインテリジェントに管理されなければなりません。接触型および非接触型のセンシング技術によって温度・電圧・電流の情報をリアルタイムに取得する必要があります。これらの課題に対応するため、エンジニアと科学者からなる TE Connectivity のチームがお客様と緊密に連携し、お客様の具体的な要件に対応するようにカスタマイズした堅牢なソリューションと、現在そしてこれからも最も過酷な環境に対応できる車両アーキテクチャを開発することで、お客様の成功をサポートしています。

 

当社はシステムの知識が豊富なコネクティビティ ソリューション サプライヤです。エレクトロニクスアーキテクチャと物理的統合に関する専門知識を有しています。したがって、お客様の専門用語を理解することができます。幅広い製品ラインナップ、技術設計の専門知識とノウハウ、製造およびアプリケーション ツーリングの能力、そして Power of TE、すなわち当社のエンジニア、科学者、全世界の拠点が関わる業界や市場の深さと奥行きを活用することで、お客様をサポートします。

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製品ラインナップ。 コネクティビティ ソリューションのグローバル リーダーとして、当社はお客様や他の業界テクノロジーリーダーと協力し合い、高電流コネクティビティ ソリューションのさまざまなアーキテクチャ要件に対処できるソリューションを作成しています。当社には、高まりつつある電力および振動に対する要件を満たすようにカスタマイズされた端子とコネクタの強力なラインナップがあります。当社は、インテリジェントな充電制御とともにタッチセーフ動作と充電状態のフィードバックを安全かつ確実に実現する完全な充電インレット アセンブリを提供できます。これらのソリューションには、充電用高電流コネクタ、車両にケーブル ノズルをロックする一体型アクチュエータ、バッテリー モジュールに温度と電流の情報を提供するセンサ、運転者に情報を提供する LED などがあります。

 

当社は過酷な環境に耐え得る堅牢なインターコネクションを提供できます。電流・電圧・温度センシング内蔵で、バッテリー管理 (充電率と劣化度) をスマートに制御できます。ラインナップを完成させる製品として、高電圧コンタクタ (電子制御可能なスイッチ) およびコネクタもあります。安全で効率的なパワー開閉と配電を可能にしてインテリジェントで最適化された充電を実現します。

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技術設計の専門知識とノウハウ。 エンジニア、接触物理学者、材料科学者による TE Connectivity のチームはお客様と密接に協力し、75 年以上の物理的接続システムの専門技術を活かして増大を続けるコネクティビティ要件や課題に最適化されたソリューションを開発しています。 

 

世界中に用意された設計センタによって、お客様の近くであらゆるシミュレーション、モデリング、プロトタイピング、試験を行うことができます。その他の技術能力は、次のとおりです。RF 設計および EMC の専門知識、小型の堅牢な実装を可能にする小さく柔軟性に優れた相互接続技術の設計・製造・アプリケーション ツーリングの専門知識、シームレスなエレクトロニクス統合、製品開発サイクルの最初と最後の両方をサポートする設計の拠点である環境試験および開発研究所、進化を続けるお客様の動作環境の要件に合わせて設計を最適化する工具と機器。

 

対象となる産業分野とグローバル展開の深さと奥行き。TE Connectivity は、民生機器、航空宇宙および防御、産業、アプライアンス、トランスポーテーションなどを含む多様な業界と市場を代表する非常に幅広いお客様に応対しています。当社全体のつながりを深めることで、トラック/バス、オフロード車両に特化した当社のエンジニアが世界中の仲間に知識と経験を利用して ICT 業界の課題を解決することができます。

 

当社は、さまざまな規格委員会や産業コンソーシアムに参加しており、プロセスの初期に問題解決を行うことができます。研究開発に幅広く先行投資し、業界の困難な課題をお客様に影響が出る前に解決できるような協働を模索しています。

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製造とアプリケーション ツーリング。

当社は、社内にアプリケーション ツーリング事業部門のあるコネクティビティ ソリューションの世界的なメーカとして、全世界的な製品製造プロセスを利用するだけではなく、製品の設計をお客様の具体的な製造方法や慣習に確実に合わせます。

進化を続けるお客様の運用環境の要件に合わせて設計を最適化する工具と機器を備えています。サプライ チェーン全体と連携し、ハーネス メーカからモジュール メーカやシステム サプライヤまで、高電流コネクティビティで最適なシステムレベルの性能を実現します。特定の用途や需要に対する適切なパワー コネクティビティ ソリューションを提供します。

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参考文献

  1. 『Electrifying a Movement: Connectivity for Electric Vehicle Charging, Energy Storage, and Controlled Power Management』、トレンド ペーパー、TE Connectivity、2020 年 4 月、https://www.te.com/content/dam/te-com/documents/automotive/global/electrifying-a-movement-trend-paper-en.pdf
  2. 『Electrifying a Movement: Accelerating Hybrid & Electric Mobility In Commercial Transportation』、TE Connectivity、記事、2020 年 6 月、https://www.te.com/global-en/industries/hybrid-electric-mobility/insights/electrifying-movement-trend-paper.html
  3. Mark Kane、『CharIN Starts Development Of Fast Charging Beyond 1 MW』、記事、InsideEvs、2019 年 2 月 27 日、https://insideevs.com/news/343058/charin-starts-development-of-fast-charging-beyond-1-mw/
  4. Charging Interface Initiative e.V. のポジションペーパー、2020 年 4 月 29 日、https://www.charinev.org/media/position-papers-regulation/
  5. 『CharIN High Power Commercial Vehicle Charging Task Force Aggregated Requirements』、要件定義書、2019 年 2 月 18 日、https://www.charinev.org/fileadmin/HPCCV/High_Power_Commercial_Vehicle_Charging_Requirements_v2.0.pdf
  6. CHAdeMO 技術の概要。https://www.chademo.com/technology/technology-overview/
  7. Sam Abuelsamid、Navigant Research、『Electrification and Automation Will Transform the Future of Trucking』、Automotive World、2019 年 9 月 9 日、https://www.automotiveworld.com/articles/electrification-and-automation-will-transform-the-future-of-trucking/
  8. Kristoffer Tigue、『U.S.Electric Bus Demand Outpaces Production as Cities Add to Their Fleets』、Inside Climate News、2019 年 11 月 14 日、https://insideclimatenews.org/news/14112019/electric-bus-cost-savings-health-fuel-charging
  9. Laura Beshilas、『Fuel Cell Electric Buses in the USA』、NREL、記事、2019 年 6 月 25 日、https://www.nrel.gov/state-local-tribal/blog/posts/fuel-cell-electric-buses-in-the-usa.html
  10. Lauren Navarro、『California’s smart and economically savvy plan for electrifying trucks』、記事、Environmental Defense Fund、2020 年 3 月 6 日、http://blogs.edf.org/energyexchange/2020/03/06/californias-smart-and-economically-savvy-plan-for-electrifying-trucks/
  11. Patterson, Jeremy、『DC Fast Charging: A Thermal Challenge』、『Charged Electric Vehicles Magazine』ウェビナー、2020 年 6 月 16 日、https://chargedevs.com/wp-content/uploads/2020/06/automotive-next-gen-mobility-hp-charge-04-2019- EN.pdf