次なる産業革命の原動力となる技術

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装置間通信の世界に関するこの新しい記事を、Wired Brand Lab が TE Connectivity と共同で提供します。

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WIRED Brand Lab と TE Connectivity の協同
画像の著作権: Getty Images/Moment RF
出典 Wired.com

マシン間通信によって、地上・海上・空中・宇宙空間に関する正確なデータが織りなす膨大な網の目が 形作られています。家庭もオフィスも乗用車も、つながりました。製品も環境も人間も、よりスマートに、安全に、環境に優しくなります。

こうしたことのいくつかは、容易にイメージできます。しかし一方で、想像に難いものもあります。 先頃工場の世界に登場した、「産業革命」の概念そのものを変えるような、まったく新しい相互接続もその 1 つです。当時は、すべてを手作業で行う世界から、新しい動力源を用いて速度と効率を追及する世界へと社会が移行する途上にありました。エンジンのような騒音を上げて動いていた大規模工場には、効率化の波が押し寄せ始めていました。そこから、石油と電気に後押しされての第二次産業革命、さらにはデジタル技術に突き動かされた第三の革命へと状況は移り変わっていきました。

 

飽くなき生産効率向上と、より直観的な形での問題特定方法を追求する風潮が続く中で、工場は装置間通信分野における最前線の様相を呈するようになりました。 

  1. 未来に向けた工場のデジタル化

工業生産はデジタル時代を迎えています。当社では、古い設備でもネットワークに接続し、他の機器やオペレータとリアルタイムでやり取りできるようなフレキシブルなソリューションを開発しています。

最大の効率で運用するには、製造スペースのあらゆる小さなパラメータもミリ秒単位でモニタし、生産全体においてリアルタイムの相互接続性を実現する必要があります。 以前は、これらの広大な設備に装備された旧式のセンサはインターネットに接続せずにデータを収集していました。今や、生産パイプライン全体にエンドツーエンドの Ethernet ベースのデータ通信が存在する時代です。業界専門家は、これらの巨大な相互接続ネットワークを産業界のモノのインターネット (IIoT) と呼んでいます。

 

これらの新しいスマート ファクトリは、モノの世界をデジタルに接続します。そして、インタフェースとエンジニアの両方を、ほぼあらゆる装置とあらゆるクラウドに接続します。シンプルなセンサから複雑なアセンブリ ロボットまで、これらのネットワークに存在する各装置によって生データが生成・分析・加工され、生産がリアルタイムに把握できるようになります。それらはますます重要な決定をするようになってきており、多くの情報を利用してエネルギの使用直後に動作を止めることで不効率性をすみやかに解消できるようになりました。

 

多様なセンシングによって生産エラーに関する情報が直ちに集計され対処できます。デジタルなネットワーク接続された工場は、製品を販売する店舗などのサプライ チェーンのどの部分からの情報にも対応できます。製品寿命全体にわたるデータに簡単にアクセスできるので、メーカは各ユニットの正確な作成コストを追跡することもできます。この情報を利用して、メーカはこれらのリアルタイムの測定値に応じた価格調整ができるようになっています。

 

私たちはこの第 4 次回産業革命の入り口にいるに過ぎません。製品とセンサには、エンジニア以外の人が現場で使用するように設計する必要がまだあります。帯域幅の増加や信号の信頼性向上も必要です。真に安定した通信があることで問題の発見と対処が早まり、メーカは電力を節約でき、工場はよりフレキシブルになります。それによって、ある日には大量の標準製品を生産し、次の日には少数の特定の派生製品を生産することができます。さらに小型化された素子が接続されてデータの生成、伝送、分析を行うようになるつれて、プロセスの精度もさらに向上します。

 

また、この新たに開発されたイノベーションは古い工場にも改善をもたらします。メーカは、最先端の技術を使用して、以前はオフラインだったデバイスを IIoT 対応にできるようになりました。収集されたすべてのデータがより新しいデバイスからのデータとともに処理できるようになり、装置、コントローラ、ドライブがネットワークと IT システムに組み込まれます。これにより、オフラインの古い工場が未来の活気あるスマート ファクトリに生まれ変わります。

IIoT 関連技術の用途はほぼ無限です。 モノが接続された工場だけではありません。先端技術で磨き上げられたセンサの世界は、家庭、職場、そしてその先へと進出しつつあります。

宇宙船の離陸準備時に、センサがエンジン始動中の 1,700°C 以上の温度を測定しており、同時にネットワーク接続された別のセンサ システムがその熱によるペイロードの溶融を防止します。これらのロケットの 184 トンもある巨大な外殻構造さえも、離陸で生じる強烈な空気力を測定するセンサによって保護されています。
 

あるいは、毎時 140 マイルでコースを疾走するハイテク  Formula E 電動レース カー も例に挙げられます。練習走行で車両をチェックしている間に、重要な温度データと圧力データが 200 キロワットの車両と急カーブにあるピットの間をほぼリアルタイムで移動しています。ドライバーの操作とサスペンション性能に関するその他の診断データも収集され、練習走行が終わったら取り出されてレース エンジニアによって分析されます。
 

Formula E チームは、車両とエンジニアの間のデータの流れをほぼシームレスにすることによってこのループをさらに緊密にすることにさえ取り組んでいます。Roborace の立ち上げに向けて、Formula E はすべてセンサを満載した自動運転車をレース トラックに登場させる予定です。多くの強力な自律型スーパー カーがトラックの中で一瞬一瞬の判断をしている世界では、車両とクルーの間をデータでつなぐことがますます重要になっています。
 

レースではあらゆることが重要です。それらが安全性と速度探求のバランスを取っているからであり、情報が多いということはさらにスマートな判断と迅速なゴール到達が実現できるということです。ほとんどの人はレース カーを実際に運転することがないにもかかわらず、このような装置のデータに基づく最適化はモノのインターネット (IoT) 全体の機能改善に役立っています。

これらの装置間の会話の精度はレース トラックのような決断が必要な状況で意味を持ちますが、オフィス ビルなどのそうでない場所でも使われるようになってきています。 ネットワーク接続された最新のビル (アムステルダムにあるアプリ対応の Edge など) は人間の行動に合わせて調整され、データの豊富なパターンを提供し、装置がそれらを利用してより多くの情報に基づいた決定を行っています。 現在でも、サーモスタット・スマートフォン・照明・セキュリティ システムは通信をするようになってきています。近いうちに、それらの制約はどの程度うまく連動できるかだけになるでしょう。
 

たとえば、通常、午後 7 時に仕事から帰って家に到着するとしましょう。サーモスタットはそのことを知っていて、ふだんは、ちょうどよい環境になるようにすべてを調整します。しかし、ちょっとした渋滞に遭ってしまったらどうでしょう?HVAC システムはエネルギとお金を 30 分ほど浪費することになります。しかし、装置間通信のおかげで、自動車が状況を評価し、遅延を計算し、新しい到着時間を自宅のサーモスタットに送信できる時代になりつつあるのです。それに応じて、サーモスタットは起動を調整して新しい推定到着時刻に合わせます。これで、装置間の少しの通信とインテリジェントな意思決定によって支出と炭素排出量をいくらか削減できました。その削減量を U.S. Census (米国国勢調査) による全米世帯数の 1 億 2400 万と掛け合わせてみてください。大きな影響があることがわかります。

 

各種センサはこのフレームワークにおけるデータ収集の中心製品です。センサは、湿度・位置・圧力・振動・速度からトルク・温度・動作に至るまですべてをモニタし、生の情報を収集して機械学習に役立てます。オフィスの環境では、これによってロビーのマイクロカメラがビデオ データを管理システムに送信し、訪問客があればソリッド ステート ダウンライトを作動できるようになるでしょう。ビルを出入りする人の流れは効果的にモニタされ、特に高度なシステムでは検出した人物の身元に基づいてアクセスを許可することさえできる可能性があります。

 

最新ツールは、宇宙船や高性能電気パワートレインの開発だけでなくどこで利用したとしても大きな効果をもたらします。エネルギ管理は新しいレベルの効率や安全性に対する厳しい目で試験され修正されています。私たちの暮らし方、働き方、遊び方には、果てしなく複雑な対話を行う小さなコンポーネントによって革命がもたらされつつあります。それらはすべて装置同士の見えない対話が原動力になっています。