医療用センサ設計の進化

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医療用センサ設計の進化

ネットワーク接続された医療産業の成長に伴い、その厳しいニーズに対応するためにセンサ技術の設計も進化しています。非接触式医療用途において考慮すべき 5 つの点を追及して、重要なトレンドを確認してみましょう。

パーソナル デバイスと医療機器は、新たな開発段階に到達しています。それに対応してセンサ技術も進化を続け、成長を続けるネットワーク接続された医療産業の厳しいニーズに対応しています。  モノのインターネット (IoT) をはじめ、データ分析や人工知能の機能強化などのトレンドによって、正確にデータを収集するセンサの重要性が高まっています。この重要なデータの収集には、侵襲性および非侵襲性のセンサ技術が利用されています。侵襲性センサは、外科手術中の動脈圧監視やカテーテル アセンブリのマイクロサーモカップルによる温度測定などの用途向けに設計されています。これらのセンサには、特殊な適合性と実装 (通常小型の使い捨てパッケージ) が要求されます。侵襲性・非侵襲性センサ技術には広範な使用事例があり、医療機器と装置の成長に対応するうえで、機械的設計と電気的設計のどちらにも考慮すべき点があります。この記事では、これらの非接触式医療用途のセンサ設計において考慮すべき点を追及し、認識すべき重要なトレンドを確認します。

 

最初に考慮すべき基本的なコンセプトのひとつに「残存可能性」があります。つまり、これらの機器の堅牢性です。 温度、振動、位置などの特性を測定するセンシング素子は、比較的小型で損傷しやすいコンポーネントです。たとえば、熱電対列センサは、有効視野 (FOV) 内で温度を測定するために、一連の精密なミニチュア サーミスタで構成されています。これらのセンサは、センシング素子を外部環境から保護するようにパッケージされています。これは、熱電対列が表面温度を測定するように設計されている換気装置などでは非常に重要となります。質量空気流量センサは、空気流量の温度を測定して状況変化を補完し、ボード上の他のセンサのベースライン温度測定値を提供します。ステンレス鋼ハウジングに密閉されたセンシング素子は、湿度など外部の過酷な環境要因から保護するためにハーメティック シールされています。
同様に、位置検知の非接触式測定では、センサをアセンブリ内部に実装できます。

 

異方性磁気抵抗 (AMR) 位置センサは、アセンブリ外部の磁気スケールを測定しながら装置内に実装・密閉できることから、その需要が高まっています。人工関節は興味深い一例です。この用途において、AMR センサは膝や足首などの関節の回転を測定し、動きを補完してより自然な歩行パターンを生み出すことができます。センサは膝の人工関節アセンブリに実装されるため、水・衝撃・通常の摩耗などの環境条件から保護されます。したがって、物理的な接触を介さずに、センサと動作する手足の間の独立した回転運動が可能になります。

熱電対列
KMXP

密閉されたアセンブリにセンサと電子部品を実装するには、滅菌の問題に対処する必要があります。 医療用途における滅菌には、蒸気滅菌装置の使用や酸化エチレン処理などさまざまな方法があります。装置の中に封止されたセンサは、コンポーネント レベルで極度の温度や湿度から保護されています。モーション コントロールに使用される非接触式センサでは、非導電性の油圧オイル浸漬センサをアセンブリに組み入れることができます。これにより、外部コンポーネントを露出させることなく、センサをアセンブリ内に組み込むことができます。ウェアラブル デバイスも、汗や塩素処理水などの日常生活を構成する要素にさらされます。どちらの要素も一見無害のようですが、電子機器やセンサに腐食の問題が発生することや、適切な保護を怠ると電気回路に短絡が発生することもあります。これらの状況からウェアラブル デバイスを保護するために、正確な検知と測定を維持する特殊被膜をセンシング装置に塗布することもできます。

センサ産業において考慮すべきもうひとつの重要なトレンドは、製品内部のセンサに必要とされる「スペース」を制限する、小型化に対する努力です。 ウェアラブルな接続デバイスの増加とともに、軽量な小型設計を生み出す能力が必要になります。腕時計、胸部埋め込み型心拍数モニタやジュエリーは、さまざまな精度で健康決定要因を測定しますが、過去に利用可能であった情報よりも多くの情報量を提供しています。健康な暮らしに対する消費者の関心が高まるにつれて、より正確なデータを取得したいと思う消費者の意欲がセンサの需要を高め、同じサイズのパッケージの中により多くのセンサを組み込むニーズを生み出しています。

健康な暮らしのためのウェアラブル機器を超えたところでは、小型センサが電子ロボット義肢の中に組み込まれています。指の力とコントロールには、精密な測定値による緻密な技術を必要とします。力の測定について考えると、一粒のブドウを「つまむ」力と「つぶす」力の差が重大になることがあります。したがって、一見単純と思える作業を指先で実行するためには、正確なデータが必要です。磁気センサを指の関節の回転部に適用すると、ひずみゲージによって、必要とされる精密な非接触式のコントロールと動きが可能になります。

「高精度」は、医療アプリケーション向けセンサを選択する際の重要な目標です。精度が高い安定した出力を備えたデジタル センサは、より高い価値を備えた選択肢です。 たとえば、デジタル熱電対列温度センサは、0° ~ 100°C の温度範囲において ±1°C という高精度の読み取り値を提供します。きわめて過酷な環境向けの幅広い用途に適用できるようにカスタマイズすると、これらのセンサは 300°C において ±4.5°C の高精度を達成します。アナログ製品の多くは低価格ですが、デジタル センサは、その設計と構成に基づいて、低オフセット値/低ノイズの増幅器や関連するフィルタなどの追加電気部品を購入する必要がありません。デジタル出力を実装する特定のセンサ技術では、同一の装置から複数の出力信号を出力できるので、基板のプラットフォームやスペースは必要ありません。 デジタル信号処理を取り入れることにより、センサは、消費者主体の医療機器として設計できます。これにより、より低い消費電力で、使用していない場合の「スリープ」モード機能を搭載した、より小型のバッテリーを使った低供給電圧による動作が実現します。

拡張性に関与するデジタル信号処理は、基本的な考慮すべき点のひとつです。 従来のアナログ出力信号は、最新の電子装置がデータを読み取って処理するために、ある程度の変換が必要です。オンボードのデジタル信号処理は、システムや装置製造中のキャリブレーション時間を短縮して、より高い精度につながります。センサ メーカのキャリブレーション装置は、センサの試験・検証を目的として設計されているので、アナログからデジタルへの信号処理を管理するためのシステム要件を複製することによって、OEM の投資を軽減することができます。また、センサ メーカは、機械的ツーリング・センサ プログラミング・キャリブレーションをカスタマイズすることによって、お客様の要件に応じたプラグ アンド プレイ設計を実現できます。

米国病院協会 (AHA)によると、5,000 軒にのぼる米国の登録病院の 2017 年における入院患者数は、3,500 万人を超えています。 米国の医療業界は、受診患者数、入院と入院期間を削減する努力の中心となっていますが、患者支援の需要と監視用機器のニーズは横這い状態です。したがって、拡張可能な自動生産に対応するセンサの設計は、医療業界の需要に遅れを取らないための価値ある選択肢となっています。

 

センサ向けの表面実装技術を利用すると、設計エンジニアは、アセンブリの電子部品の中にセンサを埋め込むことができます。手作業でアセンブリの中にはんだ付けする従来のリード フレーム設計が施されたフォト光センサは、すでに表面実装技術 (SMT) 設計に合わせてパッケージされています。リフローはんだ付け可能なパッケージによって、エンジニアは、ピック アンド プレース式装置を使って埋め込まれたアセンブリの中にセンサを設計できるようになります。これにより、全体的な品質が向上し、製造に要する時間とコストが削減します。水平方向または垂直方向に取り付けできる柔軟性を備えた AMR センサも、表面実装 (SMT) 設計に合わせてパッケージされています。システムの設計に応じて、システム内にセンサが確実に収まることを保証し、磁気配置に柔軟性をもたらすという点で、表面実装は重要な役割を担っています。