IoMT センサ技術

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センサを利用した IoMT ソリューションの設計

TE Connectivity (TE) の医療用センサ用途エンジニア Bala Kashi へのインタビューです。

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この記事は当初 Medical Product Outsourcing で公開されたものです。

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医療デバイス用のカスタム電子部品を設計する際は、どのような要素を考慮に入れる必要がありますか。

医療デバイス用のカスタム電子部品を設計する際は、数多くの要素について考慮する必要があります。用途の理解、検証、パラメータ、材料の選択、満たすべき基準、清浄性、コスト目標などという要素について確認する必要があるだけでなく、その他にも考慮事項があります。考慮事項の例としては、センサの堅牢性、サイズ、精度、拡張性などがあります。医療用コンポーネントはさまざまな過酷な条件や媒体にさらされる可能性があるからです。たとえばセンサが移植用途に利用されている場合は、長期的に臓器と接触することになるため、生体適合性をより重視する必要があります。さらに、センサはほぼ故障の可能性なしで長期にわたり機能できなければなりません。

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センサはさまざまな医療用途のデータ収集を可能にし、患者さんの治療や監視の方法を向上させます。TE Connectivity (TE) がセンサ技術をより健康な未来の IoMT 環境に適用する方法をご覧ください。

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医療デバイス用のカスタム電子部品の設計と製造に関する課題のいくつかを説明してください。

センサを含む医療用電子部品を設計および製造する際には、多くの課題が生じます。材料の選択、検証試験、品質システム、拡張、カスタム パラメータ試験などはすべて、このプロセスで発生する課題の一例です。さらにもう 1 つの課題として、医療業界では滅菌が最優先されるため、コンポーネントの製造方法に関する要件があります。つまりそうした製品を開発する場所では、具体的なガイドラインに従って、医療業界から求められる一定レベルの清浄度を確保する必要があるのです。

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お客様はカスタムの電子コンポーネントに何を要求または期待されていますか。

医療業界ではさまざまな医療用途に電子コンポーネントのオプションを義務付けています。ただしお客様からは、常に一定の要求があります。一部のセンシング コンポーネントは、人命に関わるさまざまな用途で測定を行うからです。たとえば生命維持装置の医療用電子コンポーネントの精度と機能は、その用途のため極めて重要になります。そしてまた、医療用センシング コンポーネントは高い信頼性を備え、すべての医療基準を満たす必要があります。

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IoT (モノのインターネット) はカスタム電子コンポーネントの開発にどのような影響を与えていますか。

最近では IoT 用途に適したセンシング コンポーネントの開発を求める動きがあります。センサは IoT 用途を効果的に広めるために必要なデータを収集する手段だからです。センサによって収集された情報により、医療専門家は重篤な状況をすばやく、より正確に把握し、患者さんに様態や改善についてより多くの情報を与えることができます。たとえば在宅ケアの用途でセンサが使用されている場合は、データがセンサのワイヤレス トランスミッタによってクラウドにリモート送信されている可能性があります。医師や患者はそのデータをダウンロードして分析することができます。また、センサ機器は何らかのイベントを誤ってトリガすることがないよう、正確で精密かつ信頼性があることを求められます。血圧検知から透析装置の監視まで、侵襲性センサおよび非侵襲性センサは、局所的なデータと情報をクラウドに提供して患者さんと医療業界に貢献しています。

  1. IoT センサ市場調査結果(動画:英語 - 日本語翻訳テキストあり)

TE Connectivity (TE) では、IoT 設計に関連するさまざまなトピックについて、エンジニアを対象とした調査を行いました。その結果、主にコンシューマ向け IoT、インダストリアル IoT、自動車向け IoT に強い関心を持つ約 180 名の上級エンジニアから回答が寄せられました。この調査から、IoT の用途および設計方法に関する詳細、さらに分野を超えて存在する共通の課題が明らかになりました。

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ビッグ データはカスタム電子コンポーネントの開発にどのような影響を与えていますか。

ビッグ データはカスタム電子コンポーネントの開発にプラスの影響を与えています。ビッグ データによって収集されるフィードバックは、モニタされている機能やパラメータに影響を与える可能性があります。たとえば、患者データはリモートに保管されるため、このビッグ データを分析することで、イベントが発生する前にその予測可能性を把握することができます。ビッグ データ解析により、年齢、性別、人種、場所、および患者の習慣別に、治療の有効性を確認できます。そのためこの情報があれば、治療をさらに個々の患者に合わせてカスタマイズできるようになるのです。将来的には、オンボードのセンサ機能を使用してデータを分析し、単なる「ビッグデータ」ではなく「重要なデータ」を送信するという、スマートなセンシングがますます重要になります。

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AI (人工知能) はカスタム電子コンポーネントの開発にどのような影響を与えていますか。

ビッグ データによるプラスの影響と同様で、人工知能 (AI) も何らかの患者イベントが発生する前に予測することを可能にします。AI は患者のパターンに基づいて、患者イベントを予測するだけでなく、そのイベントに対処することも可能にします。たとえば AI は、医療機器に不具合が生じたり患者が特定の症状を示したりした際に、救急隊員や医師に通知を送ることができます。また、AI は患者に取り付けられている他のデバイスとやり取りすることもできます。

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医療用デバイスの小型化のトレンドによって、柔軟なカスタム電子コンポーネントへのニーズは高まっていますか。

ウェアラブルおよびポータブル デバイスには、1 つのデバイス内により多くのセンシング機能を実現できるよう、より小さく軽量で電力を消費しないデバイスが必要になります。こうしたデバイスは開発に必要なリソースの量が多く、製造コストも高くなります。そのため設計の段階で、他の複数の潜在的用途を検討し、それらにも対応できるよう努める必要があります。

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その他に、小型化はカスタム電子コンポーネントの開発にどのような影響を与えていますか。

小型化コンポーネントの開発を求める動きにより、開発プロセスの内部にも影響が出ています。リソースの増加と、製品の効率的な機能を確認するために必要な追加試験によって、開発にまつわる時間とコストが増加しているのです。また、より小型のパッケージに同じ機能をすべて収めるというニーズもあります。たとえば、センサ機器を小型化するには多くのエンジニアリング作業が必要になります。高価な材料や精密なコンポーネントを使用する必要があるだけでなく、新しい設計も必要になる場合があるため、コストがかかります。またデバイスが非常に小さいため、高精度な製造技術も必要になります。そして新しいデバイスの性能が損なわれないよう、徹底的な検証試験や第三者による認定などを経ることも要求される可能性があります。

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変化する規制環境は、カスタム電子コンポーネントの開発にどのような影響を与えていますか。

法規制は製品や用途に一定の安全性を付与します。進化を続ける規制環境は、電子コンポーネントの開発と製造に影響を及ぼしています。こうした規制の影響で、新しい基準を満たすための新たな増加試験を行う必要が生じるため、製品の単価は上昇する可能性があります。また一部のカスタム部品は、加工や再設計が必要になることもありえます。

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低電力設計に対する需要は、カスタム電子コンポーネントの開発にどのような影響を与えていますか。

IoT 用途分野の発達により、低電力設計へのニーズは高まっています。そのため影響の例としては、センシング コンポーネントをデジタル化して、継続的に測定を行うのではなく必要に応じてデータを収集する機能を備えるよう設計したことなどが挙げられます。また、信号処理の機能を測定デバイスではなく受信機に含めるという移行も行われています。

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TE Connectivity (TE) がよりスマートかつ迅速で高密度なスマート ソリューションの配備によってどのように 5G の未来を実現しているかをご紹介します。「第 5 世代のワイヤレス ネットワーク通信」ホワイトペーパーをダウンロードしてご覧ください。

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貴社は欧州または米国の医療技術業界の顧客によるグリーン イニシアチブの影響を受けていますか。

TE Connectivity (TE) では環境規制を考慮して「グリーンな」アプローチを採用するという重点の移行によって、より環境に優しい製品を提供するための対策を講じています。たとえば TE では、環境規制に準拠していなかった一部の材料を置き換えるための措置を講じました。さらに、既存の製品や新製品に統合できる代替材料の特定にも努めています。

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医療用デバイスのカスタム電子コンポーネントの開発において、その他に気づいたトレンドがあれば教えてください。

進歩の多くは段階的なものです。デジタルおよびワイヤレス センシングの小型化、性能、人工知能、および価格の進歩は、今後も続いていくことでしょう。また医療業界のモノのインターネット (IoMT) の発達により、患者をモニタして遠隔操作機能を強化するためのポータブル デバイスやウェアラブル デバイスは今後ますます重要になっていきます。

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