次世代のインフォテインメント システム

つながる未来を設計する

エンドツーエンドのデータ コネクティビティの実現

将来、次世代インフォテインメントアプリケーションにより、運転者、乗客、および歩行者向けのよりスマートな体験が向上します。これらの体験をサポートするための、多機能センサと小型コネクタ、および内蔵アンテナと軽量ワイヤをご紹介します。

インフォテインメントシステムは、日常の生活体験をより楽しいものにしてきました。 自動車、航空機、エレベータ、公共空間から音楽や映像、そして日常的なエンターテイメントに手軽にアクセスができるようになりました。ハードウェアとソフトウェアの高度化に伴い、これらのシステムも進化し、お気に入りの映画、本や雑誌だけでなく、スケジュールの変更や現地の状況、目的地の最新情報などの重要な旅行情報へのアクセスもこれまでになく簡単になっています。

 

これらの堅牢なデータ・電力・信号のコネクティビティに対応するには、高耐久型の電子部品の開発が必要となります。電子部品は、単なる情報・エンターテインメント間のハブという概念を超えて技術を進化させ、旅行や日常生活、コミュニケーションの方法を変えるデバイス・機器・ネットワークにおける重要な構成要素となっています。

 

高まりつつある技術的統合へのグローバルな期待に応えるため、エンジニアは、モノのインターネット (IoT) 思考を取り入れて、より優れたエンドツーエンドのコネクティビティを実現しようとしています。これを達成するため、エンジニアは、高帯域幅を備えた低遅延のシステムを開発し、コネクティッド カーや航空機、長距離輸送のトラックや鉄道車両など、温度可変環境および高振動用途において確実に動作する能力を提供しながら、システムと都市空間を構築しています。この進化の最前線に、次世代型インフォテインメントアプリケーションがあります。

未来の動的なインタフェース。
電子部品を使用することで、通信システム向けの堅牢なエンドツーエンドのコネクティビティが可能になり、次世代インフォテインメント技術に多くの機会が生まれます。

現世代型の高度インフォテインメント システムは、小型コネクタと軽量光ファイバを備えています。 将来対応型のシステムには、5G 通信を実現する内蔵アンテナに加え、データの取得と使用を目的とした多機能センサが搭載されています。このような種類の電子部品により、高帯域幅を備えた常時接続のインフォテインメント システムの設計が可能になります。

 

また、高速データ接続に対応できるコンポーネントにより、高度にインタラクティブなインタフェースの開発が可能となり、リアルタイム情報、オンデマンド型エンターテインメントおよび人工知能を統合する複雑な 3D 視覚化システムを表示することができます。データ統合に対応する技術が進化するにつれて、これらのシステムが臨場感あふれるデジタル体験を創出する日が来るでしょう。スマート オーディオ ビジュアル (A/V) 技術 や 仮想現実 (VR) 技術と拡張現実 (AR) 技術を搭載したモバイル デバイスによって、物理空間が一変し、ダイナミックなマルチスクリーンでストーリー展開を楽しめるようになります。

 

これらの部品は技術的なエコシステムの不可欠な部分であり、インフォテインメントシステムの性能を高め、私たちのコミュニケーションの方法を変えることができます。そして、動的センシング、ホログラフィック エンゲージメントや予知プログラミングを可能にする、効率的な常時接続技術を開発する機会が実現します。

 

現在、TE Connectivity (TE) では、データ フローの加速化および配電の保護・管理と信号の明瞭度向上に対応した、堅牢かつ軽量の小型コンポーネントの幅広いラインナップを設計・製造しています。当社は、規模の大小を問わず世界中のメーカーと提携を行い、拡張機能によって消費電力低減と明瞭度の高い性能を実現しながら、より速く継続的に動作できるインフォテインメント システムの短納期生産イノベーションを達成できるようエンジニアを支援します。新しいビジネス価値を生み出すには、まず、次世代型インフォテインメントシステムのコネクティビティを実現する電子部品と、技術的エコシステムの統合を実現する電子部品の両方を理解する必要があります。

より速く,そして継続的に
動作可能なインフォテインメントシステムの
イノベーションを実現するために、私達はエンジニアのお手伝いをいたします。

まず、システムにて処理すべきデータ量を把握しましょう。 特に航空機、オフィス、都市空間などの複雑な技術的エコシステムにおいて、インフォテインメントシステムを効率的に運用し、効果的に保護するための帯域幅とスピードを理解する必要があります。そして、コネクタ、センサ、ケーブル、アンテナなどの電気コンポーネントと機械コンポーネントの種類を決定します。

 

たとえば、航空機や鉄道車両で Power over Ethernet (PoE) 性能を向上させるには、あらゆる Ethernet ケーブル接続方法の基本である ツイストペア ケーブル (差動ペアなど) が最適です。ツイストペア ケーブルを使用すると、エンジニアは、データにともなう電力の伝送によって PoE 性能を強化しながら、内部電線とエイリアン クロストーク (AXT) 間のクロストーク (XT) 干渉を効率よく最小限に抑えることができます。これは、配線数が少なくなることを意味しています。拡張機能性に必要とされるより高い電気的負荷を満たす十分な電力を提供しながら、サイズ全体と重量 (さらに運用コスト) を削減するシンプルな方法です。

 

シールド ケーブルと非シールド ケーブルの選択も重要です。最良の選択肢を決定するには、まず設計チームが電磁干渉 (EMI) からシステムを保護するための要件を理解する必要があります。これには、ケーブルを使用する場所と方法、ケーブルが信頼性、耐用性、外形寸法および重量、耐熱性能および耐震性能に及ぼす影響を把握することが含まれます。適切な種類のケーブルを正しい場所に配置することは、軽量でありながら堅牢な、簡単に取り付けられるシステムにつながります。また、予期しない運用の中断や過剰メンテナンスのない、信頼性の高い長期的な性能が実現します。

女性がスマートフォンでホログラフィック マップを見ています。
インフォテインメント アプリケーションのエンドツーエンドのコネクティビティによって、アクセス方法やデータの使用方法が変わり、新しい体験が生まれます。

エンジニアは、適切なケーブルを選択した後、 スイッチと端末機器間の接続の信頼性と再現性を高めるため、接続セットアップを慎重に選択する必要があります。このためには、コネクタ同士の違いを理解しておく必要があります。たとえば、 RJ45 コネクタ は通常、パーソナル コンピュータで Ethernet (イーサネット)接続を確立するために使用されますが、高振動アプリケーションでは、インフォテインメント システムはより頑丈な部品を必要とします。ここでは、 丈夫な M12 コネクタ と 小型、汎用 M8 コネクタの 2 つの選択肢があります。両方のコネクタとも、接続時に所定の位置に固定するためにねじ山を備え、コーディングとも呼ばれる標準的なピンとソケットの配置で設計され、長距離輸送用トラックと 地域および大陸横断鉄道での継続的なクリアな通信に要求される確実な接続を実現します。当社の M12 コネクタと M8 コネクタは、低発煙性および低毒性の厳しい安全性標準に適合するように設計されており、衝撃、震動、汚染、および極端な温度と湿度の条件に耐えるように製造されています。

今後数年間で 5G ネットワークが展開し、 規格が制定されていきます。 この技術によって 、より早く、より良い方法で情報にアクセスできるデバイス間の通信が生まれるでしょう。さらに重要なことは、技術の統合に対応しつつ、柔軟なネットワークを実現するデジタル進化の先駆けとなることです。この進化を可能にする重要な要素が 5G 通信向け内蔵アンテナです。

 

 標準設計アンテナ または カスタム設計アンテナとして利用できるこの組み込み技術は、OEM がネットワーク化されたデバイス間に超低遅延の通信を確立するチャンスを生み出します。技術の IoT 対応化が進み、非常に多くのデバイスとシステムが超高速で同時に接続するようになると、エンジニアは、5G ネットワークがデータ伝送に及ぼす影響を予測する必要があります。また、5G によるエンドツーエンドの超低遅延の可能性を理解し、さらに OEM だけでなく、自動車メーカー、航空機、バスおよび輸送会社、交通機関、大型ビル所有者、地方自治体を含む OEM の顧客の市場競争力に及ぼす影響を理解する必要があります。

 

5G アンテナの使用 は、インフォテインメントシステムの信号と電力の全体的な性能を決定します。長期目的の速度と低コストを達成するために、15 GHz 帯で動作する能力を備えた無線を開発するエンジニアもいます。期待される性能を達成する上での問題は、内蔵アンテナが、レジスタやコンデンサなどのスタンドアロンの受動部品とよく間違えられることです。

 

インフォテインメント技術では、システム全体がアンテナの一部になること、さらにどのような材料や部品 (アンテナ素子付近、グランド プレーンの設計、帯域内ノイズ源の近く) でもアンテナ性能に影響を及ぼす可能性があることを理解することが非常に重要です。これは、エンジニアがアンテナについて一から考え直す必要があることを意味します。また、すでに内蔵アンテナの開発に成功している専門家と手を結ぶ必要もあります。それには、まず、現在求められているシステム統合のレベルを理解することから始まります。

  1. 5Gネットワークおよび未来のネットワーク

通信部門の戦略および事業開発を担当する副社長であるAmitabh Passiが、5Gネットワークおよび未来のネットワークへの取り組みを説明します。

TE のアンテナの専門家は、高度なコネクティビティのトレンドを理解しています。 エンジニアは、予想されるワイヤレストラフィックの増大が、利用可能な周波数の帯域制限スペクトルに与える影響を常に考えています。また、スペクトル効率がアンテナ設計の最重要課題となりつつあるため、内蔵アンテナによって充実した再現性の高い伝送路を生み出す方法を検討しています。 5G 通信向けの適切なアンテナ ソリューションを考案するには、開発初期のアンテナ設計を筆頭に、設計上の課題について検討するための新しいアプローチが必要です。


これは、センサの設計にも当てはまります。設計評価の初期段階から、システムが何を測定・検知するか、優れた自律性を獲得する膨大な量のデータをどのように利用するかを詳細に調べることで、エンジニアは、複雑で高額の修正が必要になる開発後期の変更を避けることができます。

 

最初から必要とされる技術的機能性を決めておくと、今後の統合と革新における設計に必要とされる、配線・コネクタ・アンテナ・センサなどのコネクティビティを選択することができます。このようなアプローチによって、より堅牢な装置間 (M2M) 通信および車載 V2X (Vehicle-to-Everything) 通信が実現します。これにより、メーカーは固有の価値を実現し、 自動車、 航空機、トラックおよびバス、 鉄道車両、高トラフィックの建物や公共空間におけるインフォテインメント性能に対する市場の期待に応えることができます。

自動車における
インフォテインメント

過去10 年の間に、車載インフォテインメントシステムは進化を遂げ、運転者と同乗者は、かつてないほどの便利さと安全性で車載無線コミュニケーションを提供する情報に、すばやく手軽にアクセスできるようになりました。これを可能にしているのは、高速かつ高密度のデータ接続と電力接続に対応する、より小型で軽量の電子部品です。これらのソリューションにより、エンジニアは、V2X 通信やクラウド コンピューティングの可能性を高める堅牢なアーキテクチャを構築できます。このレベルの性能を達成するのは、簡単なことではありません。特に、高電流のパワートレインなど、ますます複雑になるインフラストラクチャを備えた車両を製造するメーカーにとってはなおさらです。加速化されたデータ接続および電化という 2 つの技術の収束が進むと、データ依存型情報の高性能と安全システムを保証するため、EMI を低減するソリューションが必要になります。そのソリューションのひとつが、光学的データ接続技術の使用です。

  1. How it Works: 車載データ通信

ネットワークに完全にリンクした自動車に進化させるため、TE がどのように無線技術、データ接続、自動車技術を統合するかをご覧いただけます。

When designing a vehicle based on a data connectivity architecture, whether it's a combustion engine or an electric engine vehicle, engineers first begin by solving some unique problems:

  • How do we avoid crosstalk between circuits (especially electrified circuits)? 
  • How do we build networks with the power to transmit vast amounts of data without boundaries? 
  • How do we ensure that transmitted data is secure and reliable?
  • How do you meet today's space and weight requirements while still maintaining true automotive-grade robustness?

 

Increasing the amount and speed of data transmitted inside the car drives increased interconnection throughout the vehicle. This leads to larger data packages and requires higher bandwidth capabilities. Automotive Ethernet offers the most cost-effective way to achieve this, but requires intelligent interconnection solutions with the flexibility, space economy and performance to address different EMC requirement levels. Our  MATEnet small automotive Ethernet interconnection system  meets the requirements for reliability, affordability, scalability and fully automated handling with the automotive-grade robustness, flexibility and lightweight needed for effective connectivity throughout the car.

コネクテッド カーの未来のインタフェース。
車内にてデータ コネクティビティが車両アーキテクチャの重要部分になりつつあり、他の車両、道路インフラ、および通信ネットワークと車がつながる技術的エコシステムを形成しています。

先進運転支援システム (ADAS) アプリケーションが加わり、カメラからアンテナ、さらに周囲環境やモバイル ブロードバンド接続まで、クラウドへの入力が増大しています。 これにより、データ速度が増大します。この接続を最適化するには、同軸接続技術と差動接続技術に対応する RF (無線周波数) 伝送チャネルが必要です。

 

当社の MATE-AX コネクタ ファミリは、高速データ向けに設計されています。20 GHz の周波数まで RF 性能を発揮します。また、現代の自動車向けパッケージ要件を満たすようにスペースを削減します。電気性能は、リンクセグメントとコンポーネント レベルの伝送特性と EMC 要件を満たします。当社の同軸ケーブルは、高度な RF 要件を伴う安全性リンク向けに設計されています。

 

将来的には、次世代のレベル 4 およびレベル 5 自立型運転用途には、新しい電気および光ソリューションが必要になるでしょう。これには、24 Gbps を超えるデータ伝送速度に対応する DWG (Dielectric Waveguide) ベースのコネクタが含まれます。TE では、機能、安全性、リンクタイプ、チップ、ケーブル タイプに対するメーカーの要件を満たし、業界標準および OEM 仕様または Tier1 仕様に対応するデータ接続製品の開発を続けています。

データを動的に表示する車両のウィンドウ。
センサによって、車両は、複数の車載システム間、および他の車両や道路アーキテクチャとさまざまな情報をやり取りできるようになります。

さまざまなセンサを車両に組み込むことにより、エンジニアは、車載ネットワークのいたるところで自立機能と人工知能を設計できるようになります。データの取得と活用が実現すると、センサによって、複数の車載システム間、および他の車両や道路アーキテクチャとさまざまな情報を交信できるようになります。これを効果的に行うには、センサが処理できるデータの種類を理解する必要があります。

  • 温度センサは、バッテリーとモータの状態を監視します
  • 速度センサは、モータの性能を検知します
  • 電流センサは、バッテリーの充電/放電サイクルを追跡します
  • 位置センサは、ドアのロック機能とウィンドウを監視します
  • 加速度計は、震動とベアリングの状態を測定します

 

より安全で、より密接につながる車両 に対する消費者の需要を満たすために、重要なシステムを軽量化する接続ソリューションを選択するメーカーが増えています。これらの接続ソリューションは、データの加速化、消費電力の低減、信号の改善に必要とされる堅牢な明瞭性に優れた通信に対応しており、先進運転者支援システム (ADAS)、歩行者検知 (PD)、レーン検知 (LD) など、より多くのデータ駆動型機能を提供します。

 

この効率性により、データ接続は、燃料機関車および電気駆動車の両方の堅牢なアーキテクチャを実現する上で中核的要素になります。さらに、インフォテインメント システムは、自動車と他の車両、道路インフラ、および通信ネットワークとのつながりを実現する、車両の技術的エコシステムの非常に重要な部分になりつつあります。

エンジニアは、重要なシステムを実現するため、データを加速化し、電力を低減して、信号を改善する軽量で、
小型化された部品を選択します。

航空機における
インフォテインメント

航空機のインフォテインメント システムは、機内エンターテイメント (IFE) とも呼ばれ、数十年にわたって、乗客が旅行を楽しむのに役立ってきました。現在、このようなシステムによって、飛行機の乗客は旅行中いつでも、世界とつながることができるようになっています。航空会社では、このシステムが、乗客の機内での過ごし方に大きく関わるため、乗客の信頼を得る機会となります。エンジニアにとっては、これは、過酷な震度と温度による影響を抑えながら、より小型で、高密度のパッケージによって、クリアな高速通信をシームレスに提供できる堅牢で、統合されたコネクティビティ能力を設計することを意味します。空間が限られ、重量が電力用途や収益に影響を与える車両において、このレベルのコネクティビティを達成するということは、すでに複雑なアビオニクスシステムでインフォテインメントが大部分を占めることになります。

民間航空機におけるインフォテインメント システム。
機内 Wi-Fi システムは、通常は航空機の上部または下部に位置するアンテナを通じて接続するため、システムを確立することは特に困難です。

現在の航空機は、安全性、利便性、全体的な性能を向上させるために大量のデータを取得して共有する能力を備えています。エンジニアは、手動制御を両方の電子インタフェースと置き換えることによって、航空機の電化を進めています。たとえば、機内データを利用することで、パイロットは航空機システムを容易に監視して、より良く管理できるようになります。この進化は、 TE の DEUTSCH DMC-M 高速モジュール および 369 シリーズ コネクタ、 バックシェル、 ワイヤおよび配線製品、 高速銅線ワイヤ、 Ethernet、 光ファイバなどの航空宇宙用途でのコネクティビティが可能になりました。

 

エンジニアは、このような種類の電子部品を使用することで、新しい機能を設計できます。その結果、航空機メーカーは、航空機技術からビジネス価値を創出する新しい方法を見つけることができます。

 

そして、重要なシステムでさらなる電化を推進するため、センサコネクタリレー光ファイバなどの、より多くの種類の電子部品を航空機全体に内蔵することとなります。たとえば、航空機の電子機器の使用率は、1980 年代に製造された航空機の総コストの 10% から現在の航空機の総コストの 40% に上昇しています。航空機に非常に多くの技術が用いられることで、エンジニアは重大な課題に直面しています。これらのシステムを動作させるために十分な電力を航空機に供給しながら、電子回路実装のサイズを小型化し、重量を軽量化することが重要になります。

 

目標は、全体的な効率、速度を向上させ、コストを下げることです。その解決策は、極端な温度や振動、悪天候への暴露、EMI ノイズ、および落雷などの過酷な条件下で高速および高信頼性の動作が可能な、より小型で軽量の部品を使用することです。

エンジニアは、 機内体験を向上させるため、センサ等、より多くの電子部品を航空機に統合する機会を探っています。通常、センサからのデータは、航空機の前部にある航空機のエレクトロニクスベイに送られます。エレクトロニクスベイは、機内エンターテイメント ヘッドエンド ネットワークと航空機のコア エレクトロニクスの中枢部であり、ここで航空機から情報が収集され、処理され、乗客へと供給されます。

 

航空機の電力源を含むこのようなシステムの電気ケーブルと光ケーブルは通常、天井の空間または床の下部に沿って敷設されており、特定の航空機の構成およびインフォテインメント システム アーキテクチャに応じて、天井のモニタおよび個々の座席に接続します。内蔵および Wi-Fi 対応技術のこの複雑なネットワークによって、乗客は、航空機の自分の座席で多くの便利な設備を直接利用できます。


機内 Wi-Fi システムは、通常は航空機の上部または下部に位置するアンテナを通じて接続するため、システムを確立することは特に困難です。クラウド コネクティビティを提供するには、アンテナを衛星または地上のセルタワーに接続する必要があります。この Wi-Fiは、ワイヤレスコネクティビティの外観にかかわらず、全体的にはワイヤレスではないということを理解しておくことが重要です。集められたデータは、航空機内のヘッドエンド サーバーを移動することもあり、CWAPS (Cabin Wireless Access Points) に接続する高速銅および光ファイバー コンポーネントに沿って配信されます。

高度な航空機システムを備えた操縦室の外観。
エンジニアは、重要なシステムでさらなる電化を推進するため、センサ、コネクタ、リレー、光ファイバなどのより多くの種類の電子部品を航空機全体に内蔵しています。

このようなシステムの信頼性をさらに高めるため、エンジニアは、堅牢な機器対機器間接続の開発に取り組んでいます。短い距離で比較的遅い速度が求められる接続には、これまで銅線が使用されていました。しかし、より高速なデータ速度に対する需要が高まりつつあり、エンジニアは、高速相互接続を使い始めています。これは、入力/出力速度が速くなるにしたがい、伝送特性と電力の管理は低速信号よりも難しくなる、という興味深いジレンマを生じています。

 

たとえば、相互接続速度が速いと、反射損失、挿入損失、クロストーキングや信号を劣化させる要因の管理が難しくなります。理想的な配線システムとは、配線ボックス間に中継接続がないシステムですが、実際には製造上の都合や経路上でコネクタのモジュール化に対応するために中継接続が必要になります。

 

これらの問題に取り組むことは、重量、距離、速度、伝送特性の 4 点を踏まえた設計を意味します。エンジニアは、高速で明瞭性の高い長距離通信が求められるインフォテインメントシステムに、光ファイバをバックボーン用途に取り入れています。10 G 以上の速度の Ethernet リンクを導入すると、光ファイバによって、次世代型航空機のインフォテインメントシステムを可能にする信頼性を達成できます。このような技術は、よりスマートな空港を実現するためのアイデアも生み出しています。これらの新しいアイデアは、リアルタイム情報、オンデマンド型エンターテインメント、人工知能の 3D 視覚化を実現する、よりインタラクティブなインタフェースと臨場感あふれるデジタル体験を可能にします。

 

TE のエンジニアは、航空機メーカーと密接に協力し合い、旅行者、パイロット、航空会社の経営陣、さらに航空業界全体が期待する継続的なコネクティビティを提供するインフォテインメント システムの高密度実装を設計しています。

当社の電子部品は、輸送に関わる幅広い IoTに対応できるように設計されています。

バス、鉄道車両、およびトラックにおける
インフォテインメント

運転者や乗客は、観光バス、大陸横断鉄道、長距離輸送用トラックなどのヘビー デューティ車両で頼りにしていることがあります。車や航空機と同様に、中断や遅延なく速く、容易に正確なデータに接続するための、高速で高周波のデータ システムです。これらは、ヘビーデューティ車両に対して求められる性能要件を満たすため、高帯域音声および映像性能に対応する非常に優れ、そしてクリアで低遅延のデータ コネクティビティに対応できる、頑丈な電子部品で設計されるようになっています。

道路を走るトラックとトレーラー。
バスのインフォテインメント画面。

これを実現するため、メーカーは、 多機能センサ、 堅牢なコネクタ、 光ファイバ ケーブル、 ヘビーデューティ ケーブル アセンブリ  などのコンポーネントを使用して、より動的なコネクティビティを統合しています。これにより、インタラクティブな画面、一体型電気アーキテクチャ、および高速マルチメディア ネットワークにおける革新が実現します。センサは、道路や車両の状況に関するデータを収集して測定し、インタラクティブな画面に表示します。運転者は、車両を操作するためのリアルタイム情報をすばやく取得できます。同乗者は、リアルタイムの情報に簡単にアクセスできるようになり、座席に座ったまま作業やオンライン ショッピングをしたり、映画鑑賞やソーシャル メディアで体験を共有することができます。

 

この技術によって、情報に簡単にアクセスできるようになるだけでなく、死角や道路状況、エンジン性能を監視するシステム内のデータ接続も自動化されます。このレベルの統合により、車両は、同乗者のデバイス、他の車両、交通網、道路をはじめ、切符売り場、スマート街灯、鉄道駅などの鉄道インフラストラクチャと信頼できる通信を確立することができます。車内では、この技術によって、運転者の居眠り検知、同乗者の行動監視、オーディオや環境システムの管理を行うカメラが装備され、同乗者に快適な楽しい乗車体験を提供します。この技術とそれを可能にする IoT 思考により、バス ターミナル、トラック輸送ステーション、鉄道駅とのデータ接続が実現します。

 

メーカーにとっての課題は、ヘビーデューティ車両向けの高密度実装の中で、信頼できる高速接続に対応する能力を備えたコンポーネントを見つけることです。たとえば、SAE J1939 などの既存の CAN バス プロトコルには、堅牢なインフォテインメント システムが期待どおりに動作するためにのデータ速度とリアルタイム アップデートが不足しています。従来の電子機器で革新を達成しようとすると、車両の全重量が大幅に増え、追加のコンポーネントを格納するためにより多くのスペースも必要となり、電力消費量の増大とさまざまな誤動作の原因となります。そして、重要なシステムに過度の負担がかかり、運用コストの上昇を招く予期せぬ故障が生じる可能性があります。

エンジニアは、大型車両でより広い帯域幅を達成するには、 低電圧差動信号 (LVDS)と Ethernet (新しい 100Base-T1 や 1000Base-T1 など) ソリューションを使用する必要があります。これらのソリューションを使用することで、配線コストが低減し、鉄道のモデム オンボード ネットワークなどのリアルタイムで高精度のシステムをサポートする動作データ速度が上昇します。ヘビーデューティ車両でこれを実現するには、システム性能をサポートし、EMI/EMC と、特に鉄道業界では火災と煙の要件を満たす頑丈な耐摩耗電子部品が必要です。

 

現在、高度なコネクティビティによって、IoT 対応の技術がヘビーデューティ交通機関に組み込まれようとしています。この結果、インフォテインメント システムが車両にシームレスに統合できるようになり、より質の高い運転、そして旅行体験が得られるようになります。これを実現するには、ロングレンジ ヘビーデューティ交通機関の高温および高振動に耐えられるように設計された電子部品が必要です。

 

当社の 温度、 圧力、および 湿度 向けセンサは、車両性能、道路状況、および貨物室なと運転者が必要なデータを検出し、測定します。また、当社の相互接続システム は、診断および予防応答をサポートしています。特に商用バスでは、当社の RF コネクタ を使用することで、遠隔計測、サラウンド ビュー システム、およびクラウド コンピューティングが使用できるようになります。

 

旅客向け鉄道では、複数ユニット (MU) コネクタを使用することで、鉄道全体で 27 のデータ コマンドを伝送する際に効率的な単一ポイントを利用できるようになります。また、機器のデータ ネットワークは線路市場より数倍速くが成長しています。M12 ソリューションは複数の設計の課題を解決し、対応できます。M12 コネクタは、顧客専用のケーブルやさまざまな長さで事前に製造したケーブルで無限のケーブル アセンブリの組み合わせを利用できます。M12 ケーブル アセンブリ を使用すると、最大 10 Gb/s 速度のデータに対応することで、鉄道データ通信システムでのデジタル化が促進されます。また、M12 Ethernet スイッチは、冗長入力電源とオプションのバイパスによって中断のないネットワーク性能を提供するように設計されており、最大 1 Gb/s のデータ速度とネットワーク内のノードとしての機能を備え、CCTV カメラ、乗客情報システム、センサ、照明、HVAC などの装置に接続ポートを提供します。

 

このようなコンポーネントは、ヘビーデューティー車両の技術アーキテクチャにインフォテインメント システムを統合するために使用した場合、信号の完全性、データ スループット、および電力性能を犠牲にすることなく、システム容量を拡大します。

 

スマート シティにおけるインフォテインメント

世界中の都市で、ビルの所有者および自治体は、人々と動的な情報をつなぎ、日常生活を豊かにするデジタル体験を創出するために、双方向なインフォテインメント システムを導入し始めています。これから先、このようなシステムが普及し、さらに運用が改善され、公共空間の全体的な体験の向上に繋がります。

街の交差点をあるく人々。

次世代インフォテインメント システムは、データの場所を問わず、堅牢な統合をし、そして常に利用可能なコネクティビティを最大限に高めることで、システム環境への接続を手助けします。

このようなシステムは、、 航空機、および ヘビーデューティー車両のインフォテインメント システムに非常に類似していることがよくありますが、スマート シティインテリジェント ビルディングで複雑な情報ネットワークを可能にするためのバックボーンとして機能しています。この技術は、セキュリティ システム、LED 照明、スマート パーキング、および交通管制をサポートします。これらの技術が統合されると、エネルギー効率全体の改善、渋滞緩和、増加する管制への対応に役立ちます。このようなインフォテインメント システムは現在不足しており、データの場所を問わず、堅牢な統合し、そして常に利用可能なコネクティビティが重要となります。必要なものは、スマートフォン、ビデオ画面、およびインタラクティブなキオスクに直接提供される拡張現実 (AR) と、リアルタイム ビデオを通して情報を人々に伝送する方法を実現することです。

 

今後、データ インフラストラクチャとデータ オーケストレーションを向上させる高速低遅延 ネットワーク全体で提供され、接続された公共空間にインテリジェントビルディングが誕生することとなります。そうすれば、環境データと個人向け情報を含む幅広いビデオ、テキスト、およびオーディオ コンテンツへのほぼ無限のアクセスが可能になります。

都市部の道路沿いの電飾看板。
都市空間向けにインフォテインメント システムには、パッケージ設計の範囲を超えた設計が必要となります。どのように大規模で複雑なエコシステム全体にネットワークを統合するかを検討しながら設計することが重要です。
デジタル インフラストラクチャ (高速/超低遅延 ネットワーク)

ワイヤレス デバイスおよび移動体通信デバイスのネットワーク アーキテクチャは、今後数年間に著しく変化すると予想されています。IoT コネクティビティと可能性への依存が高まる世界に電力を供給しながら、ネットワーク遅延を低減するために、より多くのコンピューティングが「エッジ」で実行されるようになります 。現在、多くの都市では、一度に大量のデバイスを確実かつシームレスに接続する、高速の低遅延 ネットワークが不足しています。

 

今後数年間にわたって 5G ネットワークが普及すると、これらのネットワークはさらに多くのデバイスと接続され、複数のチャネルを通じて同時に対話できるようになります。これを実現させるには、技術企業やビルの所有者、地方自治体がより堅牢な通信に対応する必要があります。変化する異なる環境でも移動できる機能、他の車両、ビル、交通信号とすばやく同時に通信する機能を備えた、より小型で高密度のインフォテインメント システムを使用します。そして、真の自律型データ接続を実現します。

 

TE のエンジニアは、技術における 5G コネクティビティの実現を目指し、スタートアップ企業および製造業界のリーダーと密接に連携しています。5G コネクティビティは、新しい概念を設計から現実へと導き、コンピューティングとデータ処理の可能性の限界まで押し進め、日常生活を向上します。

 

データ オーケストレーション

5G ネットワークが開始されると、短距離における数ギガビットの速度と大容量が可能になり、新しい用途と使用事例に対応できる環境を生み出します。この能力を利用するため、地方自治体やビルの所有者は、インテリジェント データ オーケストレーションから優位性を生み出せるように、技術アーキテクチャを考え直す必要があります。

 

現在、エンジニアが直面している主な課題は、どうすれば IoT データを効率的かつ効果的に抽出・処理・分析・更新できるか、という点です。クラウド通信が必ずしも合理的ではないことを証明する事例が数多くあります。たとえば、自律型車両がその機能をクラウド処理ステップに依存している場合は、接続の不具合から乗客の安全性を危険にさらす可能性があります。このような環境では、ネットワーク遅延によっては、データが処理されて返されるまでに、不適切なデータが表示される可能性があります。

 

5G ネットワークでは、エッジおよびクラウド上のデバイス間でデータ転送を加速させるための容量が必要になります。効果的なデータ オーケストレーションと管理戦略があってはじめて、5G ネットワークは、都市と建物を真に「スマート」にする能力を提供します。

 

衛星によって、スマート シティで堅牢で継続的なコネクティビティが可能になります。
対地同期軌道衛星によって、スマート シティにおけるナビゲーション システムの向上など、データ伝送が次のレベルに進みます。

都市空間およびビル向けのインフォテインメント システムをには、パッケージ設計の範囲を超えた設計が必要となります。どのように大規模で複雑なエコシステム全体にネットワークを統合するかを検討しながら設計することが重要です。これは、スマート シティにおけるナビゲーション システムの向上など、対地同期軌道衛星によって、データ伝送をどうやって次のレベルに高めるかを考えることです。

 

高度なコネクティビティにより、衛星が 5G 通信および IoT コネクティビティにおける大きな役割を担うことになります。衛星では、宇宙用温度センサが放射熱 (高温)、 および衛星の影側 (低温) のコンポーネントの温度を監視して、効果的な高速性能を保証します。LVDT 位置センサは、地球の上の衛星の位置を順番に制御・管理する小型スラスタの位置を厳密に制御します。

 

TE のエンジニアは、 製造業界のリーダーから技術企業家まで規模の大小を問わず企業と協力し合い、人工知能、自律的処理、あらゆる物と場所の追跡などの新しい技術をインフォテインメント システムの機会を生み出しています。これにより、旅行先や日常生活、職場などのあらゆる場所で情報を利用できるようになります。

今後、5G が主流になり、IoT が日常生活で大きな割合を占めるようになると、 統合された技術に対する世界的な需要は、増加の一途をたどると予想されています。これらが現実となる前に、メーカーが解決すべき課題がいくつかあります。たとえば、5G のあらゆるデジタル部品の速度が速くなるにつれて、電力消費量が増え、全体的なコストも上昇します。

 

また、IoT 対応型技術の数が増えるにつれて、複数のセンシング機能を備えたこれらの新しい技術への対応が必要です。、機器、ネットワーク、さらに人々にとってハイパースケールのデータ取得をすばやく、効果的、かつ効率的に処理する方法を見出す必要があります。

 

このような性能を達成することは、依然として、科学と言うよりは芸術です。まず、システム アーキテクチャに堅牢なコネクティビティを組み込みます。つまり、エンジニアには、機械学習のための新しいアルゴリズムを実行するために必要な速度、明瞭性、帯域幅を備えた、堅牢な電子部品が必要です。高度なコネクティビティ ソリューションの包括的なラインアップがあります。高速コネクタ と 革新的なセンサの組み合わせ、 軽量の光ファイバ ソリューション と小型パッケージング、 多芯ケーブル と  EMI フィルタのラインアップにより、エンジニアはこのような革新を実現することができます。

 

当社のソリューションによって、インフォテインメント システムのエッジにより、より高速なネットワーク速度が実現されます。そして、リアルタイムのデータ統合、より大規模なデータ集約、さらに高密度の過酷な環境における複雑な技術の自律型管理が可能になります。自動車、航空機、バスとトラック、鉄道車両、利用頻度の高いビルと公共空間において、リアルタイム情報、オンデマンド型エンターテインメント、人工知能によって臨場感を体験するために設計されたインタラクティブなインフォテインメント アプリケーションが生まれ、インフォテインメント メーカーにはビジネス価値を創出する門戸が開かれます。

動的なホログラフィック インタフェースで情報にアクセスする人々。

次世代インフォテインメント システムが普及すれば、デバイス、機器、およびネットワークの技術的アーキテクチャが形態を変え、私たちの生活は変化します。そして多くの堅牢なコネクティビティが組み込まれる可能性があります。

将来の要件に対応できる
コネクティビティ

TE では、設計、材料科学、および集積回路工学という TE が専門とするすべての分野において、当社のエンジニアリング、製品、製造チームがいます。そして、高度な電子部品のソリューションを調査および開発しています。需要の増加に伴い、世界中のメーカーは、ビジネスメリットを達成しつつ、コストの競争力を意識していかなければなりません。そして、超低遅延性能を備える軽量で小型のインフォテインメント システムを開発するために、高速、軽量、小型の部品を必要としています。メーカーは、幅広い電子部品を使用することで、機能、安全性、リンク タイプ、および効率を考慮して設計し、複雑なインフォテインメント システムにコネクティビティを統合しています。また、私たちは、堅牢なアーキテクチャを構築し、IoT 構想を適用することで、道路やレール、空中や街中でエンドツーエンドのデジタル体験を実現します。利便性、統合、および生産性を念頭に設計された新世代インフォテインメント システムの商品化を加速させるために、私たちと力を合わせていきましょう。