データセンターの進化のトレンド

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データセンターの進化のトレンド

TE の業界標準マネージャである Nathan Tracy が、データセンター接続における電力ソリューション、電力管理、得られた教訓などの大きなトレンドについて説明します。

はじめに

データセンター能力に対する需要は、データセンターでどのようなサービスがサポートされているかを問わず、とどまるところを知りません。検索機能、ソーシャル メディア、E コマースに注力しているクラウド事業者 (その多くはこのような異なる分野のすべてに手を出しています) を話題にするか、さまざまな企業や組織のためにウェブ サービスのアウトソーシングやホスティングを行うか、あるいは社内エンタープライズ アプリケーションをサポートするかにかかわらず、データの津波がクラウドに押し寄せており、データセンターはこの事態に立ち向かってこれを支えなければなりません。次のような興味深い統計があります。

 

  • 最近 10 年間で、クラウドのネットワーキングの観点から見たスイッチングの標準的な測定単位は、640 ギガビット/秒から 25 テラビット/秒に移行しました。ここ数年のうちに 51 テラビットが話題に上るでしょう。 
  • クラウドへの接続数の増加速度は人口の伸びをはるかに上回っており、複合年間成長率は 10% に及びます。 
  • 接続ユーザー数は 6% の複合年間成長率で増加しています。 
  • 接続タイプは、以前は家庭の PC からの接続が主でしたが、現在は携帯電話からの接続に変わっています。 
  • 装置間接続も増加し、需要の大きな割合を占めるようになっています。2023 年頃までに、装置間接続はインターネットへの全接続の 50% を超えると予想されています。

 

このように、明らかにインターネット接続は変化しており、データセンターはその変化に遅れないよう進化する必要があります。

応用分野の発展によるクラウド トラフィックの増大

動画はクラウド トラフィックを推進する巨大な要因ですが、動画技術は長年にわたってどのように変化してきたでしょうか。数年前まで、テレビはすべて標準画質でした。それが、標準画質よりもビット レートが 4 倍高い HDTV に移行しました。次に来るのは HDTV の 2 倍のビット レートを持つ 4K 動画で、8K 動画も登場しつつあります。 

 

動画トラフィックだけではありません。Wi-Fi を見てください。Wi-Fi ホットスポットの数は爆発的に増加し、各ホットスポットに接続するモバイル デバイスの数も増えています。典型的な家庭では、6 台以上のデバイスが 1 つのホットスポットに接続しています。これらのホットスポットがサポートできるデータ速度も高速化しており、需要に拍車をかけています。 

 

5G セルラー ネットワークのサービスも開始され、その普及速度は旧世代のモバイル技術をはるかに超えています。2G セルラー技術が登場したとき、接続数が 1,780 万に達するまでに 14 暦四半期かかりました。4G 技術では、1,780 万の接続数に達するまでに 10 四半期かかりました。それに対して 5G では、同じ 1,780 万の接続数に達するのにかかった期間はわずか 4 四半期でした。このように世の中の動きは以前より加速しており、あらゆるものがクラウドデータセンターに途方もないプレッシャーをかけ、その成長に期待しています。 

 

最後に、ユーザの習慣が変化しました。COVID-19 の影響で人々は在宅勤務や在宅学習を余儀なくされ、それが強烈な負荷テストとなりました。ネットワークはこのような新しい使用習慣を前にして十分持ちこたえ、2020 年初めに在宅勤務を開始した人は現在も以前よりはるかに多くの仕事を在宅でこなしています。 

 

これらすべての出来事から、ネットワーク管理者はタイムラインやロードマップに常に気を配り、データセンター進化の次のステップを実現する準備をいつ整えなければならないかについて神経を研ぎ澄ませています。

 

 

 

 

技術的課題

ネットワークに対する需要の増大は、いくつかの技術的課題を生み出します。データ速度ベンチマークは、扱うデータ速度がギガビット/秒かテラビット/秒かに関係しない、考察しやすい論点です。データ速度が増加すると、ある物理法則に直面します。それは、データ速度が増加するとデータ損失も増加するということです。その影響を軽減する対策はありますが、データ損失を完全に排除することはできません。 

 

データが損失すると、より高速なデータ速度で信号を送信できる距離が短くなります。これを克服するにはどうすればいいでしょうか。考えられる方法として、光トランシーバで使用する変調スキームの一部を変更することが挙げられます。そうすると、そのような異なる変調フォーマットに合わせてコネクティビティ ソリューションを最適化する必要があります。 

 

また、より高速なデータ速度に移行すると電力損失が多くなるため、データセンターの電力需要が増加します。データセンターでより多くの電力を利用可能にする電力ソリューションを見つけ出す必要があります。そしてもちろん、データセンターの消費電力が増加するとより多くの電力が熱として放散するため、熱の問題も起こります。したがって、より温度の高い環境でネットワークを運用する方法を考案する必要があります。 

 

このように、取り組まなければならない課題は互いに関連しています。 

考えられる解決策

一部の分野のデータセンター運営者は、電力アーキテクチャを AC 構造から DC 構造に変更して電力消費を最適化し、それによる変換効率を利用することに注目しています。熱管理の課題については、今日のデータセンターは 400 ギガビット イーサネットを標準データ速度として導入しています。これにより、使用中の光トランシーバの電力の熱放散は大幅に増加します。 

 

コネクティビティ ベンダーはこのような課題を受けて、光学部品をより低温で稼働させ、高温環境でも確実に動作できるようにする熱管理ソリューションを開発しています。同様に、400 ギガビットの高速なデータ速度で可能な限り長い距離まで到達できるように、銅線ケーブル ソリューションがこの帯域幅向けに最適化されています。 

 

最後に、ベンダーとその顧客のデータセンターは、新たな世代のソリューションを生み出すために情報を効果的に共有する必要があります。すべてのデータセンターはロードマップを策定しています。つまり、現在どこにボトルネックがあるかを把握しており、それらを克服する方法について計画を立てています。ベンダーには、これらのボトルネックや脆弱なリンクに対処する技術をもたらす力がありますが、コネクティビティ ベンダーやコンポーネント ベンダーは顧客のロードマップを把握しておく必要があります。もちろん、これは顧客がどのように差別化を図ろうとしているかに関係しているため、各ベンダーはある程度秘密裏にこっそりと動かなければなりません。しかし、データセンターが業界やコンポーネント サプライヤに情報を伝える方法はいくつかあります。そうすることで、データセンターが次世代の業界ロードマップに対応しなければならなくなったときに、ベンダーはそのニーズに速やかに応えることができます。 

 

データセンター運営者にとって、絶え間なく進化するデータ速度、帯域幅のニーズ、用途、サービスに遅れずについていくことは継続的な闘いです。しかし、業界パートナーと協力することで、課題にうまく対処し、増大する需要を満たすことができます。