Q: シングル ペア イーサネット (SPE) とは何ですか?

A: シングル ペア イーサネットは、1 対のツイストペアだけを使用するイーサネットによってデータの伝送を実現します。

現在では、10 Mbps から 1 Gbps の伝送レートに対応しています。航空宇宙用途では、最初に 100BT1 に対応した SPE がリリースされ、今後 (次回) のバージョンでは 1000BT1 に対応する予定です。

Q: 従来のイーサネットと比較したシングル ペア イーサネット (SPE) の利点としては、どのようなものが挙げられますか?

A: 従来のイーサネットでは、産業用途に基づき、2 対または 4 対のワイヤが必要になります。それに対し、シングル ペア イーサネットでは 1 対しか必要としません。4 本または 8 本のワイヤが必要な従来のイーサネット ケーブルと比較して、SPE では 2 本のワイヤしか必要としない設計のため、配線重量がほぼ半分になります。シングル ペア イーサネットは、コストとシステムの複雑さを低減するのに役立ちます。汎用性や広く普及しているオープン標準であるという特徴から、イーサネットは、最新航空機の客室内における分散ネットワーク アーキテクチャの設計に対応できます。

Q: 民間航空宇宙の分野では、シングル ペア イーサネット (SPE) をどのように利用できますか?

A: 間もなくリリースされる ARINC 854 客室設備向けネットワーク バス規格では、15 m 以下のシングル ペア イーサネットの当初の用途として、客席と客室照明が定義されています。1000BTI への技術の進化に伴い、さらに多くの航空機用途が出現するものと思われます。

Q: 民間航空宇宙におけるシングル ペア イーサネットの利点としては、どのようなものが挙げられますか?

A: たとえば、広胴型の商用ジェット機のイーサネット配線の重量について考えてみましょう。Mini-ETH ケーブル/コネクタ ソリューションによって、イーサネット配線の重量が 50% 削減されるものと仮定すると、負荷が 50 kg (110 ポンド) 軽減されることになります。この重量が削減されることにより、航空機 1 機あたりの年間燃料コストを $31851  節約できます。


配線の中でイーサネットが占める割合と Mini-ETH 相互接続ソリューションによる 50 kg (110 ポンド) の軽量化は推定値です。実際の削減量は、設計によって異なります。燃料節減額は、余分にかかる年間の燃料消費量に 2019 年の平均燃料費を掛けて推定値を導いています (244,200 X $1.93 = $471,306 の年間燃料費)。

燃料費の出典: U.S. Kerosene-Type Jet Fuel Wholesale/Resale Price by Refiners(米国エネルギー情報局)、2020 年 4 月 1 日リリース。 

Q: Mini-ETH シングル ペア イーサネット (SPE) コネクタは、どの規格に適合していますか?

A: TE の 369 コネクタ シリーズは、EN4165/ARINC 809 の性能基準に基づいています。航空宇宙規格 AS39029/EN3155 に適合するサイズ 22 の端子を使用した 3、6、9 極の構成が用意されています。

Q: Mini-ETH とはどういう意味ですか?

A: Mini-ETH は、Miniaturized Ethernet (小型化されたイーサネット) の略語です。TE の 369 シールド コネクタは、対応イーサネット コネクタとして、ARINC 854 客室設備向けネットワーク規格から選ばれています。369 シリーズ コネクタは、航空宇宙用途に適した、信頼性が高く軽量でコンパクトなコスト パフォーマンスの高いコネクタを提供することを目的として開発されています。

Q: シングル ペア イーサネット (SPE) 経由で電力を供給することもできますか?

A: 送電についても標準化されています。最大 50 W の実効電力供給を表す言葉として使用されているのが、PoDL (Power over Data Line) という用語です。ARINC 854 客室設備向けネットワーク規格では、最大 15 m の伝送距離に重点が置かれています。

Q: シングル ペア イーサネット (SPE) 技術の発端となったものは何ですか?

A: シングル ペア イーサネットの開発が始まったのは 2011 年で、Broadcom Corporation による BroadR-Reach 規格のリリースが発端となっています。この規格により、自動車メーカーはオープンでスケーラブルな 100 Mbps のイーサネットベースのネットワーク プロトコルの標準化を実現できました。この取り組みがきっかけとなり、OPEN Alliance ワーキング グループは 100BASE-T1 を「車載用イーサネット」として定義し、2015 年に IEEE 802.3bw として公開しました。

2019 年には、100BASE-T1 は IEEE 802.3cg 規格のイーサネット産業用プロトコル (IP) として採用されています。この規格は、産業界のモノのインターネット (IIoT) では一般的なソリューションとなっています。 

ARINC Industry Activities によって編成された航空機客室システムの小委員会では、間もなくリリースされる ARINC 854 客室設備向けネットワーク バス規格において 100BASE-T1 に言及しています。

Q: シングル ペア イーサネット (SPE) は、既存のネットワーク ケーブル経由で伝送することはできますか?

A: これはケーブル共有と呼ばれるもので、4 ペアのイーサネット ケーブルを経由してシングル ペア イーサネットのデータを伝送する処理を伴います。4 ペアとシングル ペアのイーサネット配線には性能面で共通する部分もあれば、性能要件が大きく異なる部分もあります。そのため、シールドされたイーサネット対線からシングル ペア イーサネットへの置き換えは、それほど単純なことではありません。 理論的には可能ですが、実用的とはいえません。実質的にはイーサネット規格の追加仕様であり、フィールドバスの置き換えとみなすべきです。

Q: 民間航空宇宙用のシングル ペア イーサネット (SPE) コネクタは、どこで入手できますか?

A: TE は、お客様のニーズに応える、年中無休のカストマ サービス グループを擁しています。また、「お問い合わせ」フォームにご入力いただければ、48 時間以内に担当者からご連絡いたします。 

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