TE Connectivity のスマート ソリューションによって導入をよりスマート、迅速、かつ高密度にする – 機会と課題

はじめに

業界アナリストの間では、2025 年までに 750 億台以上の IoT (モノのインターネット) デバイス1が接続され、そのほとんどがワイヤレス技術を使用するという点で意見が一致しています。4G の存続は難しいかもしれませんが、幸いにも 5G が登場しようとしています。この第 5 世代のワイヤレス技術は、次の 3 つの利点をもたらします。それは、通信速度の高速・大容量化、低遅延による応答性の向上、センサやスマート デバイスの多数同時接続です。実際、5G ネットワークにより、データ通信は現在の技術に比べて 100 倍高速になると期待されています。そのためには、より広い帯域幅ときわめてクリアな通信に対応する高度なコネクティビティが不可欠です。将来的なデータ速度の向上は、よりスマートで生産性の高い「つながる世界」を促進するインタラクティブなエコシステムを実現する可能性があります。TE は、お客様がこの新しい世界に踏み出すためのパートナーです。

5G が登場しようとしています。5G により、データ通信は現在の技術に比べて 100 倍高速になります。

5G 時代を支え、広いカバー範囲とすべての 5G ユース ケースを実現するために不可欠かつ貴重なリソースとして、 サブ 1 GHz 帯、1 ~ 6 GHz 帯、6 GHz を超える帯域の 3 つの主要周波数範囲のスペクトルが期待されています。最初の 2 つをまとめて「サブ 6 GHz 帯」と呼ぶこともあります。これが重要なのは、セルラ データ トラフィックが増加の一途をたどっており、今後は拡張モバイル ブロードバンドが消費者への中心的な価値提案になるためです。拡張モバイル ブロードバンド (eMBB) は、5G で規定されている 3 つのユース ケースのひとつです。これらのユース ケースは、既存の 4G ブロードバンド サービスを拡張するものとして最初に提供される商用 5G サービスになります。ただし、これは単にダウンロード速度を高速化するだけにとどまらず、それをはるかに超える利便性をもたらします。

 

初期の 5G 導入の道を牽引するのは米国と中国であると考えられています。中国は、C バンド (3 ~ 5 GHz) の初期展開を見据えています。それに対して米国は、ミリメートル波 (mmWave) (24 GHz 超) 周波数スペクトルによる固定ワイヤレス アクセスの初期展開と低バンド (600 MHz) の導入に重点的に取り組むと思われます。

NXP 5G ワイヤレス インフラストラクチャ (左の図) と、モバイル アプリケーション用の mmWave ソリューション - Qualcomm (右の図)

TE では、長期的に見ると、 C バンド スペクトルではスペクトル効率とシステム容量の向上が限られること、および遅延 1 ms という高いハードルがあることから、C バンドで拡張モバイル ブロードバンドを提供するのは困難である可能性があると考えています。広い連続帯域幅の要件に対応するためには、mmWave を検討する必要があります。

 

実際、現在の技術的成熟度と経済的実現可能性の観点からすると、ハイブリッド ネットワークになる可能性はきわめて高いと言えます。たとえば、主要な都市部では固定ワイヤレスやホットスポットをカバーするために mmWave が導入され、郊外地域や小都市ではサブ 6 GHz 帯が導入されることが予想されます。5G は 4G と共存し続けるでしょう。

5G の導入においては、 主要技術を理解することが重要となります。たとえば、独立した RRU やアンテナ システムから、アンテナ素子やその他のアクティブ電子機器が統合された大量のマルチ入力マルチ出力 (MIMO) を持つ AAU への移行などがこの主要技術に該当します。アンテナ システムは、パッシブな構造からアクティブなアンテナ ユニット (アンテナ エッジに直接配置された電子機器を含む) に移行することが求められます。新しいアクティブ アンテナ システムの姿は、Massive MIMO アンテナに移行し、複数のワイヤレス チャネルを通じて複数のユーザをサポートするもの (いわゆるマルチユーザ MIMO または MU-MIMO) になると予想されます。そうなると、コネクタやケーブルなどの内部接続を通じてアンテナ素子ごとに大量のデータが生み出されます。

 

5G の新しい無線規格 (NR) では、主要なコンポーネントによって RRU とアンテナを AAS に統合できます。

統合ソリューション

アクティブ アンテナ システム (AAS)

地方のタワーから都市型配置まで、市場は次世代設計のワイヤレス無線システムを求めています。これらのシステムは、膨大かつ多様なアプリケーションやサービスを扱えるように、ブロードバンドとマルチモードに対応し、高効率で、高度に統合されている必要があります。都市型配置には、市内郊外のタワーや、屋上、街灯、道路そのものといった従来にはない空間、さらにはトンネル内部なども含まれる可能性があります。長距離アンテナは引き続き、郊外地域で長距離をカバーし続けるものと思われます。これは今日の 4G と同様です。

 

AAS は、アクティブな無線電子機器 (トランシーバ) とパッシブ アンテナ アレイを統合したアクティブ アンテナ システムであり、容量とカバー範囲を増強して RF ケーブルの要件とケーブル損失を低減します。これは 5G の主要なコンポーネントです。

 

Massive MIMO は、将来の超高速 5G ネットワークの中核となる基盤コンポーネントとみなされています。MIMO には複数の技術が関与していますが、本質的にこれはワイヤレス多重化技術です。通常はデータ信号ごとに別々の送受信アンテナを使用して、同じ無線チャネル上で同時に複数のデータ信号を送受信できます。Massive MIMO の構成について明確な数字はありませんが、数十から数百のアンテナを持つシステムをこのように呼ぶ傾向があります。たとえば、Huawei、ZTE、Facebook は、96 ~ 128 基のアンテナを備えた Massive MIMO システムのデモを行っています。

Massive MIMO は、ワイヤレス ネットワークの容量を 50 倍増大させます。 アンテナの数が増えるため、データ速度のパフォーマンスとリンクの信頼性が向上し、耐干渉性/耐妨害性も高まります。

しかし、設計エンジニアは次のような課題に直面する可能性があります。

  • AAS および Massive MIMO では、設計がより複雑になります。さらに、コンポーネントをこれまで以上に小型化し、AAS 内で高速に相互接続させる必要があります。無線で使用するコンポーネントは、伝送特性 (SI)、電磁干渉 (EMI)、熱性能の基準に適合しなければなりません。無線ユニット内部ではこの 3 つが重要となります。
  • 接続部は、高速で費用対効果が高く、強力、堅牢、小型でなければなりません。つまり、高速、高出力、より過酷な熱的要件を満たすとともに、接続部を小型化して AAS 全体の物理的サイズを抑える必要があります。アンテナ素子の数が多くなると、通常は接続部の数も増えます。多数のコンポーネントを妥当なコストで組み付けるのは容易ではなく、何らかの解決策が必要になります。これが、TE Connectivity のソリューションがもたらす重要な価値のひとつです。
Massive MIMO アンテナ エコシステム

Massive MIMO アンテナ

TE には、長年培ってきた高速相互接続、RF、伝送特性、熱、堅牢性、機械設計に関する専門知識があります。 また、世界中に最先端の製造拠点を持ち、クラス最高レベルのコンポーネントとソリューションを提供しています。さらに、AAS の設計・製造上の課題に応える相互接続製品を幅広くご用意しています。新規設計についても、お客様の研究開発部門と緊密に連携して設計を進めることができます。

 

TE は、データ通信とワイヤレス接続以外にも数多くの市場に参入しています。そのため、お客様は TE が各市場で得た知識、高度な技術、カスタマー サービスを存分に活用できます。当社はエンジニアリングの才能にあふれるグローバルなチームであり、一丸となって工場での品質保証や技術センタでの戦略的な製品開発に取り組んでいます。全体像を把握し、お客様の課題を理解して、次世代の問題解決をお手伝いします。

RF 基板対フィルタおよび RF 基板対基板コネクタ

当社では、今後の 5G ワイヤレス機器の設計にはかつてない水準の高い信頼性を持つカスタマイズ可能なコンポーネントが求められていると認識しています。また、ワイヤレス インフラストラクチャを世界規模で拡大するためにはそれらのコンポーネントを低コストで提供しなければなりません。TE の新しい ERFV RF 同軸コネクタは、次世代の 5G ワイヤレス設計をサポートするために、一体型の圧縮設計によってアンテナと無線の基板対基板接続および基板対フィルタ接続を低コストかつ組み立てやすい形で実現します。ERFV 同軸コネクタは、5G の到来を念頭に置いて設計されており、不整列公差、挿入損失、反射損失に優れた確かな信頼性を提供します。

アンテナ

アンテナ

当社のアンテナ設計は、あらゆるネットワークで動作するように多数の周波数帯域に対応しており、各地域の市場とグローバル市場の両方において競争力のある価格で販売されています。当社の 5G アンテナは、ビームフォーミングや MIMO などの革新的な技術によってデータを伝送し、お客様の 5G ネットワークに信頼性と拡張性を与えます。TE が提供する多彩なアンテナ技術のラインナップには、2 ショット成形、プレス加工、フレキシブル プリント回路 (FPC)、プリント基板 (PCB)、レーザー直接構造化 (LDS) などのソリューションを利用したスタンダード アンテナとカスタム アンテナが含まれます。

FullAXS および FullAXS Mini コネクタおよびケーブル アセンブリ

FullAXS および FullAXS Mini コネクタ シーリング システムおよびケーブル アセンブリ

これらのコネクタ シーリング システムは、過酷な屋外環境に設置されます。TE の FullAXS Mini コネクタは、ファイバ、電力、信号接続のデザイン インに小さなサイズと拡張性をもたらし、多くの環境に適合します。この新型コネクタは、TE が提供する現行の FullAXS 相互接続製品よりも 23% 小型化されており、柔軟なシーリング システムによって筐体内のほぼどこにでも配置できます。これらのコネクタは耐久性が高く堅牢で、屋外に簡単に設置でき、電力ケーブル、ファイバ、銅ケーブルに対応しています。IP68 レベルの優れた耐久性があり、さまざまな 5G 用途に使用できます。

高速入出力 (I/O) コネクタおよびケージ

高速 I/O コネクタおよびケージ

当社が提供する幅広い高速 I/O ケージおよびコネクタは、AAS、ベースバンド ユニット、エッジ クラウド インフラストラクチャ システムの高速 I/O 接続を実現するために設計されています。TE の高速 I/O 製品は、速度、密度、柔軟性を考慮して設計されており、効率と標準化も重視されています。最新世代の I/O 製品は、高速通信の主要な要件である熱性能と伝送特性がさらに強化されています。製品ラインナップには、SFP28、QSFP28、QSFP-DD が含まれます。

Sliver 内部ケーブル相互接続

Sliver 内部ケーブル相互接続

当社の最も柔軟なソリューションのひとつである Sliver 内部ケーブル相互接続は、最大 25 Gbps のデータ速度を提供し、5G AAS、データ センタ、電気通信のスイッチングやルーティングなどの用途に役立ちます。この製品群を使用すると、これまでにない効率的な方法で通信システム内の高速接続をサポートできます。Sliver 製品群は設計を簡素化し、リタイマーや高価な低損失プリント基板 (PCB) 材料を不要にすることでシステム全体のコストを低減します。さらに、TE の高速ケーブルを使用することで、最大 25 Gbps の速度を達成できます。

メザニンおよびバッププレーン コネクタ

メザニンおよびバッププレーン コネクタ

当社の効率的な高速スタッキング コネクタは、基板対基板接続ソリューションによって PCB スペースを有効活用し、15 Gbps を超える高速性能を実現します。STRADA Mesa コネクタには、高速差動、高密度シングルエンド、RF/同軸の 3 種類のピンおよびソケット信号端子配置オプションが用意されており、さまざまな用途の要件に適合します。コンパクトな形状により、システム内部の熱放散を促進します。STRADA Whisper バックプレーン コネクタ製品群は、独自の設計によって 25 Gbps という高速なデータ転送が可能となっており、さらに最大 112 Gbps までの革新的な拡張性も備えています。そのため、コストのかかるバックプレーンまたはミッドプレーンの再設計を行わずに、効率的にシステムをアップグレードできます。この製品群は、高性能な高帯域幅システムのニーズを満たすために設計されています。

電力コネクタおよびケーブル アセンブリ

電力コネクタおよびケーブル アセンブリ

TE の電力製品および電力システムを使用すれば、内部・半内部から外部電力相互接続に至るまで、電力フローを維持できます。これらの製品には、システム性能を向上させる ELCON Mini 電力コネクタや、USB サイズのフォーマットで高速に充電できる DC ジャック コネクタが含まれています。当社の信頼性の高い電力製品は、小型のフォーム ファクタで高電力を供給し、基板対基板およびケーブル対基板の用途に対応します。たとえば、ELCON Mini コネクタは、ケーブルと基板を接続する費用対効果の高い電力ソリューションを提供し、端子あたり最大 40 A の高電流をサポートします。また、ポジティブ金属ラッチによる保持によって接続の信頼性を高めます。

高速ケーブル アセンブリの製品ラインナップ

高速ケーブル アセンブリ

これらの軽量アセンブリは、仮想現実 (VR) やゲームなどのエッジ用途、および医療や産業用途向けに特化して設計されています。標準的なプラットフォーム設計が採用されているため、ユーザのニーズに応じてすばやく簡単に改良できます。また、低損失の接続とシンプルなシステム レイアウトを提供し、接続の柔軟性を向上させます。リセプタクルとケーブル アセンブリは、信号を途切れることなく伝送することが実証されており、高速なデータ レートによって優れた性能をもたらします。さらに、当社の高速プラガブル I/O 銅ケーブル アセンブリは、56 Gbps 以上の速度に対応するよう設計されています。当社は伝送特性 (SI) とシステム アーキテクチャに関する専門知識を持っており、市場最高クラスの性能を誇る QSFP28/56 および SFP28/56 ケーブル アセンブリの製品ラインナップを取り揃えています。これらのケーブル アセンブリは、最大 400 Gbps の総合データ速度をサポートしています。次世代コネクティビティの最先端にある当社のケーブル アセンブリは、100G Ethernet および InfiniBand Enhanced Data Rate (EDR) の要件に適合します。その他に、カスタムの配線ソリューションやそれに対応するプラガブル I/O ケージとコネクタもご用意しています。

センサ製品

センサ

TE のコンパクトで信頼性の高いセンサは、ネットワーク上の RRU や AAS の保護に役立ちます。TE では、温度センサ、湿度センサ、制御センサ、衝撃センサなどの幅広いセンサを取り揃えています。当社のセンサは、小型パッケージ、マルチ センサ モジュール、超低出力設計、過酷な環境向けのパッケージでさまざまな用途に使用されています。信頼性の高い正確なセンサは、エンジニアがモータ ベアリングから在宅看護患者に及ぶ幅広い用途の特性を理解するための基盤になります。5G を展開すると、「リアルタイム」でネットワークに応答できるようになり、従来よりも低コストかつ少ない消費電力で接続数を増やすことができます。超高速かつ低いエンドツーエンド遅延で数千台ものデバイスを同時に接続できるため、5G は産業、個人、医療用途に大きな影響を与えると予想されます。企業が必要なセンサの種類を把握し、どのようにしてセンサを包括的なシステムに接続すればよいかを理解し始めたら、完全に接続されたシステムを展開するために必要なニーズを満たすカスタマイズされたセンサが開発されるようになります。こうした用途で使用するセンサは、正確で信頼性の高いデータを得るために重要です。

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変更点と課題

5G 用無線ユニットの内部では、アクティブ電子機器とパッシブ アンテナ アレイが統合されています。これらのコンポーネントを配置するために、アンテナ基板、電子基板、フィルタが必要となります。

 

以下の点に留意してください。

  • 多数のアンテナ素子で構成されています (64 -> 128)。
  • I/O インタフェースを無線基板に接続するには、高速接続が必要です。
  • さらに、AAS の内部と外部に高速 I/O インタフェースが必要です。
  • ほとんどの場合、電力、ファイバ、ハイブリッド (電力、RF、低速信号) インタフェースが含まれます。
  • 相互接続とセンサ以外にも、シリコン、デュプレクサ、オシレータなどを考慮する必要があります。

  • 無線ユニットの接続部に課される EMI および SI 要件と熱的要件はより厳しくなり、そのような条件下で高速・高出力信号を処理する必要があります。
  • 接続部を小型化して AAS 全体の物理的サイズを抑える必要があります。
  • 前述したように、大量のアンテナ素子と製造時の扱いやすさを考えると、多数の接続部が必要になります。

アンテナは、ワイヤレス システムの通信において最も重要な要素です。 TE には、高性能な 3D アンテナ構造を構築するための広範な設計・製造ポートフォリオがあります。Massive MIMO システムのアンテナの給電点は、多くの場合、基板対基板同軸コネクタです。TE はさまざまなソリューションを取り揃えていますが、そのうちの ERFV 同軸コネクタは、クリティカルな接続の課題を解決する新しい手段となります。ERFV コネクタはワンピース コネクタと呼ぶことができます。バネの力で PCB 基板に接触することを特徴としており、接続の信頼性を向上させてアセンブリ公差を排除します。次に重要となる設計要素はフィルタです。フィルタは、圧入式 ERFV 同軸コネクタを使用してアンテナに接続し、さらに別の同軸コネクタを使用して増幅器基板に接続します。すべてのアンテナ データは増幅器基板によって収集されます。

中央処理装置には膨大な量のデータを伝送する必要があります。 TE の Sliver 相互接続などの高速ケーブル アセンブリは、設計の自由度が高い、クロストークが小さい、挿入損失性能が低いという特長があり、高速なデータ伝送が可能です。また、無線ユニットはワイヤレス ネットワークの一部であり、ワイヤレス ネットワークに光接続する必要があります。TE の高速 I/O 製品は、EMI と熱に関する課題に応えます。たとえば、SFP、SFP28、QSFP、QSFP28 は無線用途に最適です。光トランシーバに嵌合されるこれらのコネクタは、環境条件によっては保護する必要があり、そのような場合は TEの FullAXS 相互接続製品が役立ちます。さらに、システム用の電源が必要となる可能性もあります。TE の ELCON Mini コネクタは、強力で信頼性の高い無線ユニットへの給電点となります。

TE の無線製品

  • 高感度で高速な電力およびファイバ システムを保護するために、FullAXS コネクタなどの高耐久性ソリューションが用意されています。
  • TE のカスタマイズされた熱ソリューション (インターリーブ放熱器ソリューションなど) を使用すれば、I/O 冷却性能が向上し、光 I/O モジュールの寿命の延長につながります。
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5G ネットワークでは、クラウドのような概念を無線アクセス ネットワークとコア ネットワークの両方に幅広く持ち込むことが期待されます。 たとえば、C-RAN (クラウド無線アクセス ネットワーク) は、ベースバンド ユニット (BBU) の集約化と、仮想化などのクラウド技術の採用を重視しています。OEM は BBU 機能をどこで分割するかを選択できますが、この分割は必要な I/O 帯域幅に直接的な影響を及ぼします。TE の I/O 製品は 10G から 400G までのインタフェースに対応しており、業界で求められる数多くのソリューションをサポートします。

 

ただし、BBU を C-RAN ハブに集中させると、「フロントホール」と呼ばれる新たな層がネットワークに導入されます。フロントホールとは、BBU プールと基地局またはスモール セルにあるリモート ラジオ ヘッドとの間のリンクのことです。ファイバは帯域幅が高いため、フロントホール オプションとして最適ですが、ロケーションによってはマイクロ波リンクの部分が常に存在する可能性があります。光ファイバ接続を最小限に抑えるため、TE の低損失ダイレクトアタッチ銅 (DAC) ケーブルを使用して一部の無線をデイジーチェーン接続することもできます。これは TE が提案する標準的なソリューションであり、光トランシーバなどの発熱部品を使用しないことでシステムの熱ストレスを下げることができます。

これらの変更が接続にもたらす課題

 

Massive MIMO アクティブ アンテナ システムは、筐体の内部に電子機器が詰め込まれるため、大量の熱が発生します。すべてのコンポーネントが熱ストレスの増大に耐えられる必要があります。

 

これらの課題に対する TE Connectivity の取り組み

TE は、高速 I/O コネクタ ケージの熱挙動と熱性能の改善に重点的に取り組んでいます。これらのソリューションは、目的の用途に必要な冷却または熱伝導性を提供できます。

 

C-RAN では、より帯域幅の高い接続が必要になります。 実際、高周波帯域は約 1.8 GHz から約 6 GHz に拡大し、mmWave 空間も 24 GHz 超 から 100 GHz まで拡大しています。これは、新しい変調方式を使用した帯域幅の高い新型トランシーバによってサポートされます。TE Connectivity は、これらの課題を解決するために、高速 I/O、電力、ソケット、Sliver 相互接続、基板対基板バックプレーン ケーブル、高耐久性機器の統合などのさまざまなソリューションを提供しています。

無線ユニットと BBU の間で使用する TE 製品:

  • 高耐久ケーブル: FullAXS 相互接続 - プレチャンバ オプションあり
  • SFP/QSFP 製品群 (SFP、QSFP、SFP28、QSFP28、QSFP-DD)
  • 高速 I/O および DAC ケーブル

 

BBU の内部で使用する TE 製品:

高速 I/O、DAC ケーブルおよびケーブル アセンブリ、STRADA Whisper、Sliver 相互接続、電力製品群には、当社が持つデータ センタやクラウド間 RAN アーキテクチャに関する専門知識が活かされています。

高周波帯域は約 1.8 GHz から約 6 GHz に拡大し、mmWave 空間も 24 GHz 超 から 100 GHz まで拡大しています。

5G のコア ネットワークは、効率の高いクラウド インフラストラクチャを基にする必要があります。 クラウド RAN (または集中型 RAN) は最近のトレンドであり、アジア太平洋地域の事業者が先鞭をつけています。たとえば、中国、韓国、日本の事業者は、最先端の新しい C-RAN アーキテクチャを積極的に展開しています。C-RAN を使用すると、多くのセルのベースバンド処理が集約されます。C-RAN の利点としては、セル間の協調による性能の向上や、リソースのプールによるコストの削減などが挙げられます。

 

データ センタの規模と能力が高まるにつれて、エッジ コンピューティングやエッジ クラウドといった新たなトレンドが生まれました。この分散コンピューティングのパラダイムでは、データ センタでほとんどのコンピューティングを担う代わりに、(センサが内蔵された) スマート デバイスやエッジ デバイスなどの分散デバイス ノードで処理を行うことができます。そのため、デバイスの設計は、マイクロコントローラ、アクチュエータ ドライバ チップ、モジュールのすべてが統合されたスマート センサを組み込む方向に移行すると考えられます。そうなると、システムに含まれるコネクタやケーブルの役割と要件が変化します。

クラウド インフラストラクチャ

クラウドに転送された後、再びデバイスに戻る

TE Connectivity が提供する高速かつ高性能な相互接続製品や電力製品を使用すれば、機密性の高いデータをデバイスからクラウドに転送し、その後再びデバイスに戻すことができます。

 

たとえば、デバイスや通信接続事業者のアクティブ アンテナ システム (AAS) で当社の高性能アンテナを使用すると、データおよび電力が AAS システムから FullAXS 相互接続を介してエッジ クラウド ユニットに到達します。これらのシステムは、高耐久性ファイバ/電力/Ethernet クイックインストール インタフェースに対応しています。続いて信号は、熱および EMI 保護機能を備えた TE の高速 I/O ポートから Sliver 内部高速配線システムを介してエッジ クラウド ユニットに入ります。これらのコンポーネントは、遅延を低減してシステムの柔軟性を向上させます。その後、信号は STRADA Whisper バックプレーンおよび基板対基板製品または高速 DAC ケーブルによってエッジ クラウド ユニットのサブシステムを介して配信されてから、再び電波塔および AAS システムに戻り、さらにワイヤレスでデバイスに戻ります。ネットワーク全体の電力要件は、TE の内部および外部用途向けの基板対基板配電やケーブル配電などの広範な電力製品ラインナップによってサポートされます。

エッジ コンピューティングと CORD® の利点

5G エッジ コンピューティングは、エンドユーザのアプリケーションをコア ネットワークのエッジで実行することにより、大容量化、低遅延、モビリティの向上、信頼性と精度の向上を実現します。さらに、クラウド コンピューティングにより、巨大なデータ センタの効率と処理能力が小さな 5G デバイスにもたらされます。

 

CORD® は、クラウドをユーザまで行き渡らせるエッジ コンピューティングの一種です。Open Networking 財団によると、CORD® にはエッジをアジャイルなサービス配信プラットフォームに変える力があり、事業者は革新的な次世代サービスとともに効率的なエンドユーザ体験を

届けられるようになります。

CORD (Central Office Re-architected as a Datacenter) プラットフォームは、SDN、NFV、クラウド技術を活用してネットワーク エッジ向けのアジャイルなデータセンタを構築します。複数のオープン ソース プロジェクトを統合した CORD は、クラウドネイティブでオープンかつプログラム可能なアジャイル プラットフォームを提供するもので、ネットワーク事業者が革新的なサービスを創出できるようにします。
Open Networking 財団

主な利点

標準化されたインフラストラクチャとオープンな構成要素が使用可能になり、データ センタのスケールメリットが得られます。


C-RAN に伴う接続の課題

  • より帯域幅の高い接続が必要になります。
  • これは、帯域幅の高い新型トランシーバによってサポートされます。


TE のコネクティビティ ソリューションはこれらの問題の解決にどのように役立つか

  • 当社は、高速 I/O、電力、ソケット、Sliver 相互接続、基板対基板バックプレーン ケーブル、高耐久性機器の統合などの
    さまざまなソリューションを提供しています。

 

BBU の内部で使用する TE 製品:

  • TE の高速 I/O、DAC 銅ケーブル、ケーブル/ケーブル アセンブリ、STRADA Whisper、Sliver 電力製品群には、当社が持つ
    データ センタやクラウド間 RAN アーキテクチャに関する専門知識が活かされています。

執筆者について

Lieven Decrock

Lieven は TE の Data & Devices 事業部門の技術者兼主任電気エンジニアであり、TE に 22 年間勤務しています。伝送特性エンジニアとして、Lieven は高速コネクタとケーブル付属品の開発に従事してきました。技術者として、電気・光学システムの最先端課題に取り組み、次世代システムのソリューションを形にしています。


Lieven は、1996 年にルーヴェン・カトリック大学で電気機械工学の修士号、2004 年にヨーク大学 (英国) で電磁両立性および無線通信の修士号を取得し、複数の特許を所有しています。


Rickard Barrefelt
Rickard は、TE Connectivity の Data & Devices 事業部門で EMEA およびインド担当のフィールド アプリケーション エンジニアリング マネージャを務めています。Rickard は TE に 7 年間勤務しており、無線、消費者、データ通信に関するカスタマー アプリケーションおよび次世代プラットフォームの新しい設計やイノベーションに取り組んでいます。


Rickard は、ストックホルム (スウェーデン) にあるスウェーデン王立工科大学 (KTH) で機械工学を学び、インダストリアル デザインを専攻していました。複数の特許に関して「TE エキスパート イノベータ」の地位を得ており、5G、エッジ コンピューティング、エッジ クラウドを専門としています。


Marshall Chen
Marshall は TE Connectivity の Data & Devices 事業部門のエンジニアリング ディレクタであり、TE に 6 年間勤務しています。
過去 20 年の間、無線およびデータ センタ アプリケーションの RF・高速接続ソリューションに携わってきました。
Marshall は、世界中のお客様との早期関与を通じて、RRU/AAS などのワイヤレス インフラストラクチャや、スイッチ、サーバ、ストレージ、
コンシューマ デバイスなどのデータ センタ システム向けの新しい接続ソリューションの開発を指揮しています。また、お客様の次世代プラットフォームに関する設計案や先進的な開発コンセプトの提案も行っています。Marshall は中国の電子科技大学で工学の学士号を取得しており、専攻は電気材料と電気部品でした。RF および高速コネクタの設計で複数の特許を所有しています。

TE Connectivity のスマート ソリューションによって導入をよりスマート、迅速、かつ高密度にする – 機会と課題

はじめに

業界アナリストの間では、2025 年までに 750 億台以上の IoT (モノのインターネット) デバイス1が接続され、そのほとんどがワイヤレス技術を使用するという点で意見が一致しています。4G の存続は難しいかもしれませんが、幸いにも 5G が登場しようとしています。この第 5 世代のワイヤレス技術は、次の 3 つの利点をもたらします。それは、通信速度の高速・大容量化、低遅延による応答性の向上、センサやスマート デバイスの多数同時接続です。実際、5G ネットワークにより、データ通信は現在の技術に比べて 100 倍高速になると期待されています。そのためには、より広い帯域幅ときわめてクリアな通信に対応する高度なコネクティビティが不可欠です。将来的なデータ速度の向上は、よりスマートで生産性の高い「つながる世界」を促進するインタラクティブなエコシステムを実現する可能性があります。TE は、お客様がこの新しい世界に踏み出すためのパートナーです。

5G が登場しようとしています。5G により、データ通信は現在の技術に比べて 100 倍高速になります。

5G 時代を支え、広いカバー範囲とすべての 5G ユース ケースを実現するために不可欠かつ貴重なリソースとして、 サブ 1 GHz 帯、1 ~ 6 GHz 帯、6 GHz を超える帯域の 3 つの主要周波数範囲のスペクトルが期待されています。最初の 2 つをまとめて「サブ 6 GHz 帯」と呼ぶこともあります。これが重要なのは、セルラ データ トラフィックが増加の一途をたどっており、今後は拡張モバイル ブロードバンドが消費者への中心的な価値提案になるためです。拡張モバイル ブロードバンド (eMBB) は、5G で規定されている 3 つのユース ケースのひとつです。これらのユース ケースは、既存の 4G ブロードバンド サービスを拡張するものとして最初に提供される商用 5G サービスになります。ただし、これは単にダウンロード速度を高速化するだけにとどまらず、それをはるかに超える利便性をもたらします。

 

初期の 5G 導入の道を牽引するのは米国と中国であると考えられています。中国は、C バンド (3 ~ 5 GHz) の初期展開を見据えています。それに対して米国は、ミリメートル波 (mmWave) (24 GHz 超) 周波数スペクトルによる固定ワイヤレス アクセスの初期展開と低バンド (600 MHz) の導入に重点的に取り組むと思われます。

NXP 5G ワイヤレス インフラストラクチャ (左の図) と、モバイル アプリケーション用の mmWave ソリューション - Qualcomm (右の図)

TE では、長期的に見ると、 C バンド スペクトルではスペクトル効率とシステム容量の向上が限られること、および遅延 1 ms という高いハードルがあることから、C バンドで拡張モバイル ブロードバンドを提供するのは困難である可能性があると考えています。広い連続帯域幅の要件に対応するためには、mmWave を検討する必要があります。

 

実際、現在の技術的成熟度と経済的実現可能性の観点からすると、ハイブリッド ネットワークになる可能性はきわめて高いと言えます。たとえば、主要な都市部では固定ワイヤレスやホットスポットをカバーするために mmWave が導入され、郊外地域や小都市ではサブ 6 GHz 帯が導入されることが予想されます。5G は 4G と共存し続けるでしょう。

5G の導入においては、 主要技術を理解することが重要となります。たとえば、独立した RRU やアンテナ システムから、アンテナ素子やその他のアクティブ電子機器が統合された大量のマルチ入力マルチ出力 (MIMO) を持つ AAU への移行などがこの主要技術に該当します。アンテナ システムは、パッシブな構造からアクティブなアンテナ ユニット (アンテナ エッジに直接配置された電子機器を含む) に移行することが求められます。新しいアクティブ アンテナ システムの姿は、Massive MIMO アンテナに移行し、複数のワイヤレス チャネルを通じて複数のユーザをサポートするもの (いわゆるマルチユーザ MIMO または MU-MIMO) になると予想されます。そうなると、コネクタやケーブルなどの内部接続を通じてアンテナ素子ごとに大量のデータが生み出されます。

 

5G の新しい無線規格 (NR) では、主要なコンポーネントによって RRU とアンテナを AAS に統合できます。

統合ソリューション

アクティブ アンテナ システム (AAS)

地方のタワーから都市型配置まで、市場は次世代設計のワイヤレス無線システムを求めています。これらのシステムは、膨大かつ多様なアプリケーションやサービスを扱えるように、ブロードバンドとマルチモードに対応し、高効率で、高度に統合されている必要があります。都市型配置には、市内郊外のタワーや、屋上、街灯、道路そのものといった従来にはない空間、さらにはトンネル内部なども含まれる可能性があります。長距離アンテナは引き続き、郊外地域で長距離をカバーし続けるものと思われます。これは今日の 4G と同様です。

 

AAS は、アクティブな無線電子機器 (トランシーバ) とパッシブ アンテナ アレイを統合したアクティブ アンテナ システムであり、容量とカバー範囲を増強して RF ケーブルの要件とケーブル損失を低減します。これは 5G の主要なコンポーネントです。

 

Massive MIMO は、将来の超高速 5G ネットワークの中核となる基盤コンポーネントとみなされています。MIMO には複数の技術が関与していますが、本質的にこれはワイヤレス多重化技術です。通常はデータ信号ごとに別々の送受信アンテナを使用して、同じ無線チャネル上で同時に複数のデータ信号を送受信できます。Massive MIMO の構成について明確な数字はありませんが、数十から数百のアンテナを持つシステムをこのように呼ぶ傾向があります。たとえば、Huawei、ZTE、Facebook は、96 ~ 128 基のアンテナを備えた Massive MIMO システムのデモを行っています。

Massive MIMO は、ワイヤレス ネットワークの容量を 50 倍増大させます。 アンテナの数が増えるため、データ速度のパフォーマンスとリンクの信頼性が向上し、耐干渉性/耐妨害性も高まります。

しかし、設計エンジニアは次のような課題に直面する可能性があります。

  • AAS および Massive MIMO では、設計がより複雑になります。さらに、コンポーネントをこれまで以上に小型化し、AAS 内で高速に相互接続させる必要があります。無線で使用するコンポーネントは、伝送特性 (SI)、電磁干渉 (EMI)、熱性能の基準に適合しなければなりません。無線ユニット内部ではこの 3 つが重要となります。
  • 接続部は、高速で費用対効果が高く、強力、堅牢、小型でなければなりません。つまり、高速、高出力、より過酷な熱的要件を満たすとともに、接続部を小型化して AAS 全体の物理的サイズを抑える必要があります。アンテナ素子の数が多くなると、通常は接続部の数も増えます。多数のコンポーネントを妥当なコストで組み付けるのは容易ではなく、何らかの解決策が必要になります。これが、TE Connectivity のソリューションがもたらす重要な価値のひとつです。
Massive MIMO アンテナ エコシステム

Massive MIMO アンテナ

TE には、長年培ってきた高速相互接続、RF、伝送特性、熱、堅牢性、機械設計に関する専門知識があります。 また、世界中に最先端の製造拠点を持ち、クラス最高レベルのコンポーネントとソリューションを提供しています。さらに、AAS の設計・製造上の課題に応える相互接続製品を幅広くご用意しています。新規設計についても、お客様の研究開発部門と緊密に連携して設計を進めることができます。

 

TE は、データ通信とワイヤレス接続以外にも数多くの市場に参入しています。そのため、お客様は TE が各市場で得た知識、高度な技術、カスタマー サービスを存分に活用できます。当社はエンジニアリングの才能にあふれるグローバルなチームであり、一丸となって工場での品質保証や技術センタでの戦略的な製品開発に取り組んでいます。全体像を把握し、お客様の課題を理解して、次世代の問題解決をお手伝いします。

RF 基板対フィルタおよび RF 基板対基板コネクタ

当社では、今後の 5G ワイヤレス機器の設計にはかつてない水準の高い信頼性を持つカスタマイズ可能なコンポーネントが求められていると認識しています。また、ワイヤレス インフラストラクチャを世界規模で拡大するためにはそれらのコンポーネントを低コストで提供しなければなりません。TE の新しい ERFV RF 同軸コネクタは、次世代の 5G ワイヤレス設計をサポートするために、一体型の圧縮設計によってアンテナと無線の基板対基板接続および基板対フィルタ接続を低コストかつ組み立てやすい形で実現します。ERFV 同軸コネクタは、5G の到来を念頭に置いて設計されており、不整列公差、挿入損失、反射損失に優れた確かな信頼性を提供します。

アンテナ

アンテナ

当社のアンテナ設計は、あらゆるネットワークで動作するように多数の周波数帯域に対応しており、各地域の市場とグローバル市場の両方において競争力のある価格で販売されています。当社の 5G アンテナは、ビームフォーミングや MIMO などの革新的な技術によってデータを伝送し、お客様の 5G ネットワークに信頼性と拡張性を与えます。TE が提供する多彩なアンテナ技術のラインナップには、2 ショット成形、プレス加工、フレキシブル プリント回路 (FPC)、プリント基板 (PCB)、レーザー直接構造化 (LDS) などのソリューションを利用したスタンダード アンテナとカスタム アンテナが含まれます。

FullAXS および FullAXS Mini コネクタおよびケーブル アセンブリ

FullAXS および FullAXS Mini コネクタ シーリング システムおよびケーブル アセンブリ

これらのコネクタ シーリング システムは、過酷な屋外環境に設置されます。TE の FullAXS Mini コネクタは、ファイバ、電力、信号接続のデザイン インに小さなサイズと拡張性をもたらし、多くの環境に適合します。この新型コネクタは、TE が提供する現行の FullAXS 相互接続製品よりも 23% 小型化されており、柔軟なシーリング システムによって筐体内のほぼどこにでも配置できます。これらのコネクタは耐久性が高く堅牢で、屋外に簡単に設置でき、電力ケーブル、ファイバ、銅ケーブルに対応しています。IP68 レベルの優れた耐久性があり、さまざまな 5G 用途に使用できます。

高速入出力 (I/O) コネクタおよびケージ

高速 I/O コネクタおよびケージ

当社が提供する幅広い高速 I/O ケージおよびコネクタは、AAS、ベースバンド ユニット、エッジ クラウド インフラストラクチャ システムの高速 I/O 接続を実現するために設計されています。TE の高速 I/O 製品は、速度、密度、柔軟性を考慮して設計されており、効率と標準化も重視されています。最新世代の I/O 製品は、高速通信の主要な要件である熱性能と伝送特性がさらに強化されています。製品ラインナップには、SFP28、QSFP28、QSFP-DD が含まれます。

Sliver 内部ケーブル相互接続

Sliver 内部ケーブル相互接続

当社の最も柔軟なソリューションのひとつである Sliver 内部ケーブル相互接続は、最大 25 Gbps のデータ速度を提供し、5G AAS、データ センタ、電気通信のスイッチングやルーティングなどの用途に役立ちます。この製品群を使用すると、これまでにない効率的な方法で通信システム内の高速接続をサポートできます。Sliver 製品群は設計を簡素化し、リタイマーや高価な低損失プリント基板 (PCB) 材料を不要にすることでシステム全体のコストを低減します。さらに、TE の高速ケーブルを使用することで、最大 25 Gbps の速度を達成できます。

メザニンおよびバッププレーン コネクタ

メザニンおよびバッププレーン コネクタ

当社の効率的な高速スタッキング コネクタは、基板対基板接続ソリューションによって PCB スペースを有効活用し、15 Gbps を超える高速性能を実現します。STRADA Mesa コネクタには、高速差動、高密度シングルエンド、RF/同軸の 3 種類のピンおよびソケット信号端子配置オプションが用意されており、さまざまな用途の要件に適合します。コンパクトな形状により、システム内部の熱放散を促進します。STRADA Whisper バックプレーン コネクタ製品群は、独自の設計によって 25 Gbps という高速なデータ転送が可能となっており、さらに最大 112 Gbps までの革新的な拡張性も備えています。そのため、コストのかかるバックプレーンまたはミッドプレーンの再設計を行わずに、効率的にシステムをアップグレードできます。この製品群は、高性能な高帯域幅システムのニーズを満たすために設計されています。

電力コネクタおよびケーブル アセンブリ

電力コネクタおよびケーブル アセンブリ

TE の電力製品および電力システムを使用すれば、内部・半内部から外部電力相互接続に至るまで、電力フローを維持できます。これらの製品には、システム性能を向上させる ELCON Mini 電力コネクタや、USB サイズのフォーマットで高速に充電できる DC ジャック コネクタが含まれています。当社の信頼性の高い電力製品は、小型のフォーム ファクタで高電力を供給し、基板対基板およびケーブル対基板の用途に対応します。たとえば、ELCON Mini コネクタは、ケーブルと基板を接続する費用対効果の高い電力ソリューションを提供し、端子あたり最大 40 A の高電流をサポートします。また、ポジティブ金属ラッチによる保持によって接続の信頼性を高めます。

高速ケーブル アセンブリの製品ラインナップ

高速ケーブル アセンブリ

これらの軽量アセンブリは、仮想現実 (VR) やゲームなどのエッジ用途、および医療や産業用途向けに特化して設計されています。標準的なプラットフォーム設計が採用されているため、ユーザのニーズに応じてすばやく簡単に改良できます。また、低損失の接続とシンプルなシステム レイアウトを提供し、接続の柔軟性を向上させます。リセプタクルとケーブル アセンブリは、信号を途切れることなく伝送することが実証されており、高速なデータ レートによって優れた性能をもたらします。さらに、当社の高速プラガブル I/O 銅ケーブル アセンブリは、56 Gbps 以上の速度に対応するよう設計されています。当社は伝送特性 (SI) とシステム アーキテクチャに関する専門知識を持っており、市場最高クラスの性能を誇る QSFP28/56 および SFP28/56 ケーブル アセンブリの製品ラインナップを取り揃えています。これらのケーブル アセンブリは、最大 400 Gbps の総合データ速度をサポートしています。次世代コネクティビティの最先端にある当社のケーブル アセンブリは、100G Ethernet および InfiniBand Enhanced Data Rate (EDR) の要件に適合します。その他に、カスタムの配線ソリューションやそれに対応するプラガブル I/O ケージとコネクタもご用意しています。

センサ製品

センサ

TE のコンパクトで信頼性の高いセンサは、ネットワーク上の RRU や AAS の保護に役立ちます。TE では、温度センサ、湿度センサ、制御センサ、衝撃センサなどの幅広いセンサを取り揃えています。当社のセンサは、小型パッケージ、マルチ センサ モジュール、超低出力設計、過酷な環境向けのパッケージでさまざまな用途に使用されています。信頼性の高い正確なセンサは、エンジニアがモータ ベアリングから在宅看護患者に及ぶ幅広い用途の特性を理解するための基盤になります。5G を展開すると、「リアルタイム」でネットワークに応答できるようになり、従来よりも低コストかつ少ない消費電力で接続数を増やすことができます。超高速かつ低いエンドツーエンド遅延で数千台ものデバイスを同時に接続できるため、5G は産業、個人、医療用途に大きな影響を与えると予想されます。企業が必要なセンサの種類を把握し、どのようにしてセンサを包括的なシステムに接続すればよいかを理解し始めたら、完全に接続されたシステムを展開するために必要なニーズを満たすカスタマイズされたセンサが開発されるようになります。こうした用途で使用するセンサは、正確で信頼性の高いデータを得るために重要です。

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変更点と課題

5G 用無線ユニットの内部では、アクティブ電子機器とパッシブ アンテナ アレイが統合されています。これらのコンポーネントを配置するために、アンテナ基板、電子基板、フィルタが必要となります。

 

以下の点に留意してください。

  • 多数のアンテナ素子で構成されています (64 -> 128)。
  • I/O インタフェースを無線基板に接続するには、高速接続が必要です。
  • さらに、AAS の内部と外部に高速 I/O インタフェースが必要です。
  • ほとんどの場合、電力、ファイバ、ハイブリッド (電力、RF、低速信号) インタフェースが含まれます。
  • 相互接続とセンサ以外にも、シリコン、デュプレクサ、オシレータなどを考慮する必要があります。

  • 無線ユニットの接続部に課される EMI および SI 要件と熱的要件はより厳しくなり、そのような条件下で高速・高出力信号を処理する必要があります。
  • 接続部を小型化して AAS 全体の物理的サイズを抑える必要があります。
  • 前述したように、大量のアンテナ素子と製造時の扱いやすさを考えると、多数の接続部が必要になります。

アンテナは、ワイヤレス システムの通信において最も重要な要素です。 TE には、高性能な 3D アンテナ構造を構築するための広範な設計・製造ポートフォリオがあります。Massive MIMO システムのアンテナの給電点は、多くの場合、基板対基板同軸コネクタです。TE はさまざまなソリューションを取り揃えていますが、そのうちの ERFV 同軸コネクタは、クリティカルな接続の課題を解決する新しい手段となります。ERFV コネクタはワンピース コネクタと呼ぶことができます。バネの力で PCB 基板に接触することを特徴としており、接続の信頼性を向上させてアセンブリ公差を排除します。次に重要となる設計要素はフィルタです。フィルタは、圧入式 ERFV 同軸コネクタを使用してアンテナに接続し、さらに別の同軸コネクタを使用して増幅器基板に接続します。すべてのアンテナ データは増幅器基板によって収集されます。

中央処理装置には膨大な量のデータを伝送する必要があります。 TE の Sliver 相互接続などの高速ケーブル アセンブリは、設計の自由度が高い、クロストークが小さい、挿入損失性能が低いという特長があり、高速なデータ伝送が可能です。また、無線ユニットはワイヤレス ネットワークの一部であり、ワイヤレス ネットワークに光接続する必要があります。TE の高速 I/O 製品は、EMI と熱に関する課題に応えます。たとえば、SFP、SFP28、QSFP、QSFP28 は無線用途に最適です。光トランシーバに嵌合されるこれらのコネクタは、環境条件によっては保護する必要があり、そのような場合は TEの FullAXS 相互接続製品が役立ちます。さらに、システム用の電源が必要となる可能性もあります。TE の ELCON Mini コネクタは、強力で信頼性の高い無線ユニットへの給電点となります。

TE の無線製品

  • 高感度で高速な電力およびファイバ システムを保護するために、FullAXS コネクタなどの高耐久性ソリューションが用意されています。
  • TE のカスタマイズされた熱ソリューション (インターリーブ放熱器ソリューションなど) を使用すれば、I/O 冷却性能が向上し、光 I/O モジュールの寿命の延長につながります。
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5G ネットワークでは、クラウドのような概念を無線アクセス ネットワークとコア ネットワークの両方に幅広く持ち込むことが期待されます。 たとえば、C-RAN (クラウド無線アクセス ネットワーク) は、ベースバンド ユニット (BBU) の集約化と、仮想化などのクラウド技術の採用を重視しています。OEM は BBU 機能をどこで分割するかを選択できますが、この分割は必要な I/O 帯域幅に直接的な影響を及ぼします。TE の I/O 製品は 10G から 400G までのインタフェースに対応しており、業界で求められる数多くのソリューションをサポートします。

 

ただし、BBU を C-RAN ハブに集中させると、「フロントホール」と呼ばれる新たな層がネットワークに導入されます。フロントホールとは、BBU プールと基地局またはスモール セルにあるリモート ラジオ ヘッドとの間のリンクのことです。ファイバは帯域幅が高いため、フロントホール オプションとして最適ですが、ロケーションによってはマイクロ波リンクの部分が常に存在する可能性があります。光ファイバ接続を最小限に抑えるため、TE の低損失ダイレクトアタッチ銅 (DAC) ケーブルを使用して一部の無線をデイジーチェーン接続することもできます。これは TE が提案する標準的なソリューションであり、光トランシーバなどの発熱部品を使用しないことでシステムの熱ストレスを下げることができます。

これらの変更が接続にもたらす課題

 

Massive MIMO アクティブ アンテナ システムは、筐体の内部に電子機器が詰め込まれるため、大量の熱が発生します。すべてのコンポーネントが熱ストレスの増大に耐えられる必要があります。

 

これらの課題に対する TE Connectivity の取り組み

TE は、高速 I/O コネクタ ケージの熱挙動と熱性能の改善に重点的に取り組んでいます。これらのソリューションは、目的の用途に必要な冷却または熱伝導性を提供できます。

 

C-RAN では、より帯域幅の高い接続が必要になります。 実際、高周波帯域は約 1.8 GHz から約 6 GHz に拡大し、mmWave 空間も 24 GHz 超 から 100 GHz まで拡大しています。これは、新しい変調方式を使用した帯域幅の高い新型トランシーバによってサポートされます。TE Connectivity は、これらの課題を解決するために、高速 I/O、電力、ソケット、Sliver 相互接続、基板対基板バックプレーン ケーブル、高耐久性機器の統合などのさまざまなソリューションを提供しています。

無線ユニットと BBU の間で使用する TE 製品:

  • 高耐久ケーブル: FullAXS 相互接続 - プレチャンバ オプションあり
  • SFP/QSFP 製品群 (SFP、QSFP、SFP28、QSFP28、QSFP-DD)
  • 高速 I/O および DAC ケーブル

 

BBU の内部で使用する TE 製品:

高速 I/O、DAC ケーブルおよびケーブル アセンブリ、STRADA Whisper、Sliver 相互接続、電力製品群には、当社が持つデータ センタやクラウド間 RAN アーキテクチャに関する専門知識が活かされています。

高周波帯域は約 1.8 GHz から約 6 GHz に拡大し、mmWave 空間も 24 GHz 超 から 100 GHz まで拡大しています。

5G のコア ネットワークは、効率の高いクラウド インフラストラクチャを基にする必要があります。 クラウド RAN (または集中型 RAN) は最近のトレンドであり、アジア太平洋地域の事業者が先鞭をつけています。たとえば、中国、韓国、日本の事業者は、最先端の新しい C-RAN アーキテクチャを積極的に展開しています。C-RAN を使用すると、多くのセルのベースバンド処理が集約されます。C-RAN の利点としては、セル間の協調による性能の向上や、リソースのプールによるコストの削減などが挙げられます。

 

データ センタの規模と能力が高まるにつれて、エッジ コンピューティングやエッジ クラウドといった新たなトレンドが生まれました。この分散コンピューティングのパラダイムでは、データ センタでほとんどのコンピューティングを担う代わりに、(センサが内蔵された) スマート デバイスやエッジ デバイスなどの分散デバイス ノードで処理を行うことができます。そのため、デバイスの設計は、マイクロコントローラ、アクチュエータ ドライバ チップ、モジュールのすべてが統合されたスマート センサを組み込む方向に移行すると考えられます。そうなると、システムに含まれるコネクタやケーブルの役割と要件が変化します。

クラウド インフラストラクチャ

クラウドに転送された後、再びデバイスに戻る

TE Connectivity が提供する高速かつ高性能な相互接続製品や電力製品を使用すれば、機密性の高いデータをデバイスからクラウドに転送し、その後再びデバイスに戻すことができます。

 

たとえば、デバイスや通信接続事業者のアクティブ アンテナ システム (AAS) で当社の高性能アンテナを使用すると、データおよび電力が AAS システムから FullAXS 相互接続を介してエッジ クラウド ユニットに到達します。これらのシステムは、高耐久性ファイバ/電力/Ethernet クイックインストール インタフェースに対応しています。続いて信号は、熱および EMI 保護機能を備えた TE の高速 I/O ポートから Sliver 内部高速配線システムを介してエッジ クラウド ユニットに入ります。これらのコンポーネントは、遅延を低減してシステムの柔軟性を向上させます。その後、信号は STRADA Whisper バックプレーンおよび基板対基板製品または高速 DAC ケーブルによってエッジ クラウド ユニットのサブシステムを介して配信されてから、再び電波塔および AAS システムに戻り、さらにワイヤレスでデバイスに戻ります。ネットワーク全体の電力要件は、TE の内部および外部用途向けの基板対基板配電やケーブル配電などの広範な電力製品ラインナップによってサポートされます。

エッジ コンピューティングと CORD® の利点

5G エッジ コンピューティングは、エンドユーザのアプリケーションをコア ネットワークのエッジで実行することにより、大容量化、低遅延、モビリティの向上、信頼性と精度の向上を実現します。さらに、クラウド コンピューティングにより、巨大なデータ センタの効率と処理能力が小さな 5G デバイスにもたらされます。

 

CORD® は、クラウドをユーザまで行き渡らせるエッジ コンピューティングの一種です。Open Networking 財団によると、CORD® にはエッジをアジャイルなサービス配信プラットフォームに変える力があり、事業者は革新的な次世代サービスとともに効率的なエンドユーザ体験を

届けられるようになります。

CORD (Central Office Re-architected as a Datacenter) プラットフォームは、SDN、NFV、クラウド技術を活用してネットワーク エッジ向けのアジャイルなデータセンタを構築します。複数のオープン ソース プロジェクトを統合した CORD は、クラウドネイティブでオープンかつプログラム可能なアジャイル プラットフォームを提供するもので、ネットワーク事業者が革新的なサービスを創出できるようにします。
Open Networking 財団

主な利点

標準化されたインフラストラクチャとオープンな構成要素が使用可能になり、データ センタのスケールメリットが得られます。


C-RAN に伴う接続の課題

  • より帯域幅の高い接続が必要になります。
  • これは、帯域幅の高い新型トランシーバによってサポートされます。


TE のコネクティビティ ソリューションはこれらの問題の解決にどのように役立つか

  • 当社は、高速 I/O、電力、ソケット、Sliver 相互接続、基板対基板バックプレーン ケーブル、高耐久性機器の統合などの
    さまざまなソリューションを提供しています。

 

BBU の内部で使用する TE 製品:

  • TE の高速 I/O、DAC 銅ケーブル、ケーブル/ケーブル アセンブリ、STRADA Whisper、Sliver 電力製品群には、当社が持つ
    データ センタやクラウド間 RAN アーキテクチャに関する専門知識が活かされています。

執筆者について

Lieven Decrock

Lieven は TE の Data & Devices 事業部門の技術者兼主任電気エンジニアであり、TE に 22 年間勤務しています。伝送特性エンジニアとして、Lieven は高速コネクタとケーブル付属品の開発に従事してきました。技術者として、電気・光学システムの最先端課題に取り組み、次世代システムのソリューションを形にしています。


Lieven は、1996 年にルーヴェン・カトリック大学で電気機械工学の修士号、2004 年にヨーク大学 (英国) で電磁両立性および無線通信の修士号を取得し、複数の特許を所有しています。


Rickard Barrefelt
Rickard は、TE Connectivity の Data & Devices 事業部門で EMEA およびインド担当のフィールド アプリケーション エンジニアリング マネージャを務めています。Rickard は TE に 7 年間勤務しており、無線、消費者、データ通信に関するカスタマー アプリケーションおよび次世代プラットフォームの新しい設計やイノベーションに取り組んでいます。


Rickard は、ストックホルム (スウェーデン) にあるスウェーデン王立工科大学 (KTH) で機械工学を学び、インダストリアル デザインを専攻していました。複数の特許に関して「TE エキスパート イノベータ」の地位を得ており、5G、エッジ コンピューティング、エッジ クラウドを専門としています。


Marshall Chen
Marshall は TE Connectivity の Data & Devices 事業部門のエンジニアリング ディレクタであり、TE に 6 年間勤務しています。
過去 20 年の間、無線およびデータ センタ アプリケーションの RF・高速接続ソリューションに携わってきました。
Marshall は、世界中のお客様との早期関与を通じて、RRU/AAS などのワイヤレス インフラストラクチャや、スイッチ、サーバ、ストレージ、
コンシューマ デバイスなどのデータ センタ システム向けの新しい接続ソリューションの開発を指揮しています。また、お客様の次世代プラットフォームに関する設計案や先進的な開発コンセプトの提案も行っています。Marshall は中国の電子科技大学で工学の学士号を取得しており、専攻は電気材料と電気部品でした。RF および高速コネクタの設計で複数の特許を所有しています。