心臓監視デバイスを使用して心臓の状態を追跡。

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次世代の患者ケア

医療機器製造元は、TE Connectivity (TE) の各種センサを使用して、より健康的でより移動性に富んだ生活を患者に実現する在宅医療監視デバイスを開発できます。

著者:

Brian Ream、主要分野アプリケーション エンジニア、センサ

20 世紀には、新薬から患者ケアの進歩まで、医療のあらゆる領域でイノベーションが見られました。 たとえば、1935 年に Dr. John Gibbon, Jr. によって初めての心肺バイパスが猫で実施され、1953 年には人間の患者にそのデバイスが使用されて成功を収めています。1952 年に、Paul Zoll が開発した最初の心臓ペースメーカーにより、患者の体内にデバイスを植え込むことで不整脈の治療が実現しました。1980 年代初めから、心臓自体の電気回路を変更することで不整脈を治療できるようにする心臓アブレーションが実用化されてきました。その結果、1953 以降に冠状動脈バイパス手術による心臓発作防止が急速に発展しました。2000 年には、米国心臓協会 (American Heart Association) が、米国でバイパス手術を受けた患者が毎年 60 万人近くになっていることを報告しています。この頃には、バイパス処置の管理で患者の負担を軽減するための新たな構想が生まれてきました。この構想は、患者の心臓を停止する必要がなく、開胸も必要としない処置の実施を目的としたものです。これらの構想から、医療処置を改善して患者の早期回復を実現する新たな手法と技術が登場しています。

技術の進歩は、医師ができることと、それを実施できる場所を変えつつあります。 従来は、先進的な医療機器を備えた高度な医療センタや科学施設で医師が医療行為を実施してきました。一方で、これらの機器の大きさ、経費、運用上の複雑さにより、医師はその設置場所まで移動する必要がありました。現代の医師は、数十年前の医師のように、患者の診断、監視、治療をこれまでよりも容易に患者の自宅で実施できるようになっています。これにより、患者に対するストレスと患者が感染にさらされるリスクを軽減でき、患者は比較的快適で安全な自宅で回復を図ることができます。医療機器の各製造元は、これらの利点を認識し、家庭で使用することに特化した医療機器をこれまで以上に力を入れて開発しています。TE のセンサ技術陣は、これらの製造元と緊密に協力し、IoT 用途に向けて複雑な機器を統合するために必要となる技術を開発しています。

  1. 将来の医学の飛躍的進歩に対応するエンジニアリング

高度な低侵襲心臓処置で使用される現在の医療デバイスの開発に TE がどのように寄与しているかをご覧ください。

このような進歩は患者の治療を変革しました。 これまでの対症療法では、実質的に患者を自宅での長期的な緩和ケアに置く結果になっていましたが、現代の医師は、そのような治療ではなく、患者の "治癒" を目指すことができます。一方で、医師が使用する機器は高価で、医療機関でのみ利用できるものでした。これは病院や診療所が多数建設される契機となりましたが、医療サービスを受けるために患者は医療センタに足を運ぶことが必要になりました。このような変化に伴い、患者は最大で 25 人に 1 人の比率で院内感染 (HAI) にさらされるようになっています。また、多くの場合は患者サービスの非人格化を引き起こしています。近代的な病院は消毒処置の改善によって継続的に HAI に対応していますが、そうすることによって、患者の個人的な対人交流を制限して "滅菌" した患者環境を作り出す結果にもなっています。このような状況に対処するために、各組織はより個人に合わせたサービスの提供と患者を中心としたサービスの改善に努めています。しかし、選ぶことができるならばほとんどの患者は自宅での治療を望むという現実に変わりはありません。

技術の進歩は、医師ができることと、それを実施できる場所を変えつつあります。

現代の医療デバイス製造元は、患者の望みを認識しており、患者にその自宅でサービスを提供できる機会も理解しています。 患者は、個人により良く合わせたサービスを受けることができるだけでなく、必要とするサービスを快適な自宅の環境で受けるための経費を大幅に削減できます。患者の自宅ですべての医療サービスを医師が提供できるわけではありませんが、膨大な数の共通手順を患者の自宅で実施することはできます。その例として透析があります。透析治療の性質と頻度が原因となって、この救命治療を受けるために患者は相当量の時間を割く必要があります。これらの治療を受けるために医療施設を訪れなければならない患者の負担軽減と患者が感染するリスクの低減を目指して、多くの透析機器製造元は家庭での使用に特化した透析機器を設計しています。

家庭用透析装置
家庭用透析装置
ウェアラブル モニタ
ウェアラブル モニタ

ウェアラブル モニタ システムを通じて家庭の患者を監視できる製品や、一定のバイタル サインは患者自身が測定できる製品を開発している企業がいくつかあります。 これらの測定値は家庭に置かれたシステムに記録され、臨床医が監視している基地システムに渡されます。異常な測定値を検知した臨床医は、確認治療のために診療所で受診するように患者に求めることができます。この手順は、高齢の独居患者で特に効果的です。生活の質が低下する心配に煩わされることなく、質の高い人生を送ることができます。センサを備えたモニタでは各種の活動とその場所を検知でき、緊急時にはケアが自動的に手配されるので、在宅患者とその家族が安心感を得るうえで効果的です。ホーム ヘルスケアのこの新しい技術は、各個人がそれぞれの身体の健康状態を、これまで以上に良好に監視および管理できるようにもしています。ほとんどユビキタスに存在するフィットネス追跡デバイスにより、他の人々がそれぞれのデバイスに記録された活動について話し合う様子を聞くことも普通になっています。次世代のホームヘルスケア エレクトロニクスにより、健康に関してこれまで以上に詳しい情報の入手が期待できるので、健康を損なう可能性のある問題を早期段階で明確に検知できます。 

センサは、病院にある多くの医療機器にとって中枢神経系のレセプターとでもいうべき存在であり、機器の正常な動作と患者の生存のうえで重要ないくつかの主要パラメータを監視します。 これらのセンサは、機器の故障が患者の生命の危険に直結し、代替の手順がない用途向けに設計されています。初期の市販型人工心肺の頃から、当社のセンサは体に戻ってくる血流の温度を監視してきました。患者の加温とクーリングの用途では、デバイスが適切に機能していることを当社の圧力センサと温度センサが確認しています。透析機器では、圧力センサ、力センサ、温度センサが重要なパラメータを監視しています。機器製造元との長期にわたるこの協力関係を基盤として、ホーム ヘルスケア機器にもセンサの採用が拡大してきました。これらのデバイスでは、センサがこれまで以上に重要な役割を担っています。在宅医療では、訓練された臨床医が患者の監視に直接関与しにくいので、患者に対するリスクを最小限に抑えてその健康状態を詳しく追跡するために、ヘルスケア専門家と医療センタがセンサ搭載機器を活用する場面がますます増えています。在宅医療デバイスにセンサを組み込むことで、他のシステムとの統合が可能で、重要な情報をリモートで送受信できるスマートなデバイスが実現します。機器の各製造元では、家庭環境で機器が正常に機能するうえで測定と制御が必要となる主要なパラメータをその用途ごとに特定しています。 

医療用圧力センサ
AAMI 準拠の使い捨て圧力センサ
フィンガ クリップ フォト光センサ
フィンガ クリップ フォト光センサ

これらのセンサの例として、透析機器に使用する温度センサ、圧力センサ、力センサ、気泡検出センサがあります。 これらの各センサは、機器が自身の機能を監視および制御して、複雑な機器を適切に操作することに患者が習熟できるようにしています。ピエゾ フィルム センシング技術は、寝たきりの患者の活動、呼吸、運動を監視できるようにします。用途固有のセンサを使用して体温と SpO2 の面からも患者を監視できます。転倒検知と活動追跡では、高度のわずかな変化を検知できる高感度の圧力センサを使用することで、縦方向と横方向の位置を区別したり、1 日に登った階段の段数を計数したりできます。心肺機能障害の監視では、体液貯留に起因する体重増加が重要な監視対象パラメータとなります。高精度な力センサを使用すると、心臓疾患の兆候と考えられる体重の日次変動をリモートで監視できます。センサ技術の進歩に伴い、デバイスがますますインテリジェントになり、機器の複雑な部分の使用方法を簡素化できるようになります。TE が幅広く用意している各種センサにより、複数のパラメータ センサへの統合が現実のものとなります。家庭用医療用途には、今後大きな展開が見込まれるといえます。

製造元との緊密な協力

TE には、医療機器の設計支援で長年の経験があります。当社の経験豊かな技術陣は、設計部門との緊密な協力の下、高度なヘルスケアを実現する複数機能のセンサ技術を開発しています。このような高度なヘルスケアにより、患者に与える干渉や不快感を最小限にすると同時に、健康が効果的に監視されていて、必要な支援があればそれを迅速に利用できるという安心感を患者に提供できます。