圧力センサを取り替える理由

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圧力センサを取り替える理由

小型のシンプルな圧力トランスミッタ設計がシステムにもたらすメリットを紹介します。

著者:

Greg Montrose、Sensor Solutions 担当 Marketing Manager

原油価格の低下を受けて石油/ガス製造会社は、たとえば計器を提供するサプライヤに対して、コスト削減能力などを評価する必要に迫られるようになりました。 多くの場合、機器製造元では従来通りの生産水準を維持するため、コスト削減率の目標を設定しています。この戦略は確かに有効ですが、これとは違う方法も確かに存在します。現状のシステムで目標を達成するには、同じ計器が必要でしょうか。従来方式のプロセス タイプ トランスミッタの使用をやめて、エンジニアに取り替えを決断させるに至った、4 つの決め手をご紹介します。

多くのシステム設計者が、メンテナンスの都合で、空気・天然ガスコンプレッサにフィルタ監視用の差動圧力トランスミッタを取り付けています。 フィルタの前後における圧力差が大きくなるにつれ、トランスミッタの出力信号も大きくなり、PLC がユーザに対してフィルタの交換を促します。石油や空気など、それほど危険性のない液体やガスを扱うような、ごく単純な構造であっても、エンジニアは相変わらず 2,000 ドルもするようなトランスミッタを指定しています。さらに、装置への接続に必要なバルブとハードウェアが極めて高価になることもあります。以下でご紹介するように、差動圧力の低下にもとづいて出力を行うタイプで、危険区域用のタイプと同じ基本機能を備えた差動圧力トランスデューサならば、500 ドルもあれば入手できます。

差動圧力の測定において測定するのは、システム内の 2 点間の圧力差です。
差動圧力の測定において測定するのは、システム内の 2 点間の圧力差です。フィルタ用途では、上流側 [A] はフィルタ [B] の前に配置され、下流側 [C] はフィルタの後に配置されます。差動圧力センサは、液体または気体用途のどちらにおいても、フィルタの清浄性監視に利用できます。

トランスミッタのサイズは、トランスミッタ製造元が設計に盛り込んだ機能によって決まります。 より複雑な電子部品やディスプレイを備えている場合、エンベロープを取り付けるには追加のハードウェアが必要になります。下の画像で示しているように、小型設計なら、限られたスペースにより多くのハードウェアを取り付けられるほか、大型設計ならできないような近距離でトランスミッタを使用できます。取り付け上の制約は別としても、重量が増えれば物流コストの問題にもつながりかねません。固定システムの場合、トランスミッタの重量が機器の輸送コストに影響することはありませんが、サプライヤによるトランスミッタ納入時に発生するコストは、コンパクトなトランスミッタの場合の 3 倍にまで達する可能性があります。出荷時に保険をかけたり、優先サービスを追加したりした場合は、出荷時分のソフト コストによる全体のコスト増加につながります。

より小さく、よりコンパクトな差動圧力トランスデューサ
より小さく、よりコンパクトな差動圧力トランスデューサ (左) なら、プロセスにより近い場所で、より小さい面積にハードウェアを取り付けできます。

機械的・電気的機能はいずれも、ベーシックな圧力トランスミッタを検討する大きな決め手となります。 五方弁・ダイアフラム アイソレータ・リデューサ・取り付けブラケットなどは、プロセス用圧力トランスミッタにおける共通の難題となっています。監視対象である液体や気体による腐食や破壊の発生を防止する目的でセンサ材料に課される制約が、複雑さをさらに上乗せする場合もあります。ベーシックな「スティック型」トランスミッタは、その柔軟さによってコスト節約に役立ちます。下の写真で示しているように、このタイプのトランスミッタで利用できる材料およびセンサ技術により、全体のコストを抑えながら長期の利用に耐えるシステムを構築することも可能です。必要になるハードウェアは 1/4 回転バルブや T 型フィッティングなど、ごくシンプルなものです。通常は、ブラケットへの取り付けが必要な重量もごくわずかです。トランスデューサの出力信号は、コストや複雑さにも関係してきます。多くのプロセス用圧力トランスミッタは、取り付け個数が多くなる場合に役立つような、設計上の特長を備えています。デジタル通信・ターンダウン・現場校正はいずれも、活用できるのであれば大変すばらしい機能です。ただし、こうした機能を追加した場合、不慣れな技術者がトランスデューサの調整を行うケースも生じることになります。機能を盛り沢山にしても、使わなければ宝の持ち腐れです。

防爆圧力トランスミッタ
こうした防爆圧力トランスミッタの故障モード表示オプションがあれば、ユーザは故障発生時に出力信号を一定の割合で増減させるか減衰させるかを選択して、故障発生時のシステム動作の制御向上に役立てることができます。たとえば、システム稼働中にセンサが故障した場合、出力信号は上限より 5% 上、あるいは下限より 5% 下で出力されて、トランスミッタに問題が生じたことを知らせます。電気的過負荷や、極端な圧力急変といった状況は、圧力トランスミッタ故障の原因となります。このような場合にも、ユーザは故障時のシステム動作を制御することができます。

エンジニアを最も悩ませるのが、トランスミッタのデータ シートを比較検討する作業です。 性能の記述に用いられる用語は選択の幅が広く、書式も多種多様で、最大誤差を記載している場合もあれば、代表値を記載している場合もあります。高価な圧力トランスミッタのすべてが極めて優れた精度を発揮するという証拠はありません。API 規格に準拠する目的でトランスミッタを使用するような用途においては、精度がそのまま利益に換算されるため、精度の低いトランスミッタを使えばその分、コストの増加につながることもあり得ます。フィルタ用途に話を戻すと、このような場合は、全体的なコスト増加と引き換えにしても高精度を選択することになるでしょう。新たなセンサ技術の誕生にともない、低コスト化や高性能化に加えて、スティック型圧力トランスミッタの精度・再現性・長期的安定性も年々向上しています。過去 10 年間に (HMI: human machine interface) が大きく進化したことで、設計エンジニアはシステムに値を入力するだけで、これまでより柔軟にトランスミッタの性能を調整できるようになりました。以下で示しているように、技術の力によって、産業規格に準拠した低コスト トランスデューサと高コストのプロセス用トランスミッタとを隔てていたギャップを埋めることも、以前より容易になりました。

MEMS の圧力センサ技術
American Sensor Technologies (AST) による、1 個の金属片から製造した、シリコン油・O リング・溶接を使用しない圧力トランスミッタの断面図。この微小電気機械 (MEMS) 用圧力センサ技術によって、プロセス接続部を流れる液体や気体を完全に遮断して、汚染リスクを排除しています。ダイアフラムのひずみレベル (通常 275 マイクロひずみ) が低いことから、正確かつ再現性の高い測定が可能になります。

結論

より低価格のものを使うことには、誰でも不安を感じることでしょう。コストがそのまま性能を表すとは限りませんし、コストが製品やサービスだけの対価であるとも限りません。次の 4 つの問いに答えることで、別の選択肢が見つかるはずです。

  1. すべての機能が必要か。
  2. 全体の設計を簡略化してコストを削減できないか。
  3. より優れた性能にしたいか、また、必要であるか。
  4. 同じ性能を、別の方法で実現することはできないか。