医療機器には、必要とされる作業を行うために設計されたセンサが要求されます。

ホワイト ペーパー

目的に応じた選択肢

センサにより、医療機器の機能の仕方が変わりつつあります。医療機器のほとんどに非使い捨て型センサが使われているため、設計によって医薬品や体液との接触からセンサを保護する必要があります。これは、医療機器の使用方法に応じた適切なセンサの選択から始まります。

高齢化が進む中で、患者自動モニタ システムの人気がますます高まっています。 その人気の由来は、低コストに加え、一貫性と反復可能性という点にあります。このカテゴリにおけるセンサ内蔵のモニタ装置は、病院でも自宅でも使用できるように、汎用性にも優れています。モニタが必要とされる用途とパラメータがはっきりとわかっていれば、センサの選択は難しいことではありません。最も複雑な埋め込み型センサに続き、切開を通して挿入するカテーテル搭載用センサ、体腔に取り付けるキャビタス センサ、体液と接触する体外センサ、そして体外用途用センサがあります。

埋め込み型センサは、小型、軽量、体格との互換性が必要とされるだけでなく、ごくわずかな電力で動作しなければなりません。 最も重要な点は、時間とともに劣化しないことです。これらのセンサはクラス III 医療機器であるため、当然のことながら FDA 承認が必要です。埋め込み型センサは通常、生産段階に移行する前に 2 年間の開発および実装期間を要します。一般的に、これらのセンサは比較的高額で、専門医師による外科的な移植が必要です。埋め込み型センサの大きな課題の1つは電力要件です。電力を使わずに機能するセンサが理想的ですが、市場にはまだ数多くありません。小型で高い信頼性と耐久性を備え、電力を必要としない圧電ポリマ センサは、振動検知に最適です。このようなセンサは、患者の活動をモニタするペースメーカで使用できます。

数分から数時間の使用目的で一時的に挿入されるセンサ、FDA 承認が必要

このピエゾ センサは、極小のカンチレバー ビームのような形状で、重りの付いた先端部が身体の振動に応じて揺れます。 患者が動くたびに、センサは信号を発生します。たとえばペースメーカでは、このセンサの信号をペースメーカが受信して、最適な心拍数を調整します。センサは、歩行、ランニング、その他の身体活動など、さまざまな動作を識別することができます。たとえば、患者が休息していると信号は発生されず、ペースメーカは心拍数を最小限に調整します。この方法では、センサの信号は活動のレベルに比例します。小型のピエゾ フィルム振動センサは、それを内蔵するペースメーカを含めて長さ 0.15 インチです。埋め込み型センサは、外部電源によっても給電できます。たとえば、RF (無線周波数) エネルギ棒を体内に埋め込まれたセンサに近づけると、センサが給電されます。次にセンサは患者の測定値を記録し、RF リンクを経由してデータをエネルギ棒に送信して、休眠状態に戻ります。この方法で埋め込み型センサを使うもうひとつの例には、埋め込み型センサで手術部位の圧力漏れをモニタする、腹部大動脈瘤の術後処置があります。

通常カテーテルの先端に搭載され、切開を通じて挿入されるこれらのセンサの要件は、埋め込み型センサほどクリティカルではありませんが、やはり FDA 承認が必要です。 外科的処置に応じて、これらのセンサは数分から最長数時間にわたって機能する必要があり、外部電源による給電が可能です。カテーテルの先端にある 1 対の整合サーミスタは、心臓の異なる部位に導入されて血流を測定します。血流量は、コイルを通して加熱するか、冷水でフラッシュして測定されます。冷水でフラッシュする場合、血流によって 2 つ目のセンサに到達するまでに冷水が温められ、1 つ目のセンサは 2 つ目のセンサより低い温度を感知します。これら 2 つの温度センサは、温度と液体の体積が制御される既知の距離位置にあるため、2 つのセンサの抵抗値の差を読み取ることによって血流が算出されます。これらのサーミスタは外部電源を必要としません。

カテーテル

カテーテル アブレーション センサ

これらのセンサは、切開によって一時的に挿入されます。カテーテルの先端には RF のエネルギ源と荷重ロード セル センサが組み込まれています。埋め込み型でデータ送信に使われている RF エネルギと同様、RF エネルギは死細胞を除去するアブレーション プロセスで広く使われています。ここでの重要なポイントは、標的組織の貫通を避けるため、カテーテルによって標的組織に適用される力が許容最大値を超えないようにすることです。TE のセンシング技術には、3 次元で同時に組織接触力を測定することができる、3 軸荷重センシング システムの可能性が期待されています。 

シリコン MEMS 使い捨て型圧力センサ

これらのセンサは、出産時の子宮収縮や陣痛を測定する子宮内圧 (IUP) センサで使われています。この方法は従来のベルト法より信頼性が高く、クリティカルな症例で使用されています。これらのセンサには、羊水注入や羊水吸引などの付加機能を組み込むこともできます。これらのセンサは子宮を通じて挿入され、羊膜嚢の中に配置されます。出産直前にセンサは摘出されます。

キャビタス センサ

これらのセンサには、体温測定用の経口プローブや直腸プローブなどがあります。これらの温度センサは、小型で耐久性に優れた設計で、接触による持続的損傷から臓器の内膜を保護するためにソフトな被覆材で覆われています。

マイクロサーモカップル センサ

これらのセンサは、迅速で正確な温度測定が必要とされる状況での使用に適した、柔軟なファイン ゲージ サーモカップルです。サーモカップルは、先端で接触する 2 種類の異種金属で構成されています。2 種類の異種金属の接合点に微小の熱気電圧が発生し、それをサーモカップル温度計で測定して温度に換算します。異種金属は個別に絶縁され、ANSI MC96.1-1982 により認定された密着巻き 2 条構成を維持するためにオーバーコートが施されています。TE のマイクロサーモカップルは、生体適合性をもつ材料のみで構成されているため、医療用途の使用に適しています。

体外に設置されていても体液と接触する使い捨て型センサもあります。 たとえば、使い捨て型の血圧センサ (DPS) が挙げられます。これらのセンサは、外科手術や集中治療室 (ICU) において患者の血圧を継続的にモニタするために使われています。外科手術や ICU では、これは信頼性の高い血圧測定の手段です。使い捨て型血圧センサをモニタに接続すると、患者の詳しいデータが記録されます。汚染を防ぐため、これらのセンサは 24 時間ごとに交換する必要があります。血管形成術用バルーンの膨張ポンプに使われているセンサも医薬品や体液と接触するセンサのひとつです。ポンプ先端の圧力センサは、バルーンの膨張・収縮の媒体として使われる生理食塩水と接触します。この用途では、圧力センサはバルーンの膨張・収縮に適用される圧力をモニタするため、200 psi 以上の圧力に耐える必要があります。過剰な圧力が加えられると、バルーンが破裂して、患者が重度の合併症を引き起こすおそれがあります。

医療機器メーカーとセンサの専門家が協力し合うことによって、最新鋭の技術を生み出すことができます。

医療用途で活躍する TE センサ

  • 閉塞 (チューブ閉塞) 検知用点滴ポンプ向け荷重ロード セル
  • 流速、空のシリンジ、閉塞検知用シリンジ ポンプ内磁気抵抗センサ
  • 遠隔手術用具の配置、レントゲン/CT スキャンの患者体位配置用ストリング ポット位置センサ
  • パーキンソン病患者の振戦測定用超小型 MEMS 加速度計
  • 睡眠時無呼吸スタディ用圧電 (または焦電性) センサ
  • 点滴ポンプ/シリンジ ポンプ内気泡検知用ピエゾ フィルム トランスミッタ/受信機
  • 酸素保存および酸素タンク レベル モニタ用 MEMS センサおよび荷重セル センサ
  • 皮膚温度/体温測定用 NTC 温度センサ
  • カフ圧力センサ キット用の MEMS 圧力センサ