指向性エネルギー兵器の未来に貢献する

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指向性エネルギー兵器向けの高電力ソリューション

指向性エネルギー兵器は、高出力レーザ、粒子ビーム、高出力マイクロ波技術の課題を克服するために、高電圧ソリューションに依存しています。

高出力レーザ、粒子ビーム、高出力マイクロ波 (HPM)/無線周波数 (RF) 技術を利用した指向性エネルギー兵器 (DEW) を開発する際は、さまざまな課題に直面します。 これら 3 種類の指向性エネルギー兵器はすべて高電力を必要とするため、高電圧ソリューションが必要になります。DEW の設計者は、高電圧が電気相互接続にもたらすさまざまな課題を理解し、それらの解決方法を知っておくと、役に立ちます。

指向性エネルギー兵器の課題

今日の高出力レーザは数十キロワットの範囲で動作しますが、最終的な目標は、数百キロワット、さらにはメガワットを使用するように設計を進化させることです。このような強力なパワーを扱うため、指向性エネルギー兵器では、連続電力またはパルス電力システムと高度なスイッチングおよび電力調整技術が使用されています。

 

このような電力システムには、出力エネルギーを最大化しながら電力がホスト プラットフォームに及ぼす影響を最小限に抑える、高電圧相互接続ソリューションが必要です。高電圧相互接続ソリューションは、既成概念の枠にとらわれずに、主電源とバッテリーを接続するエネルギー経路だけでなく、エネルギーを目的の出力に変換する部品でも使用されています。

 

高電圧電力プロジェクトに着手する際、設計者は相互接続を包括的なシステムの一部として捉えることが重要です。高電圧電力の課題に対応するため、これまでにさまざまな相互接続製品が市場投入され、新たな技術が開発され続けてきました。今日の DEW の設計者にはかつてないほどの多くの選択肢がありますが、以下のような電力関連の問題は依然として存在します。

  • 極端な熱負荷の管理
    指向性エネルギー兵器の設計では、大量の熱エネルギーを放散してエネルギー源を安全かつ効率的な動作温度に保つ必要があります。除去する熱をシステム外に伝達するため、特殊な液体クーラーと熱交換器が使用されます。システム内部の相互接続は、最大 649°C (1,200°F) の内部温度に耐えられる必要があります。

    リレーが高温にさらされると、ピックアップ電圧 (VPI) とコイル抵抗 (RC) が影響を受けます。安定性を確保するには、直流電流 (DC) リレーの動作条件となる温度と電圧の組み合わせについて、その定常状態の特性を見極める必要があります。これは交流電流 (AC) 用途にも当てはまりますが、AC の場合、VPI の温度による変動は DC リレーよりも小さくなります。

  • 部分放電の防止
    地上での高電力の管理は比較的容易ですが、指向性エネルギー兵器システムは空中でも機能しなければなりません。高電圧は空気をイオン化させ、その結果空気が導電性を帯びてコロナ放電が発生する可能性があります。これが起こると、コロナ効果によって絶縁体が破壊され、空隙、空洞、電気ツリーイングを通して電力が失われます。これは電気アークを引き起こします。

    コロナ放電を回避するには、適切な誘電体/絶縁材を使用することが重要です。架橋ポリマを使用した高電圧配線、ケーブル、ハーネス、アセンブリ用の絶縁体は、破壊に耐えるように配合されています。このタイプの誘電体は、電力制御モジュールと電力コンバータにおいて特に重要となります。

  • アーク トラッキングによる損傷の回避
    指向性エネルギー兵器プラットフォームでは、高電圧源のポリマ絶縁体の表面に炭化経路が形成される場合があります。この炭化経路により、絶縁体は誘電特性を失って導電体になります。この導電路上で電気アークが発生すると、電力損失が起こり、高い確率で発火します。この問題を回避するには、適切な絶縁材を使用する必要があります。

  • 開始電圧と消滅電圧に対する環境の影響への対処
    開始電圧はコロナ効果が始まるときの電圧で、消滅電圧はコロナ効果が終わるときの電圧です。回路上の十分に絶縁されていない 2 つの部分が高い電圧差にさらされると、部分放電が発生する可能性があります。したがって、動作環境内で十分なレベルの電気絶縁が確保されるように電気システムを設計する必要があります。

  • 表皮効果の打ち消し
    電磁障害適合性 (EMC) に対する適切なシールドとフィルタリングを決定する際、表皮効果、つまり導体の表面に近い方が AC 電流が流れやすい傾向を考慮する必要があります。表皮効果は交流電流の磁場の変化によって誘導される渦電流の結果として生じるため、ほぼすべての AC 設計に内在しています。AC 電源回路のプリント基板 (PCB) トレースやその他の要素は表皮効果を打ち消すように設計できますが、専門家によるプランニングが必要です。

  • サイズと重量の制約の管理
    高電力電気エネルギーの貯蔵と管理に使用される構成部品は、大型で重量があります。高効率リレーおよびコンタクタはコンパクトな設置面積で高電圧と高電流を扱えるため、サイズ、重量、電力 (SWaP) 要件の低減に役立ちます。SWaP を最小限に抑えるように特別に設計されたケーブル、結線、コネクタもあります。

  • 信頼性に対する要求の高まりに応える
    指向性エネルギー兵器では、非常に多くの開閉サイクルが必要となる場合があります。この極端なサイクルが原因でメカニカル スイッチの接触面はより一層摩耗するため、その追加の応力に耐えられるようにスイッチを設計する必要があります。電気スイッチの場合、トランジスタは過電圧の影響を受けやすいため、必要な電圧レベルを処理するためにスイッチを適切な大きさにする必要があります。

 

指向性エネルギー兵器のソリューション

今日の高電圧用途向け相互接続製品は、自動車エアロスペース防衛エネルギー、鉄道などの分野の垣根を越えた電力管理ソリューションの開発から恩恵を受けています。TE Connectivity (TE) は、指向性エネルギー兵器のために、以下の高電圧ソリューションを含む幅広い製品を提供しています。

  • 高電圧リレー、コンタクタ、およびスイッチ
    ハーメティック シールされた高度なリレー、コンタクタ、およびスイッチの設計はサイズ対電力比が優れており、最大 70kV DC の電圧定格と最大 1,000 アンペアの電流定格を提供します。高電圧用途で湿気や汚染物質の侵入を最小限に抑えて絶縁体のアークを防ぐには、環境的に密閉された絶縁ガスケットが不可欠です。

  • 高性能給電線と環境シーリング保護製品
    高度な熱収縮チューブケーブル付属品で使用されている架橋ポリマは、元のサイズと保護特性を維持しながら、加熱と冷却の反復的サイクルに耐えることができます。

  • 高温用の端子およびスプライス
    端子、スプライス、およびスペア ワイヤ キャップは、最大 649°C (1,200°F) の動作環境に耐えられるように設計されています。

  • より軽量で小型の構成部品
    従来の銅端子より 60% 軽量な、高度なシール端子およびスプライスをご用意しています。

  • 軍用規格 DEUTSCH コネクタ
    有名な DEUTSCH コネクタ製品群には、MIL-DTL-38999 に準拠した DEUTSCH コネクタ シリーズなどの端子やコネクタが含まれます。環境的に密閉された DEUTSCH DT コネクタでは、誘電耐電圧により、AC 1,500 V での漏洩電流は 2 ミリアンペア未満に抑えられています。

 

指向性エネルギー兵器の進化

今日では高電圧用途向けの相互接続製品が幅広く提供されており、新製品も定期的に発表されているため、指向性エネルギー兵器の設計者は、重要な要件を満たす信頼性の高いソリューションを見つけてすぐに入手できます。防衛設計者は、電力経路全体にわたって高電圧ソリューションを設計、カスタマイズ、製造、実装できる専門家と協力することで、プロジェクトの開発を加速させることができます。

主なポイント

  • 指向性エネルギー兵器は高出力レーザ、粒子ビーム、高出力マイクロ波技術に依存しており、これらの技術には高電圧ソリューションが必要です。 
  • 指向性エネルギー兵器の設計者は、高電圧が電気相互接続にもたらす課題を解決する必要があります。
  • 指向性エネルギー兵器は、連続電力またはパルス電力システムと高度なスイッチングおよび電力調整技術を使用して、電力がホスト プラットフォームに及ぼす影響を最小限に抑えながら出力エネルギーを最大化します。
  • 指向性エネルギー兵器における高電圧電力の需要は、極端な熱負荷から表皮効果の打ち消しまで、さまざまな設計上の課題をもたらします。
  • 今日の高電圧用途向け相互接続製品は、自動車、エアロスペース、防衛、エネルギー、鉄道などの分野の垣根を越えた電力管理ソリューションの開発から恩恵を受けています。
  • TE Connectivity は、指向性エネルギー兵器向けに幅広い製品を提供しています。

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