トークセッション
「人間」と「サイボーグ」が共存する世界とは?

~テクノロジーリーダーが語る「サイボーグが人間の可能性を広げる未来」とは~

2019/02/18

二子玉川109シネマ シアター7 IMAX

TE主催 映画『アリータ:バトル・エンジェル』特別トークセッション ジェームス・キャメロンおよびジョン・ランド-製作、ロバート・ロドリゲス監督による‟超進化”スペクタクル・アドベンチャー『アリータ:バトル・エンジェル』が、2019年2月22日(金)より全国公開。それを記念して、タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社は、2月18日に都内で特別試写会および「人間とサイボーグが共存する世界とは?」をテーマにしたトークセッションを開催しました。

 

・アリータ実現に向けた高いハードル

映画『アリータ:バトル・エンジェル』。これは、“最強の兵器”であるサイボーグのアリータが、300年の時を超えて復活し、荒廃した街“アイアンシティを支配する巨悪と戦うSFアクションです。木城ゆきと氏のSF漫画『銃夢』をハリウッドが実写化した作品で、『アバター』のジェームス・キャメロン氏が製作・脚本を手がけています。TE Connectivity(TE)は、テクノロジーを物語の中心に据える本作品のコンセプトを支持して全面サポート。その一環として、TE日本法人のタイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社が都内で特別試写会を催しました。

本試写会において、上映に先立ち開催されたのが、「人間とサイボーグが共存する世界とは?」をテーマにしたトークセッションです。セッションのモデレーターは、東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野の稲見昌彦教授が務め、スピーカーとして、競技用義足/サイボーグ義足の開発で知られるXiborg(サイボーグ)社の遠藤謙代表取締役社長と、弊社Data & Devices アドバンスド テクロノジーの白井浩史の2名が参加しました。この3人の話は、人体の一部として機能する「サイボーグ」は実現可能か?というテーマから始まりました。

この問いかけに対し、遠藤氏は以下のように答えます。
「将来的にサイボーグが実現可能かと問われれば、素直に“イエス(Yes)”です。ただし、難度はすごく高い。筋肉を含め、人の体を動かす仕組みは本当に凄くて、今日のロボット技術は到底人にはかないません。例えば、人間の両足代わりに機能するサイボーグ義足にしても、今日の技術では二足歩行を何とか実現できるレベルです。アリータのようなサイボーグが実現されるには、いくつもの技術革新が必要です」

この言葉を受けて、白井もこう続けます。
「コネティビティの技術を開発・提供している立場から言えば、人間の脳の神経回路と筋肉の微細な動きを連動させるというのは驚愕のメカニズムです。これを人工的に再現するには、技術的なハードルをいくつも乗り越える必要があります」

さらに稲見教授は、人間のすごさとそれにサイボーグが近づく難しさを以下のとおり指摘します。
「人間の身体の凄さは、動かし続けると強化されることです。これは、動作を重ねるごとに劣化していくロボットとの決定的な違いです。AI(人工知能)の強化学習のように情報系では訓練によって知性を高めるような仕組みがありますが、訓練で強度を増すような物理素材はまだ存在しません。サイボーグが人に追いつくには、こうした素材系の大きな革新も必要だと感じています」

 

・テクノロジーが人の可能性を押し広げる

以上のようにサイボーグ実現の難度の高さを指摘する3者ですが、いずれは進化したサイボーグが当たり前のように使われ始め、人間と自然に共存するようになると口をそろえます。

「メガネも登場したばかりのころは最先端技術で、人にとって奇異な存在でした。ところが、人はすぐにメガネに慣れ、当たり前のように使い始めたわけです。サイボーグもそれと同じで、人の足りない能力を補完したり、能力を拡張したりする技術として自ずと浸透していくはずです」(遠藤氏)。

一方、白井も「パソコンやスマートフォンと同じように、サイボーグも普通に生活の中に溶け込み、人間と共存するようになる」としたうえで、以下のような懸念も示します。
「サイボーグに関して唯一心配なのは、経済的な理由から、それが使える人たちと使えない人たちの格差が生まれることです」

この格差については、遠藤・稲見の両氏も憂慮しているとし、開発途上国に向けて安価な義足を提供するプロジェクトを推進する遠藤氏は、「サイボーグのようなテクノロジーで幸せになる人がいる一方で、テクノロジーが届かない地域があるというのは非常に不幸なことです。こうした問題は、世界全体で解決すべきことだと思います」と語気を強める。

このような格差の問題を乗り越え、人を構成する要素として、サイボーグが当たり前のように存在する未来──。そこでは何が実現されるのでしょうか。

その点について、稲見教授は次のような見解を示します。
「おそらく、人間の可能性の広がりをテクノロジーが支え、より多くの人たちが、それぞれが独立したオリジナルな生き方を目指していけるようになると思います。その未来はすでに見えているんです」

そんな未来に向けて、遠藤氏は自身のこれからの取り組みについて、こう語ります。
「我々が開発した短距離競技用義足によって、ハンディキャップを持つ方々が健常者に肩を並べる記録を出せるようになりました。これによって周囲の人は“スゴイ”と評価してくれていますが、世界記録を出すまでには至っていません。これからは、AIをもっと使いこなし、さらなる高みを目指していきたい」

さらに白井は、次のように話の最後を締めくくります。
「今日のお話やアリータの物語を見聞きし、我々のようなテクノロジー企業にはまだまだやるべきことが多く残されていると改めて実感できました。テクノロジー企業でエンジニアをしていると、ついつい足下にしか目がいかなくなります。ただし、ときには顔を上げて、遥か彼方を見つめることも大切なようです」

アリータが活躍する未来の社会は、人間とサイボーグが自然に共存・共生しており、アリータも、生身の若者と普通にデートをして恋に落ち、また、悪に立ち向かうために戦闘サイボーグであり続ける道を選び、より強力な“身体”を手に入れています。

そして、そんなアリータの物語を見ている私たちも、さしたる違和感を覚えずに、ありえる未来としてそれを受け止めています。トークセッションの3者が語るように、テクノロジーを使って、自分の可能性を押し広げ、それぞれの目的を達成しようとする未来は確実に到来しそうです。最後は、テクノロジーがどれだけの早さでアリータの世界に近づくことができるのか──。そのような問いを来場者に投げかけつつ、今回のトークセッションおよび特別試写会は盛況のうちに幕を閉じました。

トークセッション:TE白井(左)、遠藤様(中)、稲見教授(右)
舞台挨拶
D&D 白井
トークセッション
「人間」と「サイボーグ」が共存する世界とは?

~テクノロジーリーダーが語る「サイボーグが人間の可能性を広げる未来」とは~

2019/02/18

二子玉川109シネマ シアター7 IMAX

TE主催 映画『アリータ:バトル・エンジェル』特別トークセッション ジェームス・キャメロンおよびジョン・ランド-製作、ロバート・ロドリゲス監督による‟超進化”スペクタクル・アドベンチャー『アリータ:バトル・エンジェル』が、2019年2月22日(金)より全国公開。それを記念して、タイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社は、2月18日に都内で特別試写会および「人間とサイボーグが共存する世界とは?」をテーマにしたトークセッションを開催しました。

 

・アリータ実現に向けた高いハードル

映画『アリータ:バトル・エンジェル』。これは、“最強の兵器”であるサイボーグのアリータが、300年の時を超えて復活し、荒廃した街“アイアンシティを支配する巨悪と戦うSFアクションです。木城ゆきと氏のSF漫画『銃夢』をハリウッドが実写化した作品で、『アバター』のジェームス・キャメロン氏が製作・脚本を手がけています。TE Connectivity(TE)は、テクノロジーを物語の中心に据える本作品のコンセプトを支持して全面サポート。その一環として、TE日本法人のタイコ エレクトロニクス ジャパン合同会社が都内で特別試写会を催しました。

本試写会において、上映に先立ち開催されたのが、「人間とサイボーグが共存する世界とは?」をテーマにしたトークセッションです。セッションのモデレーターは、東京大学 先端科学技術研究センター 身体情報学分野の稲見昌彦教授が務め、スピーカーとして、競技用義足/サイボーグ義足の開発で知られるXiborg(サイボーグ)社の遠藤謙代表取締役社長と、弊社Data & Devices アドバンスド テクロノジーの白井浩史の2名が参加しました。この3人の話は、人体の一部として機能する「サイボーグ」は実現可能か?というテーマから始まりました。

この問いかけに対し、遠藤氏は以下のように答えます。
「将来的にサイボーグが実現可能かと問われれば、素直に“イエス(Yes)”です。ただし、難度はすごく高い。筋肉を含め、人の体を動かす仕組みは本当に凄くて、今日のロボット技術は到底人にはかないません。例えば、人間の両足代わりに機能するサイボーグ義足にしても、今日の技術では二足歩行を何とか実現できるレベルです。アリータのようなサイボーグが実現されるには、いくつもの技術革新が必要です」

この言葉を受けて、白井もこう続けます。
「コネティビティの技術を開発・提供している立場から言えば、人間の脳の神経回路と筋肉の微細な動きを連動させるというのは驚愕のメカニズムです。これを人工的に再現するには、技術的なハードルをいくつも乗り越える必要があります」

さらに稲見教授は、人間のすごさとそれにサイボーグが近づく難しさを以下のとおり指摘します。
「人間の身体の凄さは、動かし続けると強化されることです。これは、動作を重ねるごとに劣化していくロボットとの決定的な違いです。AI(人工知能)の強化学習のように情報系では訓練によって知性を高めるような仕組みがありますが、訓練で強度を増すような物理素材はまだ存在しません。サイボーグが人に追いつくには、こうした素材系の大きな革新も必要だと感じています」

 

・テクノロジーが人の可能性を押し広げる

以上のようにサイボーグ実現の難度の高さを指摘する3者ですが、いずれは進化したサイボーグが当たり前のように使われ始め、人間と自然に共存するようになると口をそろえます。

「メガネも登場したばかりのころは最先端技術で、人にとって奇異な存在でした。ところが、人はすぐにメガネに慣れ、当たり前のように使い始めたわけです。サイボーグもそれと同じで、人の足りない能力を補完したり、能力を拡張したりする技術として自ずと浸透していくはずです」(遠藤氏)。

一方、白井も「パソコンやスマートフォンと同じように、サイボーグも普通に生活の中に溶け込み、人間と共存するようになる」としたうえで、以下のような懸念も示します。
「サイボーグに関して唯一心配なのは、経済的な理由から、それが使える人たちと使えない人たちの格差が生まれることです」

この格差については、遠藤・稲見の両氏も憂慮しているとし、開発途上国に向けて安価な義足を提供するプロジェクトを推進する遠藤氏は、「サイボーグのようなテクノロジーで幸せになる人がいる一方で、テクノロジーが届かない地域があるというのは非常に不幸なことです。こうした問題は、世界全体で解決すべきことだと思います」と語気を強める。

このような格差の問題を乗り越え、人を構成する要素として、サイボーグが当たり前のように存在する未来──。そこでは何が実現されるのでしょうか。

その点について、稲見教授は次のような見解を示します。
「おそらく、人間の可能性の広がりをテクノロジーが支え、より多くの人たちが、それぞれが独立したオリジナルな生き方を目指していけるようになると思います。その未来はすでに見えているんです」

そんな未来に向けて、遠藤氏は自身のこれからの取り組みについて、こう語ります。
「我々が開発した短距離競技用義足によって、ハンディキャップを持つ方々が健常者に肩を並べる記録を出せるようになりました。これによって周囲の人は“スゴイ”と評価してくれていますが、世界記録を出すまでには至っていません。これからは、AIをもっと使いこなし、さらなる高みを目指していきたい」

さらに白井は、次のように話の最後を締めくくります。
「今日のお話やアリータの物語を見聞きし、我々のようなテクノロジー企業にはまだまだやるべきことが多く残されていると改めて実感できました。テクノロジー企業でエンジニアをしていると、ついつい足下にしか目がいかなくなります。ただし、ときには顔を上げて、遥か彼方を見つめることも大切なようです」

アリータが活躍する未来の社会は、人間とサイボーグが自然に共存・共生しており、アリータも、生身の若者と普通にデートをして恋に落ち、また、悪に立ち向かうために戦闘サイボーグであり続ける道を選び、より強力な“身体”を手に入れています。

そして、そんなアリータの物語を見ている私たちも、さしたる違和感を覚えずに、ありえる未来としてそれを受け止めています。トークセッションの3者が語るように、テクノロジーを使って、自分の可能性を押し広げ、それぞれの目的を達成しようとする未来は確実に到来しそうです。最後は、テクノロジーがどれだけの早さでアリータの世界に近づくことができるのか──。そのような問いを来場者に投げかけつつ、今回のトークセッションおよび特別試写会は盛況のうちに幕を閉じました。

トークセッション:TE白井(左)、遠藤様(中)、稲見教授(右)
舞台挨拶
D&D 白井