ロボットによる産業界のモノのインターネット

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産業界のモノのインターネット (IoT) を加速させる

Industry 4.0 (I4.0) による装置間 (M2M) 通信の発達により、工場では重要なプロセスを統合し、生産サイクルを削減することが可能になっています。しかし、こうした改良だけで工場をスマートにできるでしょうか。- Daniel Walldorf、イノベーション プラットフォーム & ベンチャー担当プロジェクト マネージャ

現在午前 2:00 で、ヨーロッパの装置は停止しています。 計画担当者がシステムにアクセスしたところ、朝に製品を発送しなければならないことがわかりました。彼はすぐに米国の工場の空き生産能力と原材料の在庫を確認し、生産開始を指示しました。現地ヨーロッパでは、連絡を受けたメンテナンス技術者が、すぐにオフィスの装置プロセス データを確認したところ、ワークステーションの問題を特定することができました。技術者は店舗フロアで、タブレットからワークステーションにアクセスし、プロセス データのデータ収集時間の修正を始めます。数分のうちに、彼は問題を確認し解決することができました。装置はすぐに再び稼動を始めました。

大半の企業にとって、このレベルのスピードは願望ではあるものの、現実ではありません。 最も重要なことはおそらく、このケースが単にスマート ファクトリによって可能になる能力のほんの一部に過ぎないということです。未来のデジタル ファクトリでは、日々の業務として予知保全、柔軟な装置の使用とアップグレード性、商品の生産と原材料のフットプリント、マス カスタマイゼーションによる生産中の商品の追跡、エネルギ効率などの管理が行われます。

+20%

非効率的なプロセスの削減が実現されます。

I4.0

情報と通信を生産プロセスに組み合わせた産業用 IoT。

価値を生み出すための機会は数多く存在します。 これには最も詳細なレベルの装置に至るまでのあらゆる装置によるプロセス データやメタデータを、計画担当者や技術者にとってより利用しやすくかつ透明性のあるものにする必要があります。現在の装置インフラストラクチャでは、作成はされるものの使用できないデータが大量に存在しています。ここでの課題は、各装置が階層状の管理構造になっており、この構造が多くの面で高速かつ効率的な装置管理のために最適化されているという点です。この管理構造に関連するデータは非常に低いレイテンシで転送され、管理システムはミリ秒の範囲のサイクル時間で稼動しています。これにより、レイテンシに関連しない追加データを処理しなければならない装置管理のストレスが増加します。 この種の課題を克服するため、当社のチームではこの重大な問題に 3 つの視点から取り組んでいます。

TE の 3 つの視点

デバイス、接続、コンテンツ
  • スマート デバイス: どのコンポーネントがデータ作成を可能にするかを判断し、スマート デバイスとして機能する追加のセンサおよびコネクタを介したスマート リレーを開始する。これらのデバイスはたとえば、エネルギ消費量やモニタリング条件に関するデータを収集します。
  • 物理接続: より多くのスマート デバイスを装置内部に配置することで追加の接続を生成し、それによってより多くのデータが生成され伝達されて、同時にノードのサイズとコストも低下します。これにより、無線誘導によるデータ転送やワイヤレス ソリューションといった代替の接続ソリューションが必要になります。
  • コンテンツの接続: 付加価値データのためのデータパスを管理する。接続ソリューションはデータを管理、集約、バッファリング、および処理するだけでなく、企業レベルの IT システムにデータを送信するための安全なパスを確保する必要があります。

TE のチームは、協力してこの 3 つの視点に関連する新しいアイデアに取り組んでいます。 当社の目標は、スマート ファクトリの概念を現実の操業へと具現化することです。これを成し遂げるため、当社ではコンポーネントの故障を認識して代替コンポーネントに直接切り替えることができるスマート リレーを開発しています。TE ではエネルギ消費をモニタリングするコネクタを製造しています。当社では、2 本のワイヤのみで 1 GB/s を転送できる新しいソリューションを構築しました。また、プラスチック ファイバ内を通るマイクロ波を活用して、小型化されたコスト効率のよいコンポーネントで高速接続を実現する方法も開発しました。当社のセンサは、クラウドベースのインタフェースによりワイヤレスで通信を行いデータを統合する機能を備えています。 

TE ではお客様に当社のイノベーションをお勧めする前に、アイデアを自社のデジタル ファクトリに展開しています。 これにより、ソリューションがスマートなものであり、予想通りの価値を実現できるかどうかをテストできます。TE ではこうしたイニシアチブを通して、スマートデータのアグリゲータ モデルを実装しており、このモデルによって工場レベルでコネクタの完全な生産バリュー ストリームのリアルタイム データを可視化することが可能になっています。これにより当社の生産チームでは、生産高と処理時間の目覚しい向上を促進するだけでなく、全体的なプロセスの非効率性を低減することも可能になりました。次のステップとしては、このアプローチをさらに材料管理の同期化と、より多くの TE 工場へのシステム展開にまで拡大していく予定です。

現在では業界全体が、従来型の工場からスマートなデジタル ファクトリへと移行しつつあります。 この移行期においては、単に目新しいアプリケーションを追い求めるのではなく、工場をアップグレードするためのソリューションを見つけることが重要です。TE では、この時期においてはアップグレードのための投資ニーズを正当化するためすばやく利益を上げるとともに、それを将来のさまざまな生産性向上を活用するアーキテクチャで行うという焦点を失わないことが特に重要だと考えています。これはつまり、後方互換性を確保しつつ新しい機会を開いていくということです。スマート コネクティビティはこのバランス維持を容易に成し遂げることができるため、当社におけるスマート ファクトリの鍵となっています。