#

トレンド

深海用遠隔操作ビークルのための信頼できる性能

絶縁被覆と光ファイバの新たな技術により、アンビリカル ケーブルは一層の電力を遠隔操作ビークルに供給でき、ますます高度な性能をサポートしています。

海洋活動がより深く離れた場所にその活動の場を移し続けるに伴い、探査と開発のあらゆる面で課題はますます増加し、複雑さの程度は高くなっています。 このテーマにおけるほとんどの場合は、プラットフォームとライザの技術の発展、次世代の掘削船に向けたトレンド、海中処理を扱う生産能力が占有しています。これらのすべては、きわめて複雑なソリューションが関与し、それによって業界に継続的な変革をもたらしますが、その実用化と成功は変革に追随して、これらの技術を現実に展開できる海中用遠隔操作ビークルに今後もかかっています。 

33"

TE の複数層撚りアンビリカル ケーブル曲げ半径。

2771

TE のアンビリカル ケーブルの水中重量 (ポンド/1.000 フィート単位)。

10k

TE の STEEL-LIGHT 防護の耐水圧 (psi)。

遠隔操作ビークルが作業する深海領域での、物理的に設置する際の基本的な課題を検討します。 従来の遠隔操作ビークルは深度 2,500 m で活動してきましたが、現在は 4,000 m 近くでの作業が増加しつつあり、中には 5,000 m を超える深海での作業が要求されることもあります。このような作業への対応で必要となるアンビリカル ケーブルのサイズ、重量、作業能力の増大が評価されるようになるのは自然な成り行きです。

苛酷な条件への耐久性

遠隔操作ビークルに使用するアンビリカル ケーブルは、一般的な他用途とは異なった、機械的および環境的特性が必要となります。深海領域では水温が 0 ~ 3°C になります。水圧もまた懸念事項です。2,000 m の深海での水圧は 2,900 psi (2,000 N/cm2) を超えます。長いケーブルに関しては、ケーブルのねじれや偶力に対する耐久性が必要となり、またケーブルに加わる張力が大きな課題となることがわかります。

アンビリカル ケーブルのアセンブリに必要な要素には、機械的および環境面の両保護も含まれます。同時に、必要以上の大きさと重量の設計は必要なく、遠隔操作ビークルのさまざまな動きに順応できる柔軟性を備えている必要があります。アンビリカル ケーブルは一般的に、遠隔操作ビークルの主な引揚げケーブルとしても使用されます。機械的に堅牢なケーブルの実現と、最小限のサイズと重量の実現との兼ね合いが、設計上の課題となります。

設計の複雑さと信頼性に対する高度な要求から、わずかな企業だけがこのようなケーブルを製造する信頼を、世界中の遠隔操作ビークル業界から得られています。 小型で軽量なケーブルであれば、巻き揚げ装置とケーブル保管場所に大きな空間を必要としないので、艦船への積載を簡素化できます。したがって、その用途の特殊ニーズに対応するために、大型導線電源ケーブル、二線撚りケーブル、複数導体構成、同軸ケーブル、光ファイバ ケーブル等が組み込まれた、複合的な構造をしています。したがって、用途に固有のニーズに応えるために、大型導体の電源ケーブル、ツイストペアなどの複数導体素線、同軸ケーブル、光ファイバ ケーブルなどが多様な組み合わせで混在した構造になります。

一般的なアンビリカル ケーブル。

一般的なアンビリカル ケーブルは、信号、電源および光ファイバ線を内包した網代外装構造です。

直径による規定 - 同心度の確保

一般的にアンビリカル ケーブルは、複数のケーブル層が同心形状に組み込まれています。上の図は TE Connectivity (TE) の設計による構造を示したもので、電源ケーブル、マルチ & シングルモードの光ファイバ ケーブル、シールド クォードラント ケーブルを組み合わせて、二重網代外装を施したケーブルです。ご覧のように複雑な設計で、すべての要素が調和して機能し、必要な電源、データおよび機械的基準を実現できるようにすることが重要です。ケーブルの各層はそれぞれの機能別に規定するのではなく、ケーブルとしての同心度を維持できるように各外径で規定しています。たとえば、ケーブルの中心に電源ケーブルを配置し、他のケーブルをその外側に配置した構造もあります。整頓された効率的な巻き揚げと確かな柔軟性の双方を実現する上で、同心度の維持が重要になります。

ケーブルの各層ごとに、主にアルミニウム/ポリマ テープを巻き付け、隙間部には海水進入防止材を充填することが普通です。上の図にはドレン ワイヤと充填剤は表示されていません。これらは必要に応じて追加装着されます。

外装被覆保護は抗張力と芯線保護の両役目を目的とし、ケーブル全体にかかる引張荷重がケーブル素線に波及しないようにしています。このケーブルの直径は 1.670 インチ (42.42 mm) です。 水中での重量は 1,000 フィートあたり 2,771 ポンド (4,123 kg/km) です。また、使用負荷は 35,000 ポンド (156 kN) で、曲げ半径は 33 インチ (84 cm) です。この曲げ半径は使用する滑車径に最も重要な要素です。曲げ半径よりも小さい半径でケーブルを曲げて使用することは、疲労が増加し耐用年数の減少につながります。

堅牢なアンビリカル ケーブルの製作課題に対処するため、設計者は機械的および電気的性能を分析するために、高度なシミュレーション ツールを使用します。ケーブル長が数キロメートルに及ぶ試作品製作は不可能なことから、高度の専門的知識が設計とシミュレーションにはきわめて重要です。

現在のアンビリカル ケーブル革新ではケーブルの芯線に注力し、これまでと同じまたは狭いスペースにより多くの機能を凝縮する手法を追求しています。たとえば、当社の Rochester ケーブル製品を開発している技術者たちは、次世代ケーブルとして薄肉絶縁被覆と光ファイバのパッケージ使用に取り組んでいます。 

通信帯域幅の拡大および長距離通信の観点から、アンビリカル ケーブルでの光ファイバ使用が増えてきています。 光ファイバは長さ方向の張力に対して優れた強度を持つものの、適切な保護を講じないと容易に破損や損傷が発生します。したがって、光ファイバ ケーブル自体に外装被覆保護を備えることが一般的です。アラミド繊維 - 光ファイバケーブルと同じ張力 - を外装被覆保護に使用しますが、もっと堅牢な保護として金属製の材料も使用します水圧が高い用途では光ファイバの減衰量が増加します。

3 つのアプローチ
  • Fiber in Steel Tube (FIST) はステンレス管内に光ファイバを通したもので、水圧、高温影響および腐食環境に対して保護します。FIST 実装は数本の光ファイバをチューブ内に余裕空間を残して通し、ゲル剤に封じ込めた設計です。チューブの中で光ファイバが「浮いた」状態になるので、光ファイバ長さが若干チューブ長より長くなるものの、張力が加わらないようにしたのが理由です。FIST 技術はきわめて簡潔で低コストな手法です。チューブに発生する歪と光ファイバに発生する歪を切り離すことで、光ファイバに加わる張力が少なくなるようにしています。もしも据え付け時や使用中にケーブルが引っ張られても、チューブよりもわずかに長い光ファイバはその引張分を吸収できます。チューブ内余裕設計は大きな温度変位に対しても優れた許容力を示しますが、極端な深度や極端に長いケーブル長などのきわめて厳しい用途への適性は高くありません。FIST ではチューブに複数の光ファイバを収めることで高密度実装が可能であるほか、3 種類のオプションの中では結線が最も容易です。 
  • STEEL-LIGHT による外装被覆保護では、サイズに合わせたプロー鋼線撚りを光ファイバ周囲に同心配置すれば、光ファイバを破損から守る役割を果たします。 
  • ELECTRO-LIGHT 外装被覆保護は、STEEL-LIGHT 保護と同じ構造ですが、鋼線の代わりに銅線が使用されています。電源ケーブルに銅線を使用して、外径が小さい複合ケーブルを設計することもできます。

 

革新的な光ファイバの一括提案は、光ファイバの応用を容易にします。

革新的な光ファイバの一括提案は、光ファイバの応用を容易にします。

STEEL-LIGHT および ELECTRO-LIGHT の光ファイバ構成は、実装において堅固な保護への方法です。 堅固な保護は製造時に注意を要しますが、動きの激しい用途では優れた性能を発揮し、最も長持ちする選択肢です。STEEL-LIGHT 外装被覆保護は最も頑丈であり、10,000 psi の水圧に耐えるように設計されています。STEEL-LIGHT と ELECTRO-LIGHT の光ファイバは直径をきわめて小さくでき、ケーブル設計でのわずかな隙間に光ファイバを収めることができます。 薄肉絶縁被覆電線を使用した直径が小さな新しいアンビリカル ケーブルの中には、このようなわずかな隙間が得られないものもあります。このような場合は、ケーブルの直径を最小にした FIST が適しています。 この 3 種類のオプションから正しい 1 つのオプションを選択することは、遠隔計測に伴う多くの問題の解決策を見出すことができるでしょう。コスト、利便性およびケーブルサイズに対する適用性は、堅牢と重量の兼ね合いとなります。アンビリカル ケーブルの供給者は経験に基づき、お客様の用途に合ったベスト選択を指導します。

一層の電力供給

遠隔操作ビークルの機能強化には、一層の電源供給が必要です。アンビリカル ケーブルの電源供給を引き上げるには 2 つの方法があります。その 1 つは、断面積が大きい導線を使用することです。しかしながら、この方法ではケーブルの直径が大きくなります。もう 1 つの方法は、標準的な絶縁被覆厚のケーブルの代わりに、薄肉絶縁被覆ケーブルを使用することです。TE では、架橋ポリエチレン (XLPE) を電力電線用絶縁被覆に使用しています。薄肉絶縁被覆は標準絶縁被覆と比較して、ケーブル直径を 30 パーセント小さくできます。これまでは、電力容量を引き上げるときは絶縁被覆を厚くしてきましたが、新しい材料と加工方法によってこの方法は覆されました。

薄肉絶縁被覆技術は、これまでと同じ空間に、より大きな電力と多くの機能を収めることができます。

薄肉絶縁被覆技術は、これまでと同じ空間に、より大きな電力と多くの機能を収めることができます。

深海を目指すアンビリカル ケーブル

薄肉技術は、深海用途と同様の確かな性能を必要とする、ミリタリおよび航空宇宙産業でも確立されています。薄肉絶縁被覆は、耐摩耗性と広い温度範囲にわたる安定性を持っており、電力用途に必要な電気特性においても優れています。薄肉絶縁被覆技術は、これまでと同じ空間に、より大きな電力と多くの機能を収めることができます。 

薄肉絶縁被覆によりさらに電線の追加使用が可能となり - それにより遠隔操作ビークルへ一層電力供給ができ - アンビリカル ケーブルのサイズを増加する必要はありません。 上の図では、標準絶縁被覆厚の電線 7 本収まっていた空間に、薄肉絶縁被覆電線 8 本を収容できる例を示しています。

調査や石油 & ガス探査および生産に対する深海用遠隔操作ビークル需要が高まるにつれて、アンビリカル ケーブルは必要で確かな性能を支え続けています。絶縁被膜と光ファイバの実装における新たな技術は、アンビリカル ケーブルでより多くの電源容量を遠隔操作ビークルに供給し、ますます高度になる機能性に対応できるようにしています。このような技術により、コンパクトなケーブルを用いてより大きな電力とより高いデータ処理能力を、深海用装置に中継することができます。

寄稿者
  • Mark Casselton、艦船および海洋ケーブル製品マネージャ
  • Sage Wadke、マーケティングおよびビジネス開発、航空宇宙、防衛および艦船担当グローバル ディレクタ: