温度センサ製品設計選択

製品設計の選択

製品設計において温度センサを選択するのに適したタイミング、温度センサの特性、温度センサを使用する際の設計における考慮点について学びます。

はじめに

理想の世界では、初期コンセプトから製品リリースに至るまで、製品設計は一本の直線で、設計変更によるエンジニアリング能力や購入時間の浪費、再設計の必要は発生しません。現実には、製品リリースまでの道のりは、遠回りが多く、紆余曲折を経ることも珍しくありません。

TE Connectivity (TE) は、温度センサ設計を行う最善のタイミングは製品コンセプト立案時であると考えます。コンセプトの段階であれば、温度センサ設計エンジニアは製品設計に積極的に関与して、熱設計に関する長年の経験を活かすことができます。これまで培ったプロセスに関する経験から、私たちは、製品コンセプト立案時が最適なタイミングであると考えます。たとえば、数年前に大手コンピューターメーカーに協力した際、当社のプローブがメーカー設計に組み込まれました。プローブ設計はメーカーが提示し、用途ではプラスチック チューブの先端に 2 つのサーミスターを露出させることが要求されていました。当社はメーカーの仕様どおりのサーミスターを納品しましたが、残念なことに、製品リリース時に、プローブ設計に問題があることが判明しました。露出したサーミスターが破損していたのです。このサーミスター設計の問題により、数十億ドルの製品が足止めになっていました。当社の設計エンジニアが顧客を訪問して、問題について協議しました。製品リリースを担当する大規模な社員チームとの長時間の会議の中で、広く尊敬を集めているシニア設計エンジニアが当社のチームに「なぜ、プローブをシースに入れなかったのか?」と尋ねました。当社は、「もし、そうしろと言われていたら、入れることはできたでしょう。我々はいただいた設計仕様に合わせて作成したのです。」と回答しました。この時点で、製品設計と用途制限が分かったので、製品に合った温度センサを設計することができました。

60 年以上にわたる温度センサの設計と製造に関する専門知識および他の大手企業との上記の事例に類似した経験から、当社は、温度センサ選択は製品コンセプト立案時に行うことを推奨します。

 製品リリースまでの標準的な道のり

図 1. 製品リリースまでの標準的な道のり

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温度センサ設計の面白い特徴は、エンジニアリング分野を横断する点です。電気エンジニアは、通常、センサの電気特性および電気システムとのインタフェースの決定に関与します。機械エンジニアは、通常、熱モデリングおよびセンサを機器設計に物理的に組み込むことを担当します。電気エンジニアまたは機械エンジニアが関与するかどうかは、会社により異なります。比較的大きな会社以外は、両方の分野のエンジニアが関与することは稀です。当社の設計エンジニアリングチームは、両分野を横断し、システム設計全体に関する包括的なサポートをお客様に提供します。

電気工学と機械工学の関係

図2. 電気工学と機械工学の関係

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ブランク
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ブランク
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温度センサの特性
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線形性

線形性は、温度範囲内でのセンサ出力の変化の一貫性を示す指標となります。NTC サーミスターは、低温時の感度が高温時と比べて非常に高く、指数関数的に非線形です。センサ信号調整回路でマイクロプロセッサが一般的に使用されるようになってきたことで、センサの線形性は、徐々に問題ではなくなってきました。通電時には、自己発熱を防止するために、サーミスターとプラチナ RTD の両方で、センサ エレメントで放熱される電力を考慮する必要があります。Pt RTD センサの場合、測定電流は適用標準規格 (ASTM、DIN) で規定されています。NTC サーミスターには、そのような標準が存在しないため、設計チームは適切な SN 比を出しつつ、自己発熱が過剰にならない電流レベルを自分たちで確定する必要があります。これらの電流は、通常、マイクロアンペア レンジです。

応答時間

センサが温度を示すまでにかかる応答時間は、(予知方法を使用しないことを前提とすれば) センサ素子のサイズや重量に左右されません。 最も反応が遅いのは半導体です。次に遅いのは、プラチナ線を巻いた抵抗素子です。プラチナ フィルム、サーミスター、熱電対は小型パッケージが用意されているため、高速オプションがあります。ガラス マイクロビーズは、最も速いサーミスター構成です。応答時間自体は、明確な定義のない特性です。熱応答の測定基準としては、2 つの異なる温度間を移動させたときに、温度変化の 63.2% を示すまでにセンサが要する時間である時定数 (TC) のほうが優れています。名前が示すように、これは、開始温度と終了温度に左右されない媒体固有の定数であり、熱伝導の基礎物理に基づいています。計測する媒体により時定数は異なります。たとえば、静止空気中で測定した温度プローブの時定数は、撹拌したオイル内で同じプローブを測定したときに比べて、約 10 倍長くなります。

電気ノイズ

ノイズにより生じる温度の誤検知は、ほとんどの場合、熱電対のミリボルト信号が弱いことが原因です。ノイズは、抵抗の非常に大きな一部の NTC サーミスターでも問題になることがあります。これは、抵抗がアンテナのように機能するためです。 

リード線抵抗

リード抵抗は、サーミスターや RTD のような抵抗デバイスで誤差オフセットを引き起こす場合があります。この影響は、100Ω プラチナ素子や低抵抗サーミスターなどの低抵抗デバイスでより顕著になります。温度係数が比較的低いプラチナ RTD センサではこの問題が増大するので、測定値からリード抵抗を差し引くために 3 線または 4 線リード構成が使用されます。サーミスターの場合は、通常、高い抵抗値を選択することで影響を除去できます。熱電対の延長リード線とコネクタにはリード線と同じ材質を使用しないと、誤差の原因になる可能性があります。

コスト

採用するセンシング技術を選択する際、センサ素子のコストを主な検討事項とすべきではありません。NTC、RTD、熱電対、半導体には、それぞれに長所と短所があります。また、これらの種類の中でも、精度、安定性、温度範囲、耐環境性などのセンサ特性により、コストには大きな幅があります。用途で最も効果的なソリューションを選択するには、実装全体のコストを検討することが重要です。

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次は何か?

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