ガス タービンの運転効率を高めるリニア位置センサ

トレンド

精密な制御で効率アップ

TE Connectivity (TE) の LVDT 位置センサは、ガス タービン要件で求められる過酷な環境条件に適応します。その構造と性能を詳しくご説明します。Karmjit Sidhu (石油およびガス業界向けセンサ担当 Business Development Director)

ガス タービンには、さまざまな制御バルブが組み込まれ、各制御バルブは、ガスのフローを調整するための異なる機能を担っています。 制御バルブからのフローを精密に管理することによって、エネルギーの無駄を最小限に抑えて、タービンを効率良く運転させることができます。実際にバルブを動かすのはアクチュエータですが、バルブの位置をフィードバック装置が変換して、バルブが開いているか閉じているか、開いている場合はどの程度開いているかをタービン制御システムに返します。フィードバック装置に使われる技術はさまざまですが、電力業界では、LVDT リニア位置センサ技術を活用することで標準化されています。LVDT 位置センサは、鉄製のコアといくつかのコイルでできた非常にシンプルな構造のため、衝撃や振動に強く、ちりやほこりで汚れても仕様どおりの性能を発揮します。レーザーは汚れやほこりが付くと使えなくなり、容量性電流センサや渦電流センサでは長ストロークの測定を行うことができません。ポテンショメーター、磁気限定位置センサ、ストリングポットの場合は、温度、振動、固有の安全性の要件を満たすのが困難です。

LVDT 位置センサの基本構造

図 1: LVDT 位置センサの基本構造

磁気限定位置センサには、導波管と組み込み電子部品の制約により、温度の上限が 80°C に制限されます。 過酷な環境下ではセンシング素子を電子部品から分離して使うといった方法も採れません。激しい振動に継続的にさらされる状況では、性能が充分に発揮されません。端子付きポテンショメーター装置は安定性に欠け、LVDT リニア位置センサのような高い温度耐性がありません。LVDT は、他のセンサ技術では対処できない問題を克服するように設計されており、ガス タービン用測定装置に適した次の特性があります。

LVDT 位置センサは、鉄製のコアといくつかのコイルでできた非常にシンプルな構造のため、衝撃や振動に強く、ちりやほこりで汚れても仕様どおりの性能を発揮します。

測定範囲

LVDT リニア位置センサでは、1 インチの数百万分の 1 のわずかな動きも測定できます。複数のバルブがほんの少し傾いただけでも確実に検知できるのは、大きな特徴です。バルブの開閉の有無がわかればよいという用途が多いものの、事業者によっては、それぞれの用途でのバルブの位置を正確に知る必要があります。たとえばブリード バルブが調整バルブである場合、生産する電力量に応じて、一定の量を超えたら開くという仕組みになっている必要があります。適切なタイミングでバルブが開き、正しい角度で閉じるといった動作が確実に行われることで、効率性の高い発電所の運転が可能になります。中規模の発電所の場合で、運転効率を 2% 上げれば、燃料費を数百万ドル節減することになると言われています。 

環境抵抗

以前はステンレス スチール製の製品しかありませんでしたが、今では合金 400、合金 C276、チタンなどの新しい材料を用いた LVDT リニア位置センサがあり、きわめて高温かつ不安定となるガス タービンの用途にも対応できるようになっています。コバルトやニッケルのような特殊合金を採用すれば、LVDT の性能をさらに高めることになり、これに匹敵する技術は存在しなくなるでしょう。 

認証と承認

ガス タービンの内部にはガス状の蒸気が存在するため、タービンに取り付ける LVDT は、本体が安全性の要件を満たしていること、そして UL、FM、CSA、ATEX などの認証機関により認証されていることが必要です。厳しい環境で運用できるように設計されているセンサであっても、ガス タービンの多様で過酷な環境下でも使用できるとあらかじめ認められた認証製品であれば、ユーザーに安心感を与えます。 

動作温度範囲

タービンの運転状態をモニタしたり、バルブを制御したりする用途に用いられるセンサは、温度が 250°C (475°F) に達する環境に置かれます。そのような環境では、LVDT のコイルから電子部品を分離して、タービン制御システムに置くことができれば非常に有利です。発電所で LVDT センサが使い続けられている大きな理由は、ここにあります。LVDT リニア位置センサは、信号調整電子部品から最大 100 m 離して置くことができます。電子部品を別の場所に置くことによって、AC 電源式の LVDT は、タービン上の温度が 175°C ~ 232°C (約 350°F ~ 400°F) になっても問題なく動作します。電子部品を内蔵するセンサで同程度の温度耐性を実現するには、価格の高い特注の電子コンポーネントを作る必要があります。 

LVDT 位置センサ
高温対応 LVDT 位置センサ
LVDT 信号調整
LVDT 信号調整器と DIN レール取り付け

コンパクトな設計でストローク測定

従来の LVDT リニア位置センサのストロークは長すぎて、スペースに制約のある用途には向きませんでした。しかし、コンピュータ制御による巻線技術と内蔵マイクロプロセッサの小型化により、測定可能なストローク長に比べて LVDT リニア位置センサ本体の長さを小さくすることに成功しました。最新の LVDT は、ストローク長が同じで大きさが最大 80% 小さくなっています。スイートスポットがストローク長の 0.5" ~ 12" の間であれば、LVDT リニア位置センサはきわめて高い精度と耐久性を実現します。

LVDT リニア位置センサは、その性能の安定性、再現性、正確性とコストの低さによって、ガス タービンの運転や発電所の再生プロジェクトで重要な役割を果たし、高い効率性をもたらします。ガス タービンに LVDT を採用する場合に検討すべき点を以下に挙げます。

  • 温度、振動、衝撃などの運転環境
  • 正確に動作するための最適な動作周波数と LVDT と信号調整の間の最適なケーブルの長さ
  • ノイズ除去対応回路
  • クリティカルな取り付け環境における LVDT のスペース筐体
  • 電子部品への接続しやすさ

著者:

Karmjit Sidhu (石油およびガス業界向けセンサ担当 Business Development Director)