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信号基準の最適化と同時にノイズの最小化

民間航空機は飛行操作のため、より多くのデータを処理しているので、操縦電子機器もまた乗客に高度な接続性を提供しなければなりません。- Michael Coon、フィールド アプリケーション エンジニア、航空宇宙

飛行機の乗客が、いつどのように携帯電子機器 (PED) を使えるかということに新たな関心と共に、EMI 制御の新たな見地が求められています。 客室娯楽システムは、映画を見るためだけのものではありません - 飛行機の旅では、空の上でもオフィスと同じように仕事をできることが必要です。PED の使用は重要な操縦電子機器にとって、EMI 輻射および伝導の両面で脅威となります。客室娯楽用の配線は、操縦室に通じるアンテナと考えることができます。アンテナと同様に、配線は受発信の源となります。IFE システムおよび PED は、操縦電子機器の「不感帯」 (ボーイング ノッチと呼ばれる) である 2.4 GHz ~ 5 GHz の周波数範囲に収めねばなりません。通常の無線 LAN は、操縦電子機器周波数に干渉を起こすことなく安全に使用できます。 

操縦電子機器 周波数範囲 (MHz)
VHF 全方向性 (VOR)  108 - 118  
計器着陸システム定位器 (ILS LOC)  108 - 112  
計器着陸システム グライド スロープ (ILS GS)  329 - 335  
距離測定装置 (DME)
航空機衝突防止警報装置 (TCAS) 
960 - 1215  
GPS L2  1227.5  
GPS L2  1575.42  
PED                                                                       周波数範囲 (MHz)
携帯電話  824 - 849  
パーソナル通信システム (PCS)  1850 - 1910 
900 MHz ISM  902 - 928 
2.4 GHz ISM  2400 - 2485 
GPS L2  1227.5  
GPS L2  1575.42  

二線撚りケーブルと差動対伝送方式を採用することが、信号の完全性とノイズ制御への最初の一歩です。 二線撚りケーブルは通常のノイズに対して効果的です。通常のノイズは両方の導線に同時に現れ、その結果両導線の電位がアースに対して変化します。そのため、各導線のノイズ位相が 180 度ずれていることから、ノイズが効果的に打ち消されることを意味します。次のステップは、ケーブルが放射されたノイズを拾わない (または伝送しない) ようにすることです。シールドは放射された EMI を制御する主な手段です。シールド ケーブルは、ケーブル自体から発生する EMI を封じ込めるとともに、外部発生の放射ノイズからケーブルを守ります。ケーブルをシールドするには、金属箔、金属編組およびその両組み合わせの方法があります。良好なシールド効果を得るには、シールドとアース間の接続抵抗値を低くすることです。コネクタ バックシェルとハウジングがこの目的を成し遂げます。TE Connectivity (TE) は、ケーブルのシールドを接続しアースするための、バックシェルを幅広く取り揃えています。

客室娯楽システムには、軽量接続ソリューションが必要です。
客室娯楽 システムには、狭いスペースで帯域幅を効率的に使用できるように設計された、軽量接続ソリューションが必要です。
良好なシールド効果を得るには、シールドとアース間の接続抵抗値を低くすることです。コネクタ バックシェルとハウジングがこの目的を成し遂げます。

IFE システムによって連結または発生したノイズが、飛行用途の航行システムに影響を与えないように、IFE システムをフィルタリングする必要があります。 フィルタリングは差動対モード ノイズに対して効果的です。普通のノイズと異なり、差動対モード ノイズはそれぞれの導体に異なる形で影響し、このノイズは完全に信号伝送路に残ります。二線撚りケーブルは、差動対ノイズの制御にはほとんど効果がありません。IFE の AC および DC 電源をフィルタ処理して、2.4 GHz 未満または 5 GHz を超える調和ノイズが、電力バス構成に乗らないようにする必要があります。不適切なフィルタリングは、航空機の通信システムへノイズが乗る要因となります。電源供給装置は通常、内部でフィルタ処理されます。電源供給システムを健全に保つため、乗客用の電源コンセントもフィルタ処理をすることができます。また、信号ラインも信号の完全性を維持するために、フィルタ処理をすることができます。ただし、フィルタリングは通常、IFE システムの性能または他のシステムとの接続が芳しくないときの最終手段です。フィルタ コネクタは L、C、LC タイプで取り揃えており、Pi 構成は回路の入出力インピーダンス整合製品です。周波数帯や減衰値が異なるローパス、ノッチおよびハイパス フィルタを製作するにあたり、静電容量および電磁誘導値を変更することができます。お客様のご要望に応じて、5%、10% & 20% の許容値を得ることができます。

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Pi フィルタ構成には 2 つの平面アレイが必要です。

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ご要求に応じて、5%、10% & 20% の許容値が可能です。

フィルタリングは、システム制御ユニットまたは航空機内配線の接続箇所で実施できます。 当初のフィルタ コネクタでは管状の部品が組み込まれていましたが、平面アレイ フィルタ コネクタは、性能、製造の容易さ、耐久性およびコストの面で管状部品タイプよりも優れています。TE は既に、管状部品コネクタ製品を平面アレイ バージョンに置き換えています。アレイは各ピンに必要なキャパシタンスを備えており、インダクタンスはアレイのどちらかの側に適切に配置された、フェライト ビーズによって備えています。Pi フィルタ構成には 2 つの平面アレイが必要です。各コンデンサのアース経路は平面アレイを通じ、接地スプリングによってコネクタのシェルに接続されます。制限範囲内で、各フィルタ機能付きコンタクトは、隣接コンタクトと異なるキャパシタンス値を持つことになります。代替選択の 1 つであるコネクタ内の表面実装部品は、コストが低く、キャパシタンス フットプリントの変化への適応力は高いものの、特に高周波数を減衰させるときには性能が劣ります。この技術は、地上通信用途や、多くの量が必要でなおかつ要求される条件がそれほど厳しくない、産業用途に特に適しています。

TE の EN4165 コネクタ。
乗客への接続用によく使われている TE のコネクタには、フィルタ機能製品もあります。

最適なフィルタリングを選択するには、まず EMI を走査して発生ノイズの周波数と強度を突き止めます。 一般に、TE のエンジニアはフィルタを設計するに際には、そのノイズ環境の走査データを使用します。ほとんどの業界規格にたいして、フィルタ付きの航空宇宙用コネクタが使用できます。フィルタ機能を取り付けるには、リセプタクル コネクタが一般的で効果的です。シールドされたリセプタクルは、最適な性能を得るために必要とされる低抵抗値でアースに接続します。フィルタ リセプタクルは、連続するアース プレーンが内部にあるため、シャーシ内の RF 枠を最小化することができます。また、フィルタをアダプタとして使用することで、動作に問題があるシステムを手早く改良することもできます。アダプタは一方側がプラグで他方側がリセプタクルになっているので、フィルタを組み込むのは簡単です。ケーブルを抜いて、アダプタをリセプタクルに差し込み、ケーブルを再接続します。

光ファイバの絶縁体本質が意味するところは、EMI の放出と受信がないことです。 信号伝送の媒体として、光ファイバは課題の 1 つである EMI を考慮しなくてもよいことです。設計者の皆様は、コスト、現場での修理性および極端な温度下での性能から、光ファイバの使用に慎重になる傾向にあります。とりわけ銅線接続のシールドやフィルタに対する追加費用を考えて場合、光ファイバの経済性は有利になります。客室娯楽および乗客ネットワークの高速性重要要素として、光ファイバは高速データ伝送と長距離伝送の魅力的な組み合わせを提供できます。

まとめ

今処理するか - 後でするか。長い目で見ると、最初から電磁干渉を考慮して設計していれば、後の悩みや予期せぬ出費を防げます。今日 1 ペニー (銅貨) 節約したがために、明日数ペニーの費用がかかるようなことはしないでおきましょう。航空機の設計と飛行効率において、依然としてサイズや重量が重要課題ですが、コネクタやケーブルなどの製品は小型・軽量化が進んでおり、フィルタやシールドによって加わる重量との間でバランスが取れています。

著者について

Michael Coon は、TE Connectivity の Global Aerospace, Defense & Marine 部門で EMI/RFI フィルタ コネクタおよびトランジエント プロテクション コネクタを担当している、北米フィールド アプリケーション エンジニアです。彼は電子部品分野で 17 年以上の経験を持ち、そのうち 5 年間は半導体管理、12 年間は民間およびミリタリ航空宇宙市場で、フィルタ相互接続に携わってきました。