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より安全で、より環境に優しく、より「つながる」世界へ

TE のプリンテッド エレクトロニクス担当チームは、電子コンポーネント印刷向けの材料やプロセスの継続的開発を通じて、お客様の変革につながる技術を開発できるようサポートします。

著者:

Yiliang Wu (Material Development 部門 Principal Scientist)、Gokce Gulsoy (Material Development 部門 Senior Scientist)、Leonard Radzilowski (Material Development 部門 Staff Scientist)

プリンテッド エレクトロニクスの利点 プリンテッド エレクトロニクス技術は、新聞の印刷とまったく同じ印刷手法を利用して機能的材料を蒸着させ、パターン化された構造を様々な物質上に形成することで、電子デバイス製造を実現する技術です。技術革新と製造を費用効率の高い形で推進し、環境にやさしく、アジャイルかつフレキシブルな方法を提供します。従来の新聞印刷とは違い、必要とする電気的性質をもつ機能的材料と、高解像度・高精度のハイレベルな印刷プロセスが必要不可欠となります。米国カリフォルニア州フリーモントに拠点を置く TE の プリンテッド エレクトロニクス チームの科学者たちが、過酷な環境におけるコネクティビティに適した端子仕上げ、ワイヤレス接続用アンテナ、スマート コネクティビティ用センサという 3 つの用途領域に関して、新たな材料配合と印刷技術の研究を進めています。

  1. 材料科学でお客様の課題を解決 (英語)

TE の役割は、世界のつながり方を分子レベルから変えることです。テクノロジ担当VP の Jim Toth が、TE の先進開発について語るビデオをご覧ください。

最初にご紹介する重点領域では、過酷な環境における電気コネクタに適した端子仕上げに、導電性インクによる印刷技術を利用します。 このプロセスは、グラビア印刷機を使用して柔軟性のある供給原料に導電性インクを塗布し、インクの揮発成分を乾燥させ、最終的に供給原料をプレス加工し、コネクタの完成形態に仕上げる作業からなる、連続した製造工程へとスケール アップさせることが可能です。信号・電圧が低レベルである用途の場合、このプロセスによって、プロセス速度の向上 (例: 30 m/分)、湿性化学物質/沈着工程の省略、金に代わる安価かつ技術的に代替可能な端子仕上げの採用と、これによる従来の電気めっきプロセスでは不可能だった端子仕上げの実現により、結果として大幅なコスト削減 (最大 70%) を実現できます。パワー伝達およびコネクタ用途に関して言えば、このプロセスは製造スピードの向上を可能にし、結果的に大幅なコスト削減につながります。持続可能性に優れたこの「ドライフロア」プロセスは、シアン浴を不要にするだけでなく、火災による危険・廃棄物発生・エネルギ/水の消費量の低減にも役立ちます。TE のプリンテッド エレクトロニクス担当チームによる、新たな素材と製品の発表を可能にするこの技術は、これまで取り引きのあった様々な業界で新規顧客からの関心を呼び、TE は技術革新におけるリーダー的存在として認識されるようになりました。

様々な印刷プロセスを利用して、導電性インクのパターンを誘電体基板上に直接形成することで、通常のプリント基板 (PCB) に比べ、利用可能な誘電率の範囲が拡大
印刷による端子仕上げ。
高速用途向け信号コネクタの、印刷による端子仕上げ。
3D 表面に印刷される、自動車用ルーフトップ アンテナ。
3D 表面に印刷される、自動車用ルーフトップ アンテナ。

プリンテッド エレクトロニクスが威力を発揮する 3 つの領域から次にご紹介するのが、アンテナ製造です。 TE では、お客様と密に連携して、たとえば航空機やハンドヘルド型コンシューマ デバイス、自動車のインフォテインメントや安全関連装置など様々な用途や、極めて幅広い要件に対応するアンテナの設計・製造を手がけています。アンテナのサイズ・重量・消費電力・コストを抑えたいというニーズは、あらゆる用途に共通しています。様々な印刷プロセスを利用して、導電性インクによるパターンを誘電体基板上に直接形成すれば、このような目的の実現も夢ではありません。たとえば、従来使われてこなかった基板を用いることによって、通常のプリント基板 (PCB) に比べて利用可能な誘電率の範囲が広がり、帯域幅を変えることなくアンテナを小型化したり、消費電力やコストの削減を実現することも可能になります。重要なのは、印刷した導電性インクによって、レーザ直接焼結法 (LDS: laser direct sintering) や 2 ショット法などの成形回路部品 (MID: Molded Interconnect Device) 技術では扱えなかった素材に、金属皮膜を施すことが可能となったことです。TE のラボではプリンテッド エレクトロニクス担当チームが、様々なプラスチックやプラスチック複合材・ガラス・セラミックスへの印刷を成功させています。デジタル制御によるロボティック プリンタを駆使した、3D 形状への印刷も可能です。この技術をもとに、利用可能な実装容積が増えた分を利用して、アンテナの寸法・効率性・帯域幅のさらなる最適化を可能にする、新しい 3D 空間充填アンテナを作り出すことも夢ではありません。さらに、デジタル プロセスを利用することにより、新たなツールを作る際の設計変更も、追加コストやスケジュール遅延なしに実行できます。アンテナ用途が拡がるにともない、TE の印刷を用いた金属皮膜化技術がさらなる進化を遂げ、複雑な形状面、優れた耐久性、短いサイクル タイムでの金属皮膜化が可能になると見込んでいます。

印刷により形成された磁気構造。
印刷により形成された磁気構造。スケールバー長さは 5 mm。
ラボでは、材料や製造プロセスの開発・テストを実施しています。
TE のラボでは、お客様が次世代技術を開発できるよう、材料やプロセスの開発・テストを実施しています。

最後に紹介する重点領域は、TE の中心的なビジネス部門の 1 つであるセンサへの、プリンテッド エレクトロニクス技術の適用です。 グローバルなセンサ市場は、たとえばモノのインターネットが織り成すエコシステムなど、よりスマートな相互接続の世界を求める需要の拡大に突き動かされる形で、成長を続けています。この技術は、自動車・産業機器・医療デバイス・家電製品といった分野のお客様にとって、性能の改善やコスト削減、目指す形状の実現といった点で大いに役立ちます。TE のラボでは、プリンテッド エレクトロニクス技術の応用に力を注ぎ、新素材やシンプルな製造プロセスを駆使して、これらの難問に取り組んでいます。これまでに、ナノ粒子銀インクを超音波画像センサ用途向けの電極として印刷する方法を発見しています。粒子サイズが小さいため、スクリーン印刷された電極の表面粗さが大幅に低減され、これにともなって画像品質も大きく改善されました。微小な磁気構造は、位置センサ・速度センサ・水位センサ・トルク センサといった用途にも利用できるでしょう。従来の成形プロセスでは実現不可能なこうした微細な磁気構造は、磁気インクを利用すれば平面や曲面に直接印刷可能であり、小型化にとどまらず統合プロセスの簡略化にも役立ちます。センサ市場は非常に多様性に富んでいるため、カスタマイズの可能性を大いに含んでいます。TE では、センサの製造において、特に少数生産かつ複雑度の高いデバイスにおいて、印刷技術が有利に働くものと見込んでいます。

お客様の問題を解決するソリューション

TE のプリンテッド エレクトロニクス担当チームは、コネクティビティ用途向け電子コンポーネント印刷に用いる、材料やプロセスの開発を続けています。特に、導電性インク・磁気インク・各種機能性インクなどの新しいインク技術の研究に力を入れています。また、グラビア印刷・ステンシル/スクリーン印刷・ジェットディスペンス印刷など様々な種類の印刷技術を駆使して、金属端子・アンテナ・センサを始めとする各種機能デバイスを製造しています。TE は技術革新に注力することによって、安全性・持続可能性・生産性を向上させた、より「つながる」世界を実現する技術をお客様が構築できるようサポートします。